海上学園都市ネコトピア　うみねこ大図書館の秘密の扉｜リアクション

海上学園都市ネコトピア　うみねこ大図書館の秘密の扉

【あらたな冒険へ！】

　別世界のお茶を楽しんで、めいっぱいプールで遊んだあの日から、数日後のこと。
　うみねこ大図書館はあいかわらずの静けさで、ゆったりまったりとした時間が流れてゆく、綾花のお気に入りの空間です。
「それにしても、先日のあれは不思議な体験だったね」
　事務仕事はひと区切り。珪先生はふうとひとつ息をついて、猫写真集を眺める綾花へ言いました。
「別世界のネコトピアとはね。驚いたよ」
「はい。でも、楽しかったですね」
「ははは、たしかに。楽しかったな」
　ふんわり微笑む珪先生の横顔を、綾花はじいっと見つめます。ああ、なんたるハンサム。なんたるクール。
「いつでも来ていいと言われたし、そのうちまたお茶会にお呼ばれしようか。学園長にも話を……ん、どうかしたかい、綾辻さん」
「あ、い、いえ！　なんでもないです……！」

　しゅばっと猫写真集に視線を落としつつも、やっぱりちらっ。ちらり。
　端正なお顔を眺めていると、あのお茶会の日に聞いた言葉がふたたび、綾花の脳裏に浮かび上がりました。

　紅茶をカップへ注ぎながら、もう一匹のレオは言いました。
「このお茶会にはいつも、ゲストが来てくれるんニャ」
「ゲスト、ですか？」
「そうだニャー、大物ゲストニャ！　いぬねこの国の王さまとか、有名な週刊誌の記者とか……アヤカ、君も素敵なゲストだニャー」
「そうですか？　ふふ、ありがとうございます。学園長と同じくらいかわいいですね、レオ。撫でてもいい？」
　にゃっはっは、とこころよい了承に、なでなでなで。彼はとろんと目を細めながら、
「この前、ある女の子がお茶会に来てくれてニャア。オレの大恩人でニャ、アヤカ、君によく似た人間の女の子でニャ」
「私に？　ですか？」
「そうニャー、それはもうものっすごく、めちゃくちゃ似てる女の子なんニャけどニャ。その子が教えてくれたんニャー。ずうっと好きだった人に告白して、恋人同士にニャれたんだーって」
「えっ、そうなんですか！　おめでたいですね♪」
　彼の浮かべたふんわりやわらかな笑みが意味するところを、アヤカが知ることはないかもしれません。
　彼はただ、ふんにゃかふにゃん。なんだかとっても嬉しそうに、にーっこり。弾むように笑うのでした。

（……君もがんばるニャー！　って、言ってたのかな？）
　なんてぽやっと考えながら、神秘的な海の色を帯びてかがやく彼の端正なお顔をじっくり堪能していたら。
「アヤカさん、いますか？　あっ、いた！　アヤカさーん！」
「おい、なんだよ俺まで……俺も手伝うのかよ」
「まあまあ、ほら、テオさまも♪」
　やってきたのは、仏頂面の灰白猫をぐいぐいと引っ張ってごきげんなミラ。二匹は最近なんだか、ちょっぴり仲よし？　みたいでして。綾花も見ていてほっこりです。
「テオさまが、あたらしいウワサを仕入れてくださったんですよ！　真相を確かめにいきましょう！」
「いや、ちょっと小耳にはさんだだけなんだが。メス猫どもが言うには」
「メス猫？　いったいどこの……」
「そ、そいつらが言うには、やまねこ博物館の水棲恐竜の骨格標本が、深夜に動き出して歌うとかなんとか」
「わあ、楽しそうですね！」
　綾花はくるり、珪先生を振り返ります。彼はふんわり、にっこり。
「僕もつきあっていいかな？　綾辻さん」
「はいっ。もちろんです！　あとでクロワも誘わなくっちゃ……ふふっ、楽しみですね♪」
　みんなと、そして彼と、この海上学園都市で体験すること……そのすべてが綾花にとって大切な思い出で、幸せです。大図書館の秘密の扉について解き明かしたのと同じように、今度もきっと、素敵な思い出が見つかることでしょう。
　ぷかり、海に浮かぶ学園都市ネコトピア。学生たちのささやかなたわむれを、大きな身体をくねらせゆったりと窓の外を通りすぎてゆくクジラたちが、微笑ましそうに見つめておりました。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。お待たせしました！　『海上学園都市ネコトピア』のリアクションをおとどけいたします～。

　ネコトピアのお話がここまで広がるなんて、思ってもみませんでした。
　学園都市というからには、きっと敷地はめちゃくちゃ広大で、図書館だけでなくいろんなアカデミックなスポットがあったりするのでしょう。博物館だってあるみたいですし。
　まだまだ、どこまでもお話が広がっていきそうですね。もしまた描かせていただける機会があれば、嬉しく思います。

　それでは、今回はプライベートシナリオにご指名いただきまして、まことにありがとうございました！
　次のシナリオでお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
　お疲れさまでした！

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