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\ オーバータイム!/
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さようなら、またいつか。
【オーバータイム】あいおシスターズラストライブ!
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すべてが終わるまでは泣いている暇はない――否、決して泣いたりはしないのだと、
喜矢武 あいお
は己を叱咤する。今までのような一時的な帰還ではなく、本当の意味で星幽塔に戻ってしまう『姉』
アイオ・キャンドライト
のために、やるべき事は幾らでもあった。
アイオがラストライブをやりたいというのなら、それを全力で叶えるのがあいおの役割であり、望みである。だから最後まで泣かない、落ち込まない! と自身に言い聞かせていたあいおだったが、幸いにしてと言うべきか、お世話になっているライブハウスに連絡を取ったその日から、文字通りの意味で泣いている暇などはどこかに消え去った。
「実は、姉さんが引退する事になりまして……そのラストライブをそちらから配信出来たら、と……」
『えー!? じゃ、知り合いにも声かけてみるから!』
持ちかけたあいおに、持ち掛けられたライブハウスのオーナーはそう叫び、言葉通りあちらこちらへ連絡を取ってくれたらしい。次に連絡が来た時には『演出家の友達と連絡付いたから相談に来て!』と言われ、配信の演出をああでもない、こうでもないと話し合う事になった。
例えば、今回の配信限定のエフェクトや、演出を組み込んではどうか。舞台裏映像をメンバー限定で配信してはどうか。視聴者の皆から送られてきたコメントを、アイオシスターズが交互に読み上げる時間を作ってみたらどう?
どんどんと上げられる提案を、時にアイオとも相談しながら採用出来るもの、難しいもの、と仕分けていく。それと同時並行で、ライブ計画を立て、リハーサルの日時を決め、衣装を決め、曲目を決め――とにかく、決める事、やる事があとからあとから山のように積み重なってきて、泣く暇どころか時には寝る暇さえ無かったほどだ。
(は、春休みで本当に良かったです……)
その日も疲労困憊しながら猫鳴館の自室まで帰りつくと、あいおは今日決まった出来事をアイオへと話して聞かせる。そうですのね、と目を輝かせて聞いていたアイオは、だが不意にあいおの視界から掻き消えて、跡形もなくなった。
――少しずつ見慣れ始めた光景に、だがアイオはぎゅっと胸元を握り締める。『その時』が着実に近付いている事を思わせて――もしかしたらこれが『その時』なのではないかと、不安で。
『その時』が来たらアイオは、寝子島から永遠に切り離されて星幽塔へと還る。引退ライブに間に合うのかどうかすら、実のところ、今のあいお達には判らないのだ。
『それにしても、勿体ないなぁ。アイオちゃん、なんで引退するの?』
今日も聞かれたその言葉が、あいおの耳に蘇った。――ラストライブのために動き回っているあいおは、毎日のように色んな人から、異口同音に問いかけられる。
その度に、当日に姉さんが直接発表しますから、と言うのだけれど。
「――姉さん、何て言うつもりなんでしょう?」
ぽつり、呟きながらあいおはアイオが消えた空間を見つめ、祈るように帰還を待つのだった。
◆
またも星幽塔に戻されたアイオは、ため息を零しながら寝子島へ戻ろうとしていた。
(本当に時間がありませんわ)
どうにかラストライブだけはやり遂げたいものだが、こればかりはアイオにどうにか出来るものではない。ゆえに、どうか時間を下さいと祈りながら扉へと向かいかけ――ふ、と足を止めて振り返る。
今は行ったり来たりの生活だが、そう遠くないうちに自分は此処へ戻って来るのだ、と思った。――寝子島のことを知る前、星幽塔で暮らしていた頃のアイオは決して、不幸な少女ではなかった。
小さな頃に酒場に預けられ、両親の事を知らずに育ったけれども、酒場のおかみさんやお店のみんな、お客さんたちはみんな家族みたいなものだったから。このままお店で働いて、ちょっと歌って、これからもそういう生活を送って行くのだと思っていたし、その未来に不満を抱いていた訳でもなかった。
