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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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LIQUID -Star Chronicle- 風花の英雄譚
【サイドクエスト：『風花龍の目覚め』（２）】
ゆら、と揺れた。龍が首をもたげて顎を開くと、鋭くぎらつく牙の並びに、蛇のように長い舌が覗く。
大口から炎でも吐き出すかと思い身構えれば、龍は大穴の上に浮かぶ間抜けなほどに青い空を見やると、くあ、とあくびをした。
「……かの龍は揺籃を這い出たばかり。だったわね」
ロサヴィアは＜秘石の剣＞の切っ先をルリミズクの中心へと向けつつ、瑠璃と真珠へ目線で示し、周囲を取り囲むよう位置取りを整える。三人の陣の穴を凛風が埋め、その後ろにポラリスが立ち眠たげな龍を見据えた。
「完全に覚醒する前に……仕留めなきゃ。凛風」
「ああ、仕掛ける。最初から全開で行くよ」
張りつめた空気に、水面が揺れる。凛風は鋭く呼気を吐き出すと、精神を集中する。裂帛の気合とともにたわわな胸も弾み、彼女は変じた。
「＜神・桜花爛漫＞……」
艶めく烏羽色の髪が桜色を成してゆく。凛風は桜の精霊が人の身として受肉した存在だ。ゆえに神気を帯び、桜花とともに敵を討つのだ。
「試し切りといこうか。＜桜雨＞」
刹那に踏み込む。先日の冒険を経て手にした愛刀を鞘走らせ、振り抜いた。刃は碧緑に輝く。輝きは赤熱し、桜色へ。赤く濃く薔薇色へと変わり、やがて黒血の色へと昇華してゆく。無数の花弁が舞い、霊刀桜雨は凛風の神気を増幅し迸った。刀身は拡張し、大剣がごとく長大な剣閃となり、ルリミズクの鱗を真一文字に斬り裂いてみせた。
手応えはあった。いかな古龍とて、堅牢な鱗を開いて肉を裂けばいずれ斃れることだろう。しかし奇妙な感覚が、凛風の一瞬の隙を突いた。
「！？ これは……蔓か！」
足に絡みついた蔓が凛風をつかみ上げ、大穴の壁に叩きつけた。
「ぐ……！！」
「凛風！！」
ポラリスの放った氷礫が蔓を切り裂き、凛風を解放する。
ルリミズクは襲撃者へ目を向けてはいなかった。気づいてさえいないのかもしれない。ゆるやかな覚醒はいまだ完遂されてはいないのだ。にもかかわらず、冒険者らを敵と定めて反撃したのは、龍と命をともにする意外な共生者だった。
「ロサヴィア姉さま、あの花です！」
「魔を帯びた、桜蘭が……ルリミズクを、守っています……！」
凛風とポラリスが体勢を立て直す間を、ロサヴィアが埋める。手にした秘石の剣は、刀身を異なる魔石へと転じて多彩な威力を発する魔剣だ。じり、とうごめく蔓をにらみ機を測る。
「……＜紅玉剣＞！！」
赤くきらめく刃から噴き出した炎が回転し、蔓を焼き焦がし切り払う……かと思いきや、
「避けた！？」
蔓は蛇のごとくうねり炎から身を遠ざけてみせ、即座に転じた反撃によりロサヴィアは打ち据えられ吹き飛んだ。
花は瞬く。魔の源たる月の水と龍の生命力を吸い上げ成長した桜蘭はもはや、それ自体が一個の生命と述べても過言ではあるまい。二身一体、それが風花龍ルリミズクなのだ。
「時間をかければ、かけるほど……不利になる」
