GW、どこに行く？｜リアクション

GW、どこに行く？

　ゴールデンウィークの初日、綾辻綾花は、早川珪と図書館で待ち合わせしていた。
　高校時代は図書室で顔を合わせていたものだが、今は寝子島図書館が二人の行きつけの図書館になっている。
「大学の図書館はどう？」
　珪に聞かれて、綾花は少し考える。
「広くておしゃれで、専門書がたくさんあって、高校の図書室とは何か違いますね」
　でも慣れ親しんできた図書室より、敷居が高い気がする。
「市の図書館とか、書店のほうが気楽です」
「そうだね」
　図書館で本を返したり借りたりした後は書店に寄る、本づくしのデートだ。
　本入りのバッグを持った二人は、最終的に珪の部屋に落ち着いた。

「旅行会社でパンフレットをもらってきたんです。夏の青森旅行のことも相談したいし」
　綾花はバッグからパンフレットを取り出す。
「ご両親にイベントのこと聞いてもらえました？」
　先日頼んでおいたことを訊いてみる。
（予定を立てやすいですし、青森に詳しくないので。住んでる方のお勧めはとても参考になるので予定に入れたいですし）
「ああ。８月の青森のねぶたまつりがいいだろうって。弘前とかでもあるけど、青森が一番有名だし」
「そうなんですね。それじゃねぶたまつりでお願いします」
「曜日に関わらず毎年２～７日にあって、最終日は受賞したねぶたを船に乗せて海上運航して、花火も上がるらしいよ」
「それじゃ、最終日はぜひ見たいですね。夏の青森旅行楽しみですね」

（ゴールデンウィークも始まったばかりなので日帰り旅行の計画も立てれたらいいな）
　そんなことを思っていると、綾花の心を読んだように珪が言った。
「夏もいいけど、GWの予定は？」
　待っていました、とばかり綾花は答える。
「珪さんの車に乗ってどこか行きたいです」
「どこかって、古書店街とか猫カフェとか？」
　綾花の好みはすっかり把握されている。
「私が選ぶとそうなりそうなので、珪さんの行きたいところも聞きたいです」
「僕の行きたいところ……そうだなあ」
「東京あたりにふらっと、どうでしょう？」
「混雑しそうだけど、そうだね。考えてみよう」
　
「あ、そろそろご飯の時間ですね」
　時計を確認した綾花は立ち上がる。
「夕食は冷蔵庫にあるもので作りますね。何が食べたいですか？」
「綾花さんが作ってくれるなら、何でも嬉しいよ」
　その言葉に嬉しくなりながら、綾花はつぶやく。
「いつかお泊りしたときは朝食作って一緒に食べるのも良いですね。いつなんでしょうね？　ふふっ」

「……夏の旅行はホテルだから、朝食は作らなくていいしね」　
　少し考えた様子の珪の言葉に、綾花は思う。
（夏旅行までに大人の色香を出せるようになりたいな。珪さんがドキドキしちゃうような女性に）

　メニューを考えていた綾花は、冷蔵庫のチーズに気づいて言う。
「あっ、ワインにあうおつまみも作りますね。ちょっと待ってて下さいね」
「ありがとう」
　二人で過ごす一日は、特別でなくてもゴールデンだ。

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