だが――ある日、『ネコジマという世界に通じる扉があるらしい』と聞き、実際に行ってみた事で、その未来予想図は一変したのだ。
(ネコジマでの暮らしは、本当に幸せでしたわ)
噛み締めるように、扉を潜ればそこもまた、アイオにとってはもはや見慣れた寝子島の風景。――ここに来てアイオは、もっともっと歌で活躍できることを知り、夢が広がったのだ。
喜矢武 あいお
と名乗って寝子高生のふりをし、学校行事に混ざってみたこと。MewTuberを始めてみたこと。カプギアを手に入れたこと――知らないことばかりの寝子島で過ごす毎日は、アイオにとって刺激的で楽しいものだった。
(しかも、あいおちゃんという妹まで出来ましたし)
ふふ、と微笑む。正確には、絶神の合体分離騒動を経て『ほしびと』アイオから分かたれし『ひと』だから、血縁関係にはないけれど、些細なことだ。
去年の春にはMewTuberあいおの座をあいおに譲って星幽塔に帰るつもりだったが、なんやかんやで結局、2人であいおシスターズを結成することになって。一緒に歌ったり、雑談配信したり――他にもたくさんの大切な思い出を、あいおと2人で積み重ねてきた。
キュッ、と胸元で小さく手を握る。寂しくない訳がない――けれども、アイオはもう決めたのだ。
(それに、星幽塔に戻ったらやりたい事も出来ましたしね)
と言っても、またお店で歌う訳ではない。星幽塔に戻ったら、アイオはお店は休んで母を探す旅に出ようと思うのだ。
今だ、安否が判らない母ではあるが、あいおがせっかく思い出させてくれた記憶だ。このチャンスを逃したくはない――そう、アイオは悲しい中でも前向きに、未来を見据えるのだった。
◆
ラストライブ当日。姉妹の願いが通じたのか、無事、アイオは寝子島にてこの日を迎える事が出来た。
それにほっと胸を撫で下ろしつつ、アイオとあいおはいつも通り、舞台裏でライブの準備をする。衣装に着替え、音響さんや演出さんと最後の打合せをして、ステージを最終チェックして――
(本当にこれが、ラストライブなんですね――くっ、まだ泣いたらダメです!)
ふいに、あいおの胸に込み上げて来たものが目頭を熱くするのを、ぐっと堪えた。ギリリと奥歯を噛み締めて、何度も瞬きを繰り返す。
アイオは気付いただろうかと、見れば感慨深げに袖からステージを見つめていて、彼女もまたラストライブを噛み締めている事が伺えた。その間にも着々と周囲の準備は進み、ライブ配信開始の時間が近付いてくる。
そうして――ついにその時は来た。合図が出た瞬間、姉妹はいつも通りの笑顔を作り、元気にステージへ飛び出す。
「キャンモーニン! アイオシスターズのあいお姉ですわっ!」
「キャンモーニン! あいお妹ですわーっ!」
幾度も繰り返して身に馴染んだ言葉は、考えるよりも早く口を突いて出た。ならばあとは身体の動くまま、魂の赴くままに動き、踊り、歌うだけ。
「ノンストップでラストライブ90分! 最後まで楽しんでいってほしいのですわーっ!」
アイオが宣言すると同時に、1曲目のイントロが賑やかに流れ出した。まずはいつものヒット曲。よく似た声色の伸びやかな歌が、あっという間にステージを満たしていく。
幾つも幾つも、時にデュオを絡めながらメドレーでヒット曲を歌い通した後は、ちょっと古めのバラード。かと思えばアップテンポなダンスミュージックを、ポップな振付と共に披露して、終いには寝子高校歌まで大絶唱。
息の合った歌声を披露しながら、あいおは思う。嗚呼――このライブがどうか、永遠に終わらなければ良いのに。
まるで此処がどこかのドームであるかのような錯覚を覚えた。カメラの向こうにしかいないはずの観客が、今目の前に、満席で手を振り、一緒に踊ってくれているのが見えるかのよう。
姉さん、と眼差しだけで問えば、アイオから確かな頷きが返った。嗚呼、そんなはずはないけれども、もしかしたら最後に神魂が粋な計らいをしてくれたのだろうか。
だが――楽しい時間はやがて、終わりが来るものだ。ついに最後の一曲を歌い終え、大きく肩で息をしながらも『あいおシスターズ』は、ゆえにゆっくりと動きを止めた。
