ねこねこ記者と、ののこがいる未来｜リアクション

ねこねこ記者と、ののこがいる未来

ねこねこ記者、ののこちゃんと英二くんを追う

　いったいののこちゃんはどこへ行ったにゃ？
　吾輩たちがキャットロードをきょろきょろと探しながら歩いていると、曲がり角のところに立つ人待ち顔の佐藤英二くんを見つけたにゃ。腕時計とにらめっこしていた英二くんは、はっと顔をあげたと思うと、軽く手をあげ笑顔になったにゃ。
「野々さん！」
「英二くーん。ごめんね遅刻して。おいしそうなクレープ屋台が出てたからつい」
　にゃあ！　ののこちゃんが向こうから走ってくるにゃ！　ようやく発見にゃ！
　ののこちゃんは手にクレープを二つ持っていて、片方を英二くんに渡したにゃ。
「はいっ！　あげるっ」
「ありがと。……わっ、クレープの中に猫がいる！」
「そうなの！　アイスにチョコで顔が描いてあってねー。ほら、お耳はクッキーなんだよ？　お手々もまあるいクッキーでねー、苺を持っているみたいなんだ！」
「ほんとだ。かわいいね」
「でしょでしょ？　一緒に食べよー！」
　はむはむと、猫クレープを食べはじめるののこちゃんと英二くん。
　猫を食べる……吾輩、猫ゆえに若干微妙な気持ちにゃけど、隣にいる綾花ちゃんは「私達も今度あれ食べましょう」なんて早川先生とこそこそと話をしていて、お気に召した様子にゃあ。
　やがて、ののこちゃんと楽しくクレープを食べ終えた英二くんは言ったにゃ。
「それで――今日はたしか目的なく散策に臨むかんじだったかな？」
「うんそう！　行こっ！」
　ののこちゃんが張り切って歩き出し、英二くんはそれに付き合っているようにゃ。
　あの顔は……ののこちゃんをちょっぴり心配しつつ、見守ってる顔にゃ。
　英二くんはたしか大学生になって、マタタビ大学ホーガクブってところに通ってるらしいにゃ。ホーリツのお勉強に忙しそうにゃけど、合間を縫ってよくののこちゃんとは会っているようにゃ。
　一方の、ののこちゃんは、吾輩たち猫と同じようにその日その日を風の向くまま気の向くまま。ガクセーさんでもシャカイジンでもない、何者でもない身分を満喫しているように見えるにゃ。
　英二くんはそんなののこちゃんに、とことんお付き合いするつもりのようにゃ。
「野々さんの進路は未定だけどまあ焦らずに……ひょっとしたらこうして気ままに散歩してたらやりたいことのヒントが見つかるかもしれないしね」
「おー！」
　こぶしを高々と掲げるののこちゃん。
「あ！　みて！」
　と走り出したかと思うと、缶ジュースの自動販売機の前で飛び跳ねてるにゃ。
「すっごい！　ゴーヤチャンプルージュースだって！」
「うわ謎ジュースだ、味が想像できないよ」
「気になる！　買おう！」
「え！？　たぶんというか絶対マズいと思うけど……」
　戸惑う英二くんを尻目に、ののこちゃんはゴーヤチャンプルージュースを買い、そのあとふたりはしぶ～い顔をして緑色の缶の中身を交互に飲んでいたにゃ。

「あ、あ、あれは！」
　物陰にいる吾輩の隣で綾花ちゃんがおののいているにゃ。
　どうしたにゃ、と見上げると綾花ちゃんは小声で早川先生に告げたにゃ。
「ひとつの缶を回し飲みして……間接キスです……！」
　にゃにゃあ～。
　吾輩、そんな視点で見てなかったにゃ！
　スクープ写真を取り損ねたにゃ～！

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