【クリスマス】ポムポムトナカイと気まぐれサンタのクリスマス｜リアクション

【クリスマス】ポムポムトナカイと気まぐれサンタのクリスマス

◆意外な来訪者

　クリスマス当日。
　朝永真深は星ヶ丘の自宅でのんびり過ごしていた。今年も両親は仕事のため今は海外にいる。通いの家政婦も今日は家族で過ごすため来ないらしい。そのため今日は珍しくひとりきりだ。

（さて、なにしようかな……）

　１人の時間をどう過ごそうかと考えていたら、庭に何かが迷い込んできたのが見えた。

（……猫、じゃないよね？）

　窓の近くまで移動して庭に警戒の目を向ける。じっと観察していると、そこに現れたのはぬいぐるみのようなデフォルメをされたトナカイだった。

（トナカイのぬいぐるみ？　風船？　でも自分で動いているような……）

　混乱はしたものの、とくに害は無さそうなので警戒を解いた。なんとなく眺めていたら、そのトナカイが真深のほうへポムポムと跳ねるように近づいてきた。
　とても可愛らしいので思わず窓を開けると、そのトナカイは人懐っこいのか甘えん坊なのか、彼女を警戒する様子もなく甘えてきた。

（もちもちで柔らかい……）

　触れてみると独特の感触があった。少し迷ったものの、家の中に入れることにした。家に入っても変わらずポムポムと跳ねている。しかし何かを探しているようにも見えた。

（お腹空いてるのかな？）

　なにか食べ物が無いかと思い台所に行って調べたら、ニンジンが数本あったので２本ほど抱えて持っていく。

「野菜とか食べる？」

　普通のトナカイなら食べる気がするが、目の前のトナカイが食べるかどうか自信が無かった。しかし差し出されたニンジンを美味しそうに食べ始めたので、安心して２本目を差し出した。そして２本目も平らげるとトナカイは満足そうだ。
　するとお礼のつもりか、真深を自分の背中に乗せて――宙に舞い上がった。

「え？　うそ？」

　思わぬ展開にトナカイにしがみつくのがやっとだった。しかし安定して空を飛ぶうちに慣れてきて、景色を見る余裕まで出てきた。

「きれい……」

　眼下に広がる寝子島の夜景を心行くまで楽しんだ。１時間ほどで空の散歩から戻ってくると、トナカイは真深をそっと下ろして去っていった。

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