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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
いたいのいたいの、とんでいけ
chapter.3 コンマ数秒の戦い
「なぜだ……！？」
授業開始まであと10分を切っていたその時、御剣 刀は南校舎一階のトイレで絶望していた。
眼前には、見事に満室のトイレ。
はあはあと荒い呼吸が、ここまで全力疾走してきたことを証明している。
彼、刀は早朝にランニングをこなしたあと、さらに神社で友達と剣の練習をするという、朝からなかなか激しい運動をしていた。
もっとも、それは刀にとっていつものことであって、今日が特別激しかったわけではない。
いつものことのようにトレーニングをして、いつものことのように朝ご飯を食べて。
いつものことのように登校……するはずだった。
それを邪魔したのは、突然の腹痛である。
「朝食べた卵……ちょっと古そうだなって直感を無視さえしてなければこんなことには……！」
トイレの前で頭を抱えながら、刀は今朝の愚行を後悔した。
しかし、いつまでもこうしていても仕方ない。後悔先に立たず、腹痛先に起こらずである。
「トイレにこもってて遅刻しました！ なんてかっこわるすぎて言えないよな……」
刀はふう、と大きく息を吐くと、「このままここにいても埒があかない！」と二階へ続く階段へと向かった。
目的地は、二階トイレ。つまり、二年生用のトイレだ。
ちょっと緊張はするけれど、この際そんなことは言っていられない。非常事態なのだ。
「ろっこんを使うか……？」
高速移動できる力を解放するか一瞬迷う。頭の中で撃鉄が落ちるイメージをすればそれは可能になる……けれど、刀はそれを躊躇った。
高速で動いた結果、胃腸が刺激されるのを恐れたのだ。
撃鉄が落ちると共に、他のものがお尻から落下する可能性がある。わるいらっかみが。
「どうか間に合ってくれ……っ」
祈りにも似た呟きを口にしつつ、刀は二階への階段を駆け上がった。
と、目の前に進路を塞ぐような形で男が歩いている！
「！！」
刀は驚き、目線を上にあげる。彼のすぐ前をふらふらと上っているのは、今にもダイヤモンドの輝きをばらまきそうな洋二だった。
「邪魔だワカメ！」
極限状態だったからか、とっさにそんな言葉が刀の口から溢れた。
同時に、階段の手すりに足をかける。そこを踏み台にし、三角飛びに似た形で刀は洋二を飛び越えた。
「おお……ビューティフル……」
そんな声が後ろから聞こえたが、刀はそれどころではない。一秒でも早く、トイレに行かなければいけないのだ。
「よし、このままトイレへ……！」
階段を上り終え、二階廊下の角を曲がる刀。
とそこで、一瞬視界がゆらいだ。
「っ！？」
次の瞬間刀が見たのは、廊下に尻餅をついて倒れている女子生徒。
それは、理科の特別教室から出てきて南校舎に移動していたしおりだった。
案の定、特別教室に胃腸の特効薬はなかったらしく、仕方なく授業を受けるため南校舎に移動したため不運にも衝突してしまったのだ。
「いたた……」
「だ、大丈夫か？」
手を差し伸べる刀。さすがに一秒でも早くトイレに、とは言っても自分の不注意で倒れた女子生徒を放ってはおけない。
「あっ、うん平気平気！」
「どこか、強く打ったりはしていないか？」
腰をさすっているしおりに、刀が聞く。しかししおりは、にっこりとマイペースな笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ〜、ほら、ちょうど湿布も持ってるし！」
「そ、そうか良かった……」
まさかわらしべ長者よろしく、こんな形で湿布が役に立つとは。まあ、わらしべ長者と違って特に何かを得てもいないけれど。
「あっ、もうこんな時間！」
しおりが刀に手を振って別れ、教室へと向かう。どうやらここまでのドタバタで、腹痛のことはもう頭から消えたらしい。
「そうか、もうすぐ一限開始か、まずいな……」
そして刀は。
しおりのそんな言葉を聞き、顔をしかめる。残された僅かな時間で、トイレに行き、腹痛の原因をすべて放出し、自分の教室に戻らなければならない。
はたしてそれが出来るだろうか？
いや、やらなければならないのだ。この命に代えても。というかこの命を守るために。
しかし、神は無情である。
二階のトイレに着いた刀を待ち受けていたのは、またもや満室状態のトイレなのであった。
さらに最悪だったのは、刀がトイレに入ったその瞬間、先ほど階段のところで追い抜かしたはずの洋二が個室に入るのを彼は見てしまったのだ。
きっと、しおりとぶつかったあのタイムロスの間に先を越されたのだ。
「ふう……どうにかダイヤモンドが輝く場所を見つけたよ……」
扉の中から洋二の心から安心した声が聞こえてきて、刀は思わず叫んだ。
「ワカメこんちくしょう！！」
「なぜだ……！？」
