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ストロベリームーンの香りに誘われて
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テーブルの上には苺のホールケーキとワイングラス、それから花瓶に活けた真っ赤な薔薇。
(九本の薔薇……)
珪がカトラリーを用意してくれている間に薔薇を飾った綾花は、数えた薔薇の数の意味するものを思い起こす。
いつか読んだ恋愛小説に、確か薔薇の色や本数の意味するところが記されていた。
記憶を辿っているうちに、珪がワイングラスに白ブドウのジュースを注いでくれる。
「それじゃあ」
「はい」
「誕生日おめでとう、綾花さん」
「ありがとうございます」
チン、と今日二度目の乾杯をする。
大好きなひとの部屋で大好きなひとに誕生日を祝ってもらえることが嬉しくて嬉しくて、綾花はジュースを口に含みながらちょっぴり泣きそうになる。
「綾花さん?」
向かいの席から心配そうに覗き込んでくる珪に綾花は笑みを返す。
「違うんです、嬉しくて」
珪の優しい指が伸びて、目元に滲む涙を拭ってくれた。
柔らかくて、けれど大人の男性の大きくて骨張った指先に、恋するひとの体温に心が震えた。泣いてはいけないと思えば思うほど涙が溢れて零れた。
「嬉しすぎて、……」
珪さん、と傍に居てくれるひとの名を呼ぶ。
「好きです」
「……うん」
吐息のように珪は微笑んだ。
「僕も、綾花さんが好きだ」
ふたりで分けて食べた苺のケーキは、苺の甘酸っぱさを生クリームのふわりとした甘さが包んで、
「……恋の味がします」
思わずぽつりと零した綾花にケーキを掬ったフォークを珪は差し出す。
「恋の味か。いいね」
あーん、とばかりに差し出されたケーキを綾花はしばらく見つめる。何の気負いもない表情でケーキを差し伸べる珪を見つめて、思い切ってぱくり、ケーキをひとくち。
(間接キス……)
恋人同士になって、唇を重ねる機会だって何度もあったけれど、それでもやっぱりキスは特別だ。
今目の前にいるひととなら、きっと何度目のキスだってどきどきするに違いない。
「そろそろ月を見ようか」
不意に立ち上がって窓のカーテンを開ける珪のうなじが赤い。
自分だけではなく珪もきっとそうなのだと思って、綾花はくすぐったいような思いがした。
窓辺に椅子を並べて置き、部屋の電気を消す。
夜空の低い位置にふわりと浮き上がる、夕陽の色を見つめ過ぎたように薄紅を写し取ったストロベリームーンを寄り添いあって眺める。
「ローズムーンとも呼ばれてるみたいです」
綾花の膝の上にはあの日に買った月の本が広げられている。
遠い南の島で撮られたストロベリームーンも美しいけれど、恋するひとの部屋の窓から見上げる月はそれ以上に美しく鮮明に見えた。
月の光に照らし出された本の月を指先に撫でる。
ストロベリームーンよりも赤い花瓶の薔薇を見遣る。
(――『いつも一緒にいてください』)
九本の薔薇の花言葉をふと思い出す。同時に、赤い薔薇の花言葉も。
(『あなたを愛しています』)
ぶわりと熱を帯びる頬を掌で抑える。部屋の電気が消えていて良かったと心の底から思った。きっと今は、薔薇よりも赤い頬をしている。
月を仰ぐ。
(『恋を叶える月』……)
ストロベリームーンの別名を胸に囁く。恋を叶えたふたりでその月を見られるなんて、あの時は――六月の月の可愛らしい別名を知った時は、思ってもみなかった。
精一杯に、胸いっぱいに恋をしていたけれど、諦めるつもりなんてなかったけれど、叶えられるとも思っていなかった。彼の空に降る雨を遮る傘になりたかったけれど、彼はもしかしたら傘を必要としていないのかもしれないと思っていた。
(でも)
傘になれずとも、傍にいることは出来るはずだから。
雨がやむまで、空が晴れるまで、ずっとずっと一緒に居よう。
隣同士で月を見上げながら、綾花の胸は大好きなひとへの想いでいっぱいになる。
「綺麗ですね」
胸いっぱいの想いを籠めて珪を見つめる。
月に照らし出された恋人の横顔も、夜色の静かな瞳も、しんと伸びた細身の身体も、
「珪さんも、綺麗」
胸に浮かんだ言葉をそのまま口にした途端、珪はぱちりと瞬いた。くすりと笑い、月から綾花へと視線を移す。
「それは僕の言葉だ」
見つめられるままに囁かれ、綾花は轟く胸の煩さに視線を逸らしたくなった。
恋するひとに見つめられることにはまだ慣れない。学生時代に視線を交わすことはあっても、見つめられることはあっても、それはどうしたって『先生』のまなざしだった。生徒を見つめる優しい色はあっても、こちらを求めるような色はなかった。
「珪さん、……」
恋人の名を呼ぶ声が知らず掠れる。
恋人として見つめられることにいつまでも慣れずとも、月の光に照らし出された恋人を見つめていたい強い気持ちもあって、結局は瞬きも忘れるほどに珪を見つめるに至る。
伝えなくては、と思った。
「素敵な誕生日をありがとうございます」
胸を満たす感謝を。尽きぬ恋情を。
見つめるまま、恋人の顔にそっと顔を寄せる。睫毛の触れる近さで見つめあったまま、唇を重ね合わせる。
珪の優しさが重ねた唇から伝わって来て、綾花のドキドキする胸をふんわりとした温かさで包み込んでくれた。
手と手を重ね、絡め、ふたりは月を見上げる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年12月05日
参加申し込みの期限
2024年12月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年12月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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