GW、どこに行く？｜リアクション

GW、どこに行く？

　４月に陸上部の記録会が終わり、中倉琉歌は伸び悩んでいたのがウソのように自己ベスト更新を叩き出してひとまず安堵していた。

　毎日の練習を欠かさない琉歌だが、今日は部活も休み。
（何して過ごそうか）
　たまのゴールデンウィークくらい、のんびりしてもバチはあたらないだろう。
　けれどやはり部屋で怠惰に過ごすのも落ち着かない。
　体を動かさないまでも、何か普段と違う刺激が欲しい。
　そんなことを考えながら、スマホを見ていたら。
（ホビーショップ【Ze Pet】……ボードゲーム大会？）
　そんな案内を見つけた。

　ボードゲーム類はいくらかやったことはあるけれど、正直あまりうまいとは言えない。
（でも、不思議とハマるんだよね）
　陸上部員だが、一方でコスプレも好きなオタクでもある琉歌。
　それに運動能力を使うか頭を使う戦略かの違いはあれど、勝負という意味では陸上とゲームは似ているかもしれない。

（どんなボードゲームが待ってるんだろう）
　これも何かの縁、思い立ったが吉日。
　琉歌はZe Petの場所を調べ、行ってみることにした。

　店内は、子供たちでいっぱいだった。
　だが高校生くらいの子もいるようだ。
「お姉さん、やりたいゲームある？　ニャンジャモンジャ始まるところだけどどう？」　
　そんな風に声をかけられ、琉歌は即答した。
「やる！　混ぜて！」
　琉歌は初対面の人に対しても物怖じせず、異性同性問わず気軽に気さくにフレンドリーに接する。
（他人との距離感が壊れ気味、なんて言われるんだよね。まあそんなことはどうでもいいか）
　ニャンジャモンジャを始めると、すぐに白熱した勝負となった。
　不思議なキャラクターに名前をつけ、同じカードが出たら素早く名づけた名前を叫ぶ記憶系カードゲーム。
　記憶力のいい小学生は有利だが、瞬発力のあり頭の回転が速い琉歌も負けてはいない。
（全般的に、皆で楽しめるゲームの方がやりがいがあるよね）
　僅差で琉歌の勝ちとなった。

「このゲーム、どうやるの？」
　新しく来た子に聞かれ、琉歌は遊び方を説明する。
「カードをめくって、まだ出てないキャラだったら名前をつけるの」　
　言葉で説明するよりやってみせたほうが早い。
　初心者のお相手をして、遊び方を教えていく。
「おもしろーい！」
　目を輝かせ楽しそうに遊んでいる子を見ると、自分が勝つよりも喜びを感じた。
（案外、こっちの方が向いてるんじゃないかな）
　そんなことを思うのだった。

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