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『位置について。よーい!』
パン、とスターターピストルが乾いた破裂音を響かせる。春の競技会は程よい緊張感にぴりつきながらも粛々と行程を消化してゆく。今はトラックを女子200メートル走の選手たちが駆け抜けていた。ペース配分の難しい競技だ。必死と理性の合間にもがく選手たちの額に弾ける汗は美しい。
中倉 琉歌
は思わず彼女らに見入った。
「そろそろ出番だね、中倉。心の準備はできた?」
「え?」
先輩が琉歌の肩に手を置き言った。琉歌はしばし首を傾ける。
「んー。まぁ普通ですかね?」
「あはは、頼もしいわねー。まぁあんたはそのくらいのほうがいいかもね。気張らず頑張ってきなさい」
「はーい」
飄々とした、などと評されることがままある。どんな時も崩さぬ琉歌のマイペースをしてそう思われるらしい。日頃の練習の成果を出し切る競技会ともなれば誰しも少なからず緊張するところが、琉歌はと言えばけろりとしているものだから、図太く物怖じしない豪胆な人物と見られているようなのだ。しかしそれは琉歌の表面的な一部を捉えているに過ぎない。
「……ふぅ」
内心、琉歌は焦っていた。
「ほら中倉、早めに行ってきな。頑張って、琉歌! ファイト!」
「はーい、行ってきまーす」
スパイクの入った袋を引っ掴み歩き出す姿こそまさしく飄々と風のごとしでありながら、琉歌の心は浮ついていた。落ちつきなどとは真逆の心境だ。
「はぁ……」
始めはそう、去年の秋の記録会あたりだっただろうか。どうにも振るわない成績、記録も伸び悩み頭打ちとなって久しい。フォームを一から見直し、基礎鍛錬も欠かさずスパイクも新調して、それから幾度となく競技に臨んだが一向に記録は伸びなかった。それでいて琉歌がいつものマイペースを崩さないのは、何だか負けたような気がするからだ。表面的にだけでも何でもない自分を装っていなければ、内側までがらがらと崩れてしまいそうだった。それが恐ろしかった。平静の仮面は琉歌にとって最後の頼みの綱なのだ。
とはいえ、悲嘆に暮れるばかりでもない。
「よしっ」
控え室にて入念にストレッチを行いながら、琉歌は大きく息を吸い込み、吐き出した。全てが茫洋として惑いに暮れるわけではなく、明るい兆しも垣間見えている。
「練習では調子が上がってきてるもの。本番だって大丈夫」
公的な記録の残らない走りにおいては近頃、良い結果を重ねている。十分な実力の持ち合わせがあろうことは確かなのだ。
スポーツやあらゆる競技において最も肝要なのは、それをここぞという本番にて発揮できるかどうかにかかっている。琉歌はこう見えていわゆるブルペンエースのような気質であり、練習で発揮した真の実力をいざという瞬間に出しそびれることが多々あった。その不安こそが琉歌の精神の揺らぎの元凶なのだった。
出番が近づく。200メートル走は全ての出場者の出走を終え、競技は100メートル走へと移っている。琉歌が専門とする競技だ。再び大きく息を吸い、吐いた。胸の鼓動が止めどなく高まってゆく。一向に収まりそうにない。スタート位置につく時にまで、この鼓動を琉歌の意識が手放してくれないようなら、走りは失敗に終わることだろう。
「……ふぅ。はぁ……」
使い慣れたスパイクを履き、軽く爪先で跳ねて感触を確かめる。いつも通り。いつもの足運び。いつもの心持ちだ。
いける、と思った途端にトラックのほうからひとしきりのどよめきが届いた。
「えー、嘘? 大会新? マジで?」
「マジマジ。マタ工の戸塚さんって、ほら前にちょっと話題になってた」
「あーあのモデルみたいにスタイル良くて背が高い……美人な上に足も速いって、何かずるいなー」
「妬まない妬まない。ほら次、あなたの出番よ」
他校の選手たちも話題に上げる、どこかの誰かが新記録を弾き出したらしい。動揺が内から噴水のように湧き上がり、それを表に出さないよう苦心するので琉歌はめいっぱいとなった。
アスリートや競技者にとって緊張は扱いづらいパートナーのようなものだ。押し寄せるプレッシャーに呑まれれば流され、それっきり。実力を十全に発揮することはできない。
今日の琉歌は違った。
(いける……!)
身体が軽い。己自身が風となったかのようだ。激しい胸の鼓動などもはや意識のどこへやら、ただひたすらに前へ前へ。高まる緊張を正しく飼い慣らせば四肢に力は漲り、精神は研ぎ澄まされ力の全てを引き出してくれる。土壇場でそれを味方につけた琉歌の、本来の自分の在り様を実感できる渾身の走りとなった。
「っ、記録は……!?」
ゴールを切るなり電光掲示板へ目をやると、12秒61。先のなんとかいう選手が出した記録をさらに塗り替える、大会新記録であった。
「やった……!」
その時ばかりは、飄々とした自分を保とうなどとつまらない体面も吹き飛び、琉歌は観客席にいる陸上部の仲間たちへ満面の笑みと、ピースサインを掲げた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
NPC交流
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年04月03日
参加申し込みの期限
2025年04月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年04月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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