最後の一音が溶けて行き、ライブハウスが静寂で満たされる。どこか緊張感を孕んだその中で、アイオが口を開くのをあいおは見つめた。
――果たして、姉はファン達に何と告げるのだろう? そう、知らず息を呑んで見守る中で、アイオは微笑みすら浮かべて気負いなく言った。
「アイオが卒業する理由、それは……アイオがほしびとだからですわ」
――姉はどうやら、本当の理由を伝えることにしたらしい。瞑目したあいおの前で、アイオは変わらぬ口調のまま、カメラの向こうへと話し掛ける。
「アイオは星幽塔と言う別の世界から来ていて、帰らなくてはいけなくなりました! 本当はもっとネコジマで活動したかったけれど時間ぎれになってしまいましたわ……」
『え?』
『ほしびと?』
『うわー、マジかー』
『なになにー』
『オレも「せいゆうとう」? 行きたーい!』
アイオの言葉に、様々なコメントが溢れる。――恐らく、星幽塔の事を知っている者には真実が正しく伝わっただろうし、知らない者は『はいはいそういう設定ね、理解!』となった事だろう。
アイオが幾つかのコメントを拾っては、笑ったり、困ったり、星幽塔について説明したりしている。アイオもそこに加わらなければならない。いつも通り笑って、コメントして、そうして――
「……姉さん! 今まで本当に楽しかったです」
嗚呼、それなのにどうしてだろう。気が付けばあいおは、アイオをしっかりと抱きしめていた。カメラの向こうにもその画像は伝わっているだろう、目の端に幾つものコメントが流れていく画面が見える。
だが――そちらに構う余裕を、もはやあいおは持たなかった。
「出来ることなら、これからもずっと2人でいたかった!」
「あいおちゃん……」
「いつか……いつか、MewTuberを続けていつか、プロの歌手としてデビューします。アイドル活動研究部で、全国のダンス大会に行ってみせます。あ、あとテスト勉強はこれからもちゃんとやります……姉さんが残してくれたものは、全部、全部僕が引き受けます!」
だから安心して欲しいと、告げる言葉は音にならない。『え、マジっぽい?』『アイオちゃーん』『居なくなるのー?』幾つも幾つもコメントが溢れて、だがあいおはもちろん、アイオにもそちらを見る余裕はなかった。
いつしかアイオの肩口に顔を埋め、強く、強く抱き締めてくるあいおをアイオは、ぎゅっと抱き返す。たくさん、たくさん言いたい事があった――でも、そのどれ1つとして言葉になりやしない。
だから万感の思いを込めて、ぎゅっと強く。腕の中の暖かな『妹』を抱き締めて――ようやく声を絞り出す。
「――あいおちゃん、今までありがとう。……元気でね」
これからは世界も未来も別の道を歩んでいくけれど、ずっと、ずっとあいおはアイオの妹だ。――ずっと、一緒だ。
そう――強く、強く思う。
「ネコジマに来れて……アイオは本当に幸せ者でしたわー!!」
ゆえにアイオが思いの丈を叫んだ刹那、ふっ、とあいおの抱き締めていた温もりが消えた。あいおを、抱き締めてくれていた温もりが、消えた。
姉さん、小さく呟いたけれど、眼差しを揚げた先には誰も居ない――嗚呼、ついに『その時』が来てしまったのだ。
「……ッ」
わっと、子どものように泣き出したかった。大声を上げて身も蓋もなく、ただ泣き喚いてしまいたかった。
だが――姉の残した『最後のステージ』を、完遂する事があいおの役割だ。
「――ありがとうございました」
ゆえにぐっと涙を堪え、あいおはカメラに向かって静かに、丁寧に一礼したのだった。
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グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
4人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年11月12日
参加申し込みの期限
2024年11月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年11月19日 11時00分
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