授業開始まであと10分を切っていたその時、御剣 刀は南校舎一階のトイレで絶望していた。
眼前には、見事に満室のトイレ。
はあはあと荒い呼吸が、ここまで全力疾走してきたことを証明している。
彼、刀は早朝にランニングをこなしたあと、さらに神社で友達と剣の練習をするという、朝からなかなか激しい運動をしていた。
もっとも、それは刀にとっていつものことであって、今日が特別激しかったわけではない。
いつものことのようにトレーニングをして、いつものことのように朝ご飯を食べて。
いつものことのように登校……するはずだった。
それを邪魔したのは、突然の腹痛である。
「朝食べた卵……ちょっと古そうだなって直感を無視さえしてなければこんなことには……！」
トイレの前で頭を抱えながら、刀は今朝の愚行を後悔した。
しかし、いつまでもこうしていても仕方ない。後悔先に立たず、腹痛先に起こらずである。
「トイレにこもってて遅刻しました！ なんてかっこわるすぎて言えないよな……」
刀はふう、と大きく息を吐くと、「このままここにいても埒があかない！」と二階へ続く階段へと向かった。
目的地は、二階トイレ。つまり、二年生用のトイレだ。
ちょっと緊張はするけれど、この際そんなことは言っていられない。非常事態なのだ。
「ろっこんを使うか……？」
高速移動できる力を解放するか一瞬迷う。頭の中で撃鉄が落ちるイメージをすればそれは可能になる……けれど、刀はそれを躊躇った。
高速で動いた結果、胃腸が刺激されるのを恐れたのだ。
撃鉄が落ちると共に、他のものがお尻から落下する可能性がある。わるいらっかみが。
「どうか間に合ってくれ……っ」
祈りにも似た呟きを口にしつつ、刀は二階への階段を駆け上がった。
と、目の前に進路を塞ぐような形で男が歩いている！
「！！」
刀は驚き、目線を上にあげる。彼のすぐ前をふらふらと上っているのは、今にもダイヤモンドの輝きをばらまきそうな洋二だった。
「邪魔だワカメ！」
極限状態だったからか、とっさにそんな言葉が刀の口から溢れた。
同時に、階段の手すりに足をかける。そこを踏み台にし、三角飛びに似た形で刀は洋二を飛び越えた。
「おお……ビューティフル……」
そんな声が後ろから聞こえたが、刀はそれどころではない。一秒でも早く、トイレに行かなければいけないのだ。
「よし、このままトイレへ……！」
階段を上り終え、二階廊下の角を曲がる刀。
とそこで、一瞬視界がゆらいだ。
「っ！？」
次の瞬間刀が見たのは、廊下に尻餅をついて倒れている女子生徒。
それは、理科の特別教室から出てきて南校舎に移動していたしおりだった。
案の定、特別教室に胃腸の特効薬はなかったらしく、仕方なく授業を受けるため南校舎に移動したため不運にも衝突してしまったのだ。
「いたた……」
「だ、大丈夫か？」
手を差し伸べる刀。さすがに一秒でも早くトイレに、とは言っても自分の不注意で倒れた女子生徒を放ってはおけない。
「あっ、うん平気平気！」
「どこか、強く打ったりはしていないか？」
腰をさすっているしおりに、刀が聞く。しかししおりは、にっこりとマイペースな笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ〜、ほら、ちょうど湿布も持ってるし！」
「そ、そうか良かった……」
まさかわらしべ長者よろしく、こんな形で湿布が役に立つとは。まあ、わらしべ長者と違って特に何かを得てもいないけれど。
「あっ、もうこんな時間！」
しおりが刀に手を振って別れ、教室へと向かう。どうやらここまでのドタバタで、腹痛のことはもう頭から消えたらしい。
「そうか、もうすぐ一限開始か、まずいな……」
そして刀は。
しおりのそんな言葉を聞き、顔をしかめる。残された僅かな時間で、トイレに行き、腹痛の原因をすべて放出し、自分の教室に戻らなければならない。
はたしてそれが出来るだろうか？
いや、やらなければならないのだ。この命に代えても。というかこの命を守るために。
しかし、神は無情である。
二階のトイレに着いた刀を待ち受けていたのは、またもや満室状態のトイレなのであった。
さらに最悪だったのは、刀がトイレに入ったその瞬間、先ほど階段のところで追い抜かしたはずの洋二が個室に入るのを彼は見てしまったのだ。
きっと、しおりとぶつかったあのタイムロスの間に先を越されたのだ。
「ふう……どうにかダイヤモンドが輝く場所を見つけたよ……」
扉の中から洋二の心から安心した声が聞こえてきて、刀は思わず叫んだ。
「ワカメこんちくしょう！！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2013年12月13日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年12月20日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年12月20日 11時00分
