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にょろっと巳(み)ラクル!新春☆初夢フェア2025 鷹編
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【幽泳】
「おかしな生き物だなあ、きみは」
「あなたには言われたくないわね……」
仙藤 紫
は碧緑の海を泳ぐ。はて自分は陸上に暮らす生き物ではなかったかと首をひねるも、ぬるま湯のようにとろりとしてなめらかな水は、まるで初めから住人であるかのように紫を歓迎した。手足をかけばすいすいと自由自在だし、どれだけ深くもぐろうと息苦しくはなく、水の厚みに押し潰されることもなかった。
巨体の相棒は歌う。奇妙なハミングは波のように寄せては返し、海中にオーロラめいて広がってゆく。それは安堵と昂揚の具象化であり、彼という存在のまさしく永遠を示していた。紫の何十倍と大きな身体をして、その歌声はあたためたミルクのようにしっとり、繊細に紫の内へと染み渡った。
紫の持つ知識に照らし合わせれば、彼は途方もなく巨大なカツオノエボシに似たクラゲ状の生物だが、刺胞も毒も持たないのだという。たしかにそうでなければ彼は紫を優しく包み込むこともできまいし、なにより彼の優しさに満ちた気質に毒など似合わない。必要もないのだ。
「だって、クラゲがしゃべるだなんて」
「クラゲはしゃべらないだなんて、誰が決めたのさ?」
「さあ……神さまかしらね」
「きみこそ、泳ぐためのヒレもなければ、獲物をとらえるための牙も角も、ぼくのような触手だってないじゃないか」
「あら、心外ね、それじゃ私がなにもできないみたいじゃない。人間はね、知恵と勇気でどうにかするものよ」
「ふうん。やっぱり変わってるよ、きみ」
「おたがいさまね」
くすくすと笑い合う。
彼との道行きはウィットに富んで実に楽しく、長年連れ添ったような安心と安堵、心の隙間を埋める充足に満ちていた。彼との種の異なりなど些末で、深く友情をはぐくむことの障害とはまるでならなかった。
どこから来たの、と彼はたずねる。
「島よ。寝子島」
「しま? 見たことないなあ。いいところかい?」
「そうね。気候はおだやかで居心地はいいし、施設も充実してるし、いいひとたちばかり。それに……」
「それに?」
「家族がいたわね」
彼はなにも言わず、触手を波に揺らめかせた。
家族がいた。両親や妹。友人や仲間たちも。今はどこかへ行ってしまったのか、見当たらないが……いずれふたたび出会うだろうか。この海で、あるいは故郷で。
「あなたの……家族は?」
少しためらいがちに、しかしはっきりとたずねた。彼を知りたいという思いが強かったし、彼も誰かに語りたいのではないかと感じた。言葉だけではなく、彼の所作や触手の一本一本のゆらぎ、半透明の傘が見せる七色の発光具合からそのように読み取った。心理学者かカウンセラーを目指す紫だから、彼の心にわだかまるものがあるのなら、少しでも重荷を取り除いてやることができればと思った。
「ずいぶんと長いこと、生きてきたからね。みんな先にいってしまったよ。茜の国へ」
茜の国なるものがおそらく天国のようなもので、彼、ひいてはこの海に暮らすものたちにとって特有の概念であろうと紫は察した。日が暮れゆけば海面上は赤く染まる。海のものたちにとって、そこは永遠に届かぬ場所なのだ。
紫は泳ぎ、彼の小山のような頭へのぼると腰を下ろす。表皮をめぐる光の脈動が尻をなぞるたび、どこかあたたかい。
「さみしい?」
たずねると、脈動は少しゆっくりとなった。紫の声と言葉が彼を感化しているのだろうか。
「どうかな。どうだろう……みなが白化して沈んでゆくのを見送るのは、悲しかった。みなの魂が光に変わり、茜の国へと昇っていくのは、そう、さみしかった。誇らしくもあった……けれど、どれも一瞬だった。今はただ、歌がない。みなを、ぼくを表す歌が聞こえない。それが永劫に続くんだ。ただそれだけだ」
彼の頭に寝転ぶ。あたたかい。永劫の広がりを感じる。彼は歌う。かつて歌は相互に響き合うものであったのだろうが、今は一方向にのみ広がるものとなった。
魚たちが目の前をよぎる。魚たちはいずれも彼の前で泳ぎを止め、かしずくように首を振り、去ってゆく。彼がどれほどに長く、永く海に存在しているか、海にとってどれほどに偉大な存在であるかを紫は知った。
「私と今こうしておしゃべりしているあなたは、なにものかしら」
「うん? ともだちかな」
「そうね。クラゲと人間。それでもともだちになれるのなら、誰とだってそうできると思わない?」
「誰とでも……?」
ゆうゆうと泳ぐクジラ。鋭く獲物を探すサメたち。岩場にひそむ、彼と同じくらいに巨大な軟体生物も、深海に息づくいまだまみえたことのない何者かも。海にとって彼があまりにも大きいからか、彼自身も気づかぬまま、そこには多様な生命が棲んでいた。
紫は続ける。
「私や、あなた以外の誰かと過ごす時間は、一瞬かもしれない。でも過ごした思い出や、そう。歌は残るわ」
「ああ……歌は残る。そうだね。そのとおり」
歌が響く。紫のまだ耳にしたことのない、新しい歌だ。これまでの彼とは違う歌だ。
その証に、歌は響き合った。どこからともなく歌が生まれ、また違う歌を生み出した。どこまでも、響き渡っていった。
彼は呆けたようにしばし言葉をつむぐのをやめ、やがてぽつりと言った。
「こんなに簡単なことだったのか」
「ね。そうでしょう」
「ああ、素敵だ。歌は残る。君も、彼らもやがて去ってゆくけれど、歌はどこまでも響いていく。ああ、楽しいな。嬉しいよ」
歌が万能薬とはならないが、いつも彼の孤独をやわらげ癒すだろう。彼はいつかどこかでこの歌を耳にして、紫の微笑みをふたたび想起し、七色にきらめくだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年01月02日
参加申し込みの期限
2025年01月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年01月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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