さようなら、またいつか。｜リアクション

さようなら、またいつか。

　アイドル活動研究部の練習のため、喜矢武あいおは学校に向かう準備をしていた。

（アイドルに長期休暇はありませんよぉ）

　慣れた動きで制服を着ながら、今日やるべき事を頭の中で整理する。――姉が居なくなって数日が経ったからと言って、やるべき事はなくならない。
　学校に行ったら練習をして、そうだ、顧問の雛鶴さゆり先生とも打合せをしておかなくては。『全日本高校生ダンス・パフォーマンス大会』への対策もしなければならないし、地道な筋トレだってアイドルには大事。
　帰ってきたら、19時から30分ほどMewTubeで配信して、MewTuber活動にもますます力を入れて行かないと。ああ、そうそう、新学期からの部活紹介の内容もまとめて、これもやっぱりさゆり先生に相談して――
　考えながら鏡を覗き込めば、姉とうり二つの顔がこちらを見ていた。――姉さん、とあの日から幾度となく語りかけた言葉を、今日も胸の内だけで呟く。

（僕も、次に向かってちゃんと進んでますよ、姉さん）

　最後に姉にした約束を、あいおは1つ残らず覚えている。――姉が残したものを、全部全部、この自分が引き継いでやり遂げるのだ。
　だから、

「じゃあ！　いってきます！」

　気合を入れてあいおは寮を飛び出して、寝子高へと走り出した。

◆
　星幽塔の1階を、アイオ・キャンドライトは慣れた足取りで歩いていた。ここしばらくは寝子島と行ったり来たりの生活だったアイオだが、完全に離れたわけでもなく、生まれ育った場所でもあるこの場所では、迷う事の方が難しい。
　街を歩けば顔見知りが居て、気さくに声を掛けてくれる人が居る。それににっこり挨拶しながら歩くうち、目的の場所を見つけてアイオは、1度足を止めて深呼吸をした。
　星幽塔に帰って来てから、旅立ちのための準備はしっかり整えてきたアイオだ。お店をしばらく休むと言った時には残念がられたが、アイオの目的と、その決意が固い事を知ったみんなは、最後には快く送り出してくれた。
　準備した旅の品々の中にも、みんなからもらった心尽くしの品が幾つかある。それに守られているような気がして――だが何より脳裏に浮かぶ妹の笑顔に、頑張りますわよ、と頷いて。
　失礼しますわ！　とアイオは笑顔を浮かべ、元気よく名乗りを上げた。

「旅の仲間を募集してるのはこちらですか？　炊事洗濯回復魔法、あと歌が得意なアイオ・キャンドライトですわ！」

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あとがき

担当マスター：蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから！

いつもお世話になっております、蓮華・水無月と申します。
この度はご指名頂きまして、本当にありがとうございました。

大切な誰かやどこかへの別れを告げる物語、いかがでしたでしょうか。
皆様の思い入れの素敵なアクションに、水無月もしんみりしながら頑張って執筆させて頂きました。
出会いがあれば別れもあるのが世の常ではありますが、どんな形であってもやはり別れは悲しいものです。
この別れがどうか、皆様が未来へと歩んで行かれる糧になりますように。

お届けさせて頂きましたリアクションが、皆様に楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします（深々と

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