＜銀盤・氷精の園＞、氷柱を周囲に突き立てテリトリーを広げつつ、ポラリスの背から立ち上がった精霊が氷剣を携え、龍へとおどりかかる。同時に氷礫を浴びせかけると、ポラリスの周囲を氷盾が回転し始めた。氷盾は彼女を守りながら、大魔法に費やすための爆発力ともなる。
「ルリミズクが、完全に目覚める前に……あの花を、全部、払う」
「そうしよう」
氷礫の連打にまぎれながら、態勢を取り戻した凛風がふたたび駆ける。鞭のようにしなる蔓を紙一重で避け、＜斬影の加護＞により自身にバフを重ねながら接近する。
同時に飛びこんだロサヴィアを、エレメンタルブレイカーの瑠璃、ミニオンウォーデンの真珠が援護する。爆炎の魔法が弾け、小さな悪魔の群れが龍へと飛びかかるも、
「っ、この光は……！？」
視界の端に桜色の燐光が幾度かひらめいた瞬間、
「きゃあ！」
「ああっ……！」
突然、瑠璃と真珠の眼前の空気が炸裂した。動きを止めかけたロサヴィアだが、
「後衛のふたりを直接！？ っ、＜月長剣＞！」
白く透きとおる刀身から広げた光の障壁で、ふたたびの光の炸裂から身をかわす。後方で攻撃を分析したポラリスが短く述べた。
「これは、花粉……！」
「粉塵爆破のようなものか！ 厄介だね」
花粉をふりまき、擁する魔力を濃密に収束し、結晶と化して爆破する。桜蘭は思いのほか手練手管に長けるらしい。おまけに龍はまだ覚醒し切ってもいないのだ。
しかし、退くわけにはいかない。
「痛たたた……ね、姉さま！ 私、まだいけます！」
「わたしだって……！」
どうにかこらえた瑠璃が炎を放ち応戦し、真珠の召喚する悪魔たちが包囲網を広げてゆく。
「ええ、そうね。必ず成し遂げましょう。龍退治を！」
秘石の剣が炎をまとう。ロサヴィアが身をひるがえし投擲すれば、炎は渦を巻いて龍の身を覆う桜蘭を薙ぎ払った。
ゆら、と揺れた。龍が首をもたげて顎を開くと、鋭くぎらつく牙の並びに、蛇のように長い舌が覗く。
大口から炎でも吐き出すかと思い身構えれば、龍は大穴の上に浮かぶ間抜けなほどに青い空を見やると、くあ、とあくびをした。
「……かの龍は揺籃を這い出たばかり。だったわね」
ロサヴィアは＜秘石の剣＞の切っ先をルリミズクの中心へと向けつつ、瑠璃と真珠へ目線で示し、周囲を取り囲むよう位置取りを整える。三人の陣の穴を凛風が埋め、その後ろにポラリスが立ち眠たげな龍を見据えた。
「完全に覚醒する前に……仕留めなきゃ。凛風」
「ああ、仕掛ける。最初から全開で行くよ」
張りつめた空気に、水面が揺れる。凛風は鋭く呼気を吐き出すと、精神を集中する。裂帛の気合とともにたわわな胸も弾み、彼女は変じた。
「＜神・桜花爛漫＞……」
艶めく烏羽色の髪が桜色を成してゆく。凛風は桜の精霊が人の身として受肉した存在だ。ゆえに神気を帯び、桜花とともに敵を討つのだ。
「試し切りといこうか。＜桜雨＞」
刹那に踏み込む。先日の冒険を経て手にした愛刀を鞘走らせ、振り抜いた。刃は碧緑に輝く。輝きは赤熱し、桜色へ。赤く濃く薔薇色へと変わり、やがて黒血の色へと昇華してゆく。無数の花弁が舞い、霊刀桜雨は凛風の神気を増幅し迸った。刀身は拡張し、大剣がごとく長大な剣閃となり、ルリミズクの鱗を真一文字に斬り裂いてみせた。
手応えはあった。いかな古龍とて、堅牢な鱗を開いて肉を裂けばいずれ斃れることだろう。しかし奇妙な感覚が、凛風の一瞬の隙を突いた。
「！？ これは……蔓か！」
足に絡みついた蔓が凛風をつかみ上げ、大穴の壁に叩きつけた。
「ぐ……！！」
「凛風！！」
ポラリスの放った氷礫が蔓を切り裂き、凛風を解放する。
