GW、どこに行く？｜リアクション

GW、どこに行く？

　５月３日はウォルター・Bの誕生日！
　しかも稲積柚春にとって、ちゃんと恋人になって初めての誕生日だ。
　力も入ろうというものである。
（……ワットは喜んでくれるかな？）

　まずは場所選びだ。
（どこも混んでるだろうけど、しっかり楽しんで貰わなきゃ）
「今日はワットの行きたいこと＆やりたいことを満喫するよ。どこに行きたい？　誕生日なんだから我が儘だってなんだって聞くよ」
　と伝えると、
「どこでもいいの？　迷うなぁ」
　ウォルターは嬉しそうに微笑む。
「あ、でも日帰りだからあんまり遠くには行けないよ？」
「そうだねぇ。それじゃあ……」
　　
　ウォルターが希望したのは、映画村の忍者ショーだった。
　物珍しい物には目を輝かせるワットのこと。
　時には子供に混じって……というのも覚悟してはいた。
「忍者体験してきてもいいかな？」
「いいよ」
　まわりは子供ばかりで、ウォルターは一際注目を集めている。
（でもまあ、楽しんでるならいいか）
　恥ずかしさよりも、ワットが楽しんでる姿に思わずスマホを構えてしまう。
「かっこいいよ、ワット」
　柚春の声に、ウォルターがこちらを見てウィンクした。

「いやー、楽しかったなぁ」
　レストランで夕食を済ませ、日も落ちて映画村を後にする。
　柚春はそっとウォルターに身を寄せた。
「1日の最後は僕の我が儘に付き合って」
「……何かなぁ」
　一瞬、油断ならないというような視線が柚春に向けられるが。
「僕の家にご招待」
　その言葉で、少し安心したようだ。
「喜んでご招待受けるよぉ」
「よかった」　

　自宅に着くと柚春は甘えるように言った。
「お土産で手が塞がってるから、合鍵で開けて」
「そう？」　
　少し不審げに、けれど素直にウォルターは合鍵を取り出した。
　中に入ると、暗い中にほのかなオレンジの明かりが灯っている。
「これは……？」
　玄関からリビングまで、ろうそく風の間接照明が並んでいた。
　リビングのドアを開けると、光と共に飛び込んできたのは、花束やバルーンアートで飾り付けられた景色だった。
　パーン！
　こっそり取り出していたクラッカーを鳴らして、柚春が声を上げる。
「ワット、誕生日おめでとう！」
「ありがとう……」
　驚いた顔のウォルターに、柚春は満足そうに言った。
「ふふ、サプライズは成功したかな。外国の人はサプライズが大好きって聞いたから、考えるの大変だったんだよ」
「ああ、驚いたよ」
「冷蔵庫にケーキもあるけど、まだ食べられる？　ワイン……は、僕がまだ飲めないから紅茶で許してね」
「それじゃあ、いただこうかなぁ」　

　手早く紅茶とケーキを用意して、柚春はウォルターとテーブルに着いた。
「これからも、一緒に年を重ねていこうね」
「ああ」
　
「ごちそうさま」
　ケーキを食べ終わると、素早く皿を片付けて柚春は言う。
「ほら、まだまだ誕生日は終わらないよ。ワットのお願いはもう終わり？」
「それじゃあ……」
　ウォルターは柚春のほうへ手を伸ばし――

　それから、二つの影がゆっくりと重なった。

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございました。
GWの一日、楽しんでいただけたら幸いです。

なおNPCの状態については、たくさんある世界線のひとつでのことです。
たとえば別の世界線のののこなら、バリバリ働いてるかもしれませんし何かに目覚めたりしているかもしれません。
ひとつの形にとらわれずご自由にお楽しみください。

それでは、またご縁がありましたらご参加お待ちしております。

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