ねこねこプリズンへようこそ！｜リアクション

ねこねこプリズンへようこそ！

　楽園へ来ちゃいました

　綾辻綾花はふるふると声を震るわせた。
「なんですか？　ここは……刑務所？」
　目の前には可愛いにゃんこの看守たち。
　隣にいる早川珪とは手錠で繋がれていて――
「いいえ、刑務所という名の楽園ですか……？」
　――綾花の震えが昂ってきて、胸までふるふる震えてくる。
　震えが極限に達したとき、綾花は瞳をめいっぱいに見開いた。
　握った拳を振り上げて、大きな瞳にキラキラの星と花々をいっぱいに散らして叫ぶ。
「にゃんこがいっぱいいて隣に珪さんがいて、『好き』が溢れていますーっ！」

　その後『縁側でおひるねの刑』を言い渡された綾花は、ぽかぽかの縁側でうとうとしはじめていた。
　手錠で繋がれたままなので、珪とも離れるに離れられない状況だ。仕方がないので（というより積極的に？）珪に凭れて、繋がれていない方の手では寄ってきた猫たちをなでなでしている。
「私の罪名は『遊んでくれなかった罪』だそうです……珪さんとデートの待ち合わせをしてたから遊んであげられなくて……にゃんこさんごめんなさい。でも後日遊んであげたはずだから、冤罪な気もしますが……」
　いつもなら優しく相槌を打ってくれる珪なのに、何の返事もない。
　おや、と思って顔を覗き込むと、珪はすうすうと寝息を立てていた。
「あら……寝ちゃったんですね。……ふふ、珪さんもにゃんこたちも無防備な寝顔で、可愛いです。ずっと見ていられそう……でも私も寝ないといけないんですよね」
　あふ、とひとつあくびをして。
　綾花はそっと珪の頭を抱えて、自分の膝へと移した。
　いわゆる膝枕だ。
「珪さんはこの方が寝やすいですよね……ん、むぅ」
　綾花はもぞもぞと身じろぎする。
　自分の胸が邪魔で、太ももに頭を預けている珪の寝顔が見にくいのだ。
　でもあまり身を屈めると、珪が胸で圧迫されて息苦しくなりそうだし……。
「胸がもう少し小さくなる刑とかないんでしょうか？」
　そんなことを半ば真剣に考えていた綾花だったが、いつしか膝枕のまま縁側の柱に凭れかかって、猫と想い人と一緒にうとうとすやすや……夢のまた夢のなかへ。
「ふぁ……これは刑という名のご褒美ですか？　……ずっとここに居たいぐらい幸せな時間です……」