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ストロベリームーンの香りに誘われて
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梔子の甘い香りが流れて来る。
紫陽花に彩られた小さな公園の前、
綾辻 綾花
は六月の風に揺れるスカートの裾を整える。
初夏の空の色したワンピースにジーンズ地のジャケット、
(ちょっとおめかし、……になってるかな?)
胸元には白黒猫のブローチ。大学生になって覚えた化粧もがんばってみたけれど、
(大人っぽくなってるのかな?)
出掛けに鏡で何度も確認してみたものの、あんまり自信はない。
(なれてたらいいな)
ね、と胸元のブローチにそっと触れてみる。誕生日の今日をお祝いしようと誘ってくれた大切なひとが、去年の誕生日に贈ってくれた宝物。今日は絶対につけて行こうと決めていた、あのひとからのプレゼント。
指先に触れるブローチの感覚に、知らず胸がどきどきと鳴る。
去年の誕生日は『先生と生徒』だった。けれど、今年は――
公園に面した道に車のエンジン音が聞こえて、綾花は顔を上げる。音を辿って見遣った先を過ぎてゆく知らない車にそっと睫毛を伏せながら、あのひとと会えることを心の底から楽しみにしている自分に思わず小さく笑ってしまう。
(今だって)
あのひとが迎えに来てくれるのが嬉しくて楽しくて、心臓がずっとどきどきわくわくしている。今日のために選んだ服が似合っているか何十回と確かめて、練習したお化粧が上手にできているか何度もコンパクトの鏡を覗き込んで、車の音が聞こえる度にその方向へ目を向けて。何をしていても落ち着かなくて、そわそわうずうずしてしまう。
待ち合わせ時間だってまだまだ先なのに、随分と早く来てしまった。
それでも、あのひとを待っているのはとても楽しい。待ち合わせができるのは、
(恋人みたい)
ふわふわと熱を帯びる頬を両手で抑えて、
(みたい、じゃなくて)
緩む唇も一緒に隠す。
(……みたい、じゃない)
桜の季節が終わり、瑞々しい若葉が萌え出り始めたあの日。
眩しい光が降り注いだあの日、綾花は『珪先生』に――
早川 珪
に胸の内の想いをあますところなく告げ、答えをもらった。想い続けて来たひとと心を通じ合わせた。
(……珪さん)
お付き合いを始めて数ケ月も経っていない恋人の名を胸に囁く。それだけで胸はふわふわ、あたたかな陽だまりに包まれるよう。
その恋人が、誕生日のお祝いにディナーに招待してくれるという。
誕生日を憶えていてくれたことが嬉しかった。
お祝いをしてくれる気持ちが嬉しかった。
ふわふわする胸と大切なブローチを両手に包み込んだとき、見慣れた車が傍に停まった。
「綾花さん」
開いたドアから現れた珪は、黒いスラックスに白いシャツ、そうしてネイビーのジャケット姿。
「ごめん、待たせてしまったかな」
申し訳なさそうな顔をする珪に、綾花は鮮やかに笑って見せる。
会えただけで心が弾むのに、示し合わせてもいないのにペアルックともなれば、
「珪さんっ」
思わず駆け寄ってしまうというもの。うっかり人目もはばからず抱き着きそうになるのはぐっと我慢して、背の高い年上の恋人を仰いで綾花は顔中で笑う。
応じて微笑んだ珪の表情はどこか眩し気だった。
「それじゃあ、行こうか」
まるでお姫さまにするように恭し気に伸ばされた手を綾花は丸めた眸で見つめる。ぱちりと瞬いて、ふわりと頬を上気させる。
「はい、珪さん」
差し出された大きな掌にそっと指先を重ねれば、導かれたのは車の助手席。
珪が静かに開いたドアの向こうには、真っ赤な薔薇の花束が鎮座していた。
「わ……!」
「恋人に贈る花というのが、正直僕にはよく分からなくて」
薔薇の花束を両手に抱いて笑う綾花を助手席に座らせ、珪は運転席へ乗り込む。
どこか照れた面差しをする珪の横顔に綾花は微笑んだ。一回り年上の男性ではあるけれど、珪は時々、恋に慣れない少年のような表情をする。
「とっても綺麗です。それにいいにおい」
車内を満たす薔薇の香に瞳を細めて言うと、珪は安堵の表情を浮かべた。
綾花がシートベルトをしたことを確認して、車が動き始める。
「ドライブとしては短い距離だけど」
そう言って笑った珪が教えてくれた行き先は、星ヶ丘の海が見えるレストランだった。
「綾花さん」
信号で停止した車の中、珪は薔薇を抱きしめたままの綾花を見つめる。
「……は、はい」
大好きなひとのまなざしを受けて綾花は照れた。ふわりと頬を真っ赤にしつつ、綾花は傍らの珪を見つめ返す。
まなざしの先に、手を伸ばせば届くところに、恋したひとがいる。熱を帯びたまなざしを向けてくれる。
「今日はとても綺麗だ」
まるで口説くように言ってから、珪ははぐらかすようにハンドルを握り直した。
「……綾花さんはいつも可愛いけれどね」
「お、お化粧! お化粧をしてみました……!」
大人っぽくなったと褒めて貰えた気がして嬉しくて、背伸びを見抜かれたようで恥ずかしかった。
薔薇の花に顔を埋めながら、薔薇よりも紅く頬を染める綾花の様子に、珪はそっと息を零す。
(抱きしめたい、けれど)
車のハンドルから手を離すわけにはいかない。
今日は誰より何より大切な女性が隣に乗っているのだから。
(……喜んでもらえるだろうか)
暮れ行く空を窓に眺め、目的地までの道程を頭になぞる。きちんとエスコートできるだろうかと今日のために立てた計画も脳裏に繰り返す。
初めて付き合った女性だった。
学生時代に声を掛けて来る女性はたくさんいた。告白されたこともそれなりにある。それでも、誰の手も取らずに今まで過ごして来た。これからもそうなのだろうと静かに絶望していた。
誰かを好きになることなんて二度とないだろうと思っていた。
それなのに。
真っ直ぐに、どこまでも真っ直ぐに向けられた想いに、気づけば答えたくなっていた。向けられるまなざしを眩しく思うようになっていた。
年齢の差を考えた。お互いの立場を考えた。それを理由に彼女への想いを断とうと考えている自分に気づいて、愕然とした。
(僕は綾花さんが好きだ)
気づけば誰より可愛らしいと思うようになっていた。
誰より愛おしいと思うようになっていた。
あの雨の日の傷はまだ確かに胸の奥に冷たい痕として残っているのに、それでもその傷を癒そうと思えるようになったのは、傷痕を赦そうと思えるようになったのは、――
「珪さん」
誰よりも近くで、誰よりも優しく名を呼んでくれる女性のお陰だ。
「夕陽がとても綺麗ですね」
「そうだね」
誰より美しいひとに珪は頷く。
「月もきっと綺麗に見えるよ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年12月05日
参加申し込みの期限
2024年12月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年12月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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