【クリスマス】ポムポムトナカイと気まぐれサンタのクリスマス｜リアクション

【クリスマス】ポムポムトナカイと気まぐれサンタのクリスマス

◆サンタと映画村

　とある休日。
　マリエッタ・ラシュリエは冬の寝子島を歩く。外に出たものの、目的地はこれから決めるつもりだった。クリスマスということもあり、どこも華やいでいる。雰囲気を楽しんでいると、目の前にサンタが現れた。　
　しかしプレゼントを配っている様子がない。

（サンタよね？　でも、雰囲気もなにか違うような）

　この時期なら色々な店でスタッフが仮装しているのを見かける。しかしデフォルメされた人形のようなサンタで、仮装には思えなかった。そんなサンタが彼女に近づいてくる。

「だりぃわ！　今日はクリスマス中止！　ということで一緒に遊ばない？」

　一瞬、なにが起こったのか分からなかった。サンタが自らクリスマスの中止を宣言し、職務放棄をしようとしている。しかもその流れでナンパしてきた。

（仕事放棄してナンパとは何考えてるのよ。それに私は彼氏がいるの。絶賛長距離恋愛中だけどね！）

　心のなかでそう思いつつ、なんとかナンパを丁重に断る。しかしこのまま放っておくと子供たちにプレゼントが届かない。『子供たちのために』などと言っても聞き入れないだろうし、この気まぐれサンタは自分が満足しない限り仕事をする気にはならないだろう。

（楽しめる場所を満喫したら仕事をしてくれるかもしれないわ）

　そこでマリエッタはサンタを寝子島映画村に案内した。ただ、時代劇を撮影しているエリアも雪が積もっていて流石に撮影はやっていないようだ。

（どうしよう……）

　しかし殺陣のショーはやっているようで、いいところに出くわしたと思い立ち寄る。

（やっぱり直接見ると迫力が違うわ）

　マリエッタは興奮しながら見ていたが、ふとサンタに目線を向ける。

（このサンタはどう思ってるかな）

　こうして映画村を訪れたのはサンタに満足してもらい、仕事に戻ってもらうことが目的。するとサンタはマリエッタのほうを見て、自分をやってみたいと意思表示してきた。

（侍とサンタが斬り合う姿が見られるのかな？）

　どんな風になるか想像できなかったが、サンタはやる気だった。スタッフから作り物の刀を受け取ると、ノリノリで振り回す。

「ていっ！　やあ！　とうっ！」

　一振りするたびにサンタが掛け声を出す。やられる側も流石プロなだけあって美しく斬られていく。なによりサンタと侍が刀でやりあっている様子が珍しく、会場が沸いた。殺陣体験が終わると、サンタは満足そうだ。

「少しはやる気を取り戻した？」
「おう！　楽しかった！」

　いい気晴らしになったんだろう。サンタはマリエッタに一言礼を残して仕事に戻っていった。

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