「あいおちゃん。アイオ、MewTuberを引退しますわ」
『姉』
アイオ・キャンドライトからそう聞かされた『妹』の
喜矢武 あいおは、言葉を失い。――とうとうその時が来てしまったんですね、と瞑目した。
◆
『ねこぴょんの日』。あの日から、アイオの中にはある不安があった。
(最近、ネコジマにいても強制的に星幽塔へ戻される事が増えましたわ……)
今日も今日とて星幽塔から寝子島へと戻りながら、アイオは「まずいですわ」と呻く。あの日まではこの島に当たり前に――と言うと語弊はあるが――存在した、神魂によるフシギ現象やろっこんが失われた時から実のところ、予感はあったのだけれども。
――ほしびとであるアイオもどうやら、フシギのモノとして寝子島との繋がりが薄れつつあるらしい。元よりほしびとは一定の時間が経てば星幽塔へと戻される事が多かったのだが、それにしたってこの頻度は幾らなんでもおかしいだろうと思わざるを得ないほど、強制送還は頻繁過ぎた。
それが、意味するところが判らない訳では、ない。
「いつか……全く行き来出来なくなる日が来る可能性だって……」
ぞくり、両の腕をぎゅっと抱いてアイオは震え声で呟く。可能性、と口にはしたがそれがいつか必ず来る未来である事は、アイオ自身も予感していた。
あいおちゃん、と呟く。アイオから分かたれし『妹』あいおはひとであり、今後も寝子島で生きていくことが可能だが、アイオは違う。
(そうなれば、あいおちゃんとのMewTuber活動も打ち切りですわ)
震える手を、ぎゅっと握り締めた。あいお(姉)あいお(妹)として活動して来たMewTuberグループ『あいおシスターズ』は、当然、アイオが寝子島に来れなくなれば、活動を打ち切らざるを得ない。
――アイオに取れる手段は、2つあった。1つは、『その日』が来るギリギリまで活動し続ける事。もう1つは、すっぱりとMewTuberあいお(姉)の卒業を宣言してしまう事。
どちらが良いのか、悩まなかった訳ではないが。――最悪は配信中に視聴者の目の前で消えてしまう可能性もあると、思えば心は固まった。
「だから――せめて、最後に卒業ライブをやりたいのですわ!」
「そうですね。お世話になってるライブハウスで、観客を入れずにライブ配信しましょう!」
グッ、と拳を握って力強くそう言った、アイオにあいおも大きく頷く。あいおとて、姉が居なくなることが悲しくない訳ではない――だが、あいおが悲しめばアイオも悲しみ、2人揃ってどんよりするだけだ。
だから。最期まで泣く事なく、姉のやりたい事を力いっぱいめいっぱい実現するのだと、気合を入れたあいおにアイオは、目尻に滲んだ物をこっそり拭う。
(元々は去年の3月に引退するつもりだったんですもの、1年も延長出来たと思えば……)
(姉さんが全力で楽しめるよう、僕も全力を尽くしますよぉ!)
そうして姉妹は、気合を入れるようにパン! と互いの手の平を打ち合わせた。
◆
それは『ねこぴょんの日』から少し経った、3月のよく晴れた日のこと。
――フシギが失われた世界であなたは、どんな別れを告げますか?
いつもお世話になっております、蓮華・水無月と申します。
アイオ・キャンドライトさん、この度はご指名を頂きまして、本当にありがとうございました。
ご期待に添えますよう、精一杯務めさせて頂きますね。
素敵なアクションを心よりお待ちしております。
さて、このガイドは『神魂によるフシギ現象やろっこんが失われた世界で』『それゆえにこの世界から消えてしまう誰かや何かとお別れをする』シナリオとなっております。
それは、ほしびとやあやかしかもしれませんし、もう行けなくなる星幽塔や霊界の何か、どこかなのかもしれません。
逆にほしびとやあやかしの方が、寝子島の誰かや何かに別れを告げなければならない事もあるでしょう。
そんな、皆様の『さようなら』の物語を紡がせて頂けますと幸いです。
※特にご一緒に行動されるという指定がない場合、リアクションは個別に作成させて頂きます。
【描写の舞台について】
場所はどこでもお好きな所をご指定下さい。
【NPC、Xキャラクターについて】
本シナリオでは、水無月の過去のシナリオに出てきたNPCや特定の担当が居られないNPC、そしてXキャラクターを基本的にはご自由に誘って頂けます。
お誘いになりたい方がいらっしゃる場合、お相手の名前(Xキャラクターは参照URLも)を明記して頂けますようお願い致します。
なお、NPCとの描写は大変申し訳ありませんが、以下のルールに則って行わせて頂きます。
・NPCとの描写は基本、個別に行わせて頂きます。グループで参加されている場合は、そのグループ&NPC、という描写になります。
・もしPC様同士で指名が重複した場合、希望と異なる場面や時間帯での描写となる、一緒に行動する時間が短くなる、などの描写になる場合がございます。悪しからず、ご容赦くださいませ。
それではお気が向かれましたら、どなた様もお気軽に、どうぞよろしくお願い致します(深々と