ねこねこ記者と、ののこがいる未来｜リアクション

ねこねこ記者と、ののこがいる未来

ねこねこ記者、綾花ちゃんと早川先生に見つかる

「そこにいるのは……ねこねこ記者さんですか？」
　キャットロードの隅にあるゴミ箱のわきに潜んでいた吾輩は、突然背後から小声で呼びかけられてびっくり仰天、飛び上がったにゃ！　にゃにゃにゃ、誰にゃ、吾輩に気づいたのは！
　振り向くと、そこにいたのは綾辻綾花ちゃんと、ネココーの早川珪先生だったにゃ。

　――ここで少々、自己紹介にゃ。
　吾輩は週刊かぎしっぽのねこねこ記者。
　日夜、大スクープ「かぎしっぽ砲」のネタを探して寝子島を駆け巡る敏腕記者にゃ！
　今日のターゲットは、野々ののこちゃん！　ネココーを卒業したののこちゃんの現在を探るべく、吾輩は物陰からこっそり尾行をしていたにゃ。
　ところが――まさかまさかの、見つかってしまったにゃー！
「見つけちゃいました。あまりに可愛い背中だったので」
　綾花ちゃんは口元に手を当て、ふふふと笑っている。
　一緒にいる早川先生は、首をかしげて吾輩を眺めて。
「ええと……？」
「あっ、彼は、ねこねこ記者さんっていうんです。週刊かぎしっぽっていう雑誌があって……」
　あああ、綾花ちゃん！？　ななな、なんでそこまで知ってるにゃ！？
「以前、図書室で記事を読ませてもらいました。ちょっと恥ずかしかったけど大切な思い出を記事にしてくれたみたいで」
　綾花ちゃんはそう言って、照れくさそうに早川先生を見上げたにゃ。
　たしかに吾輩、前に、ねここーの流れ星観測会の取材にきて、綾花ちゃんのことを記事にしたことがあったにゃ。たしか、キスがどうこう……。
「珪さんも読みましたか？」
「いや……見た覚えはないな」
「そうですか。図書室にそのままにしてきたので、まだあると思うんですが……」
　にゃご！　吾輩、早川先生のことを『ずるい大人の男を許すまじ』って書いたにゃ。気まずいとはこのことにゃ。読まれないうちに図書室に忍び込んで週刊かぎしっぽを回収しにゃければ……なんて焦っていると、綾花ちゃんは早川先生へハートマークをいっぱい飛ばしてささやいたにゃ。

「今は偶然じゃないキスしてくれるからにゃんこたちも許してくれてると思いますよ」

　にゃにゃ～！　イチャイチャにゃあ。
「ところでねこねこ記者さん。今日は誰の取材なんですか？」
　追跡取材中に見えたので、って……なんでもお見通しなのかにゃ！？
「まさか私たちのスクープではないですよね？」
　そう言って早川先生と目配せしあう綾花ちゃん。
　綾花ちゃんたちのことも気になるけれど、今は、ののこちゃんのことを取材中なのにゃ。
　……って、にゃにゃっ！？
　ののこちゃん、どこ行ったにゃ！？
「見失っちゃったんですか？　私たちも探すのお手伝いしますよ。ね、珪さん？」
「構わないよ。なんだか不思議だけれど……って気にするのは野暮なんだろうね」
　というわけで。
　吾輩は綾花ちゃんと早川先生という助手を得て、見失ったののこちゃんを探すことにしたにゃ。

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