ルリミズクは襲撃者へ目を向けてはいなかった。気づいてさえいないのかもしれない。ゆるやかな覚醒はいまだ完遂されてはいないのだ。にもかかわらず、冒険者らを敵と定めて反撃したのは、龍と命をともにする意外な共生者だった。
「ロサヴィア姉さま、あの花です！」
「魔を帯びた、桜蘭が……ルリミズクを、守っています……！」
凛風とポラリスが体勢を立て直す間を、ロサヴィアが埋める。手にした秘石の剣は、刀身を異なる魔石へと転じて多彩な威力を発する魔剣だ。じり、とうごめく蔓をにらみ機を測る。
「……＜紅玉剣＞！！」
赤くきらめく刃から噴き出した炎が回転し、蔓を焼き焦がし切り払う……かと思いきや、
「避けた！？」
蔓は蛇のごとくうねり炎から身を遠ざけてみせ、即座に転じた反撃によりロサヴィアは打ち据えられ吹き飛んだ。
花は瞬く。魔の源たる月の水と龍の生命力を吸い上げ成長した桜蘭はもはや、それ自体が一個の生命と述べても過言ではあるまい。二身一体、それが風花龍ルリミズクなのだ。
「時間をかければ、かけるほど……不利になる」
＜銀盤・氷精の園＞、氷柱を周囲に突き立てテリトリーを広げつつ、ポラリスの背から立ち上がった精霊が氷剣を携え、龍へとおどりかかる。同時に氷礫を浴びせかけると、ポラリスの周囲を氷盾が回転し始めた。氷盾は彼女を守りながら、大魔法に費やすための爆発力ともなる。
「ルリミズクが、完全に目覚める前に……あの花を、全部、払う」
「そうしよう」
氷礫の連打にまぎれながら、態勢を取り戻した凛風がふたたび駆ける。鞭のようにしなる蔓を紙一重で避け、＜斬影の加護＞により自身にバフを重ねながら接近する。
同時に飛びこんだロサヴィアを、エレメンタルブレイカーの瑠璃、ミニオンウォーデンの真珠が援護する。爆炎の魔法が弾け、小さな悪魔の群れが龍へと飛びかかるも、
「っ、この光は……！？」
視界の端に桜色の燐光が幾度かひらめいた瞬間、
「きゃあ！」
「ああっ……！」
突然、瑠璃と真珠の眼前の空気が炸裂した。動きを止めかけたロサヴィアだが、
「後衛のふたりを直接！？ っ、＜月長剣＞！」
白く透きとおる刀身から広げた光の障壁で、ふたたびの光の炸裂から身をかわす。後方で攻撃を分析したポラリスが短く述べた。
「これは、花粉……！」
「粉塵爆破のようなものか！ 厄介だね」
花粉をふりまき、擁する魔力を濃密に収束し、結晶と化して爆破する。桜蘭は思いのほか手練手管に長けるらしい。おまけに龍はまだ覚醒し切ってもいないのだ。
しかし、退くわけにはいかない。
「痛たたた……ね、姉さま！ 私、まだいけます！」
「わたしだって……！」
どうにかこらえた瑠璃が炎を放ち応戦し、真珠の召喚する悪魔たちが包囲網を広げてゆく。
「ええ、そうね。必ず成し遂げましょう。龍退治を！」
秘石の剣が炎をまとう。ロサヴィアが身をひるがえし投擲すれば、炎は渦を巻いて龍の身を覆う桜蘭を薙ぎ払った。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2025年05月07日
- 参加申し込みの期限
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- 2025年05月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2025年05月14日 11時00分
