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- 00月00日生 00歳
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それぞれの世界線
大学を卒業した綾辻 綾花は希望した図書館司書となって日々を過ごす。
今日は休日。綾花はいつも通りに目覚めて出掛ける用意を始めた。職場に着ていくようなスーツではなく、愛らしいキャミソールにジャケットを合わせた。スカートは少し短めで真新しいパンプスを選ぶ。
凛々しい顔付きとなってマンションを出た。
目的の場所へ真っすぐに向かわず、二十四時間営業の書店に立ち寄った。
レジ近くで平積みされた新書のタイトルに目を通し、ジャンル別の棚を見ていく。気になる本は手に取ってパラパラと頁を捲る。何冊かは元に戻し、気に入った二冊を購入した。
ほくほく顔で店舗を出て五分と経たずにリカーショップに入る。まろやかな口当たりの赤ワインと各種のチーズを手に入れた。
紙袋を抱えた状態で綾花は懐かしい通学路を経由して早川 珪のアパートに行き着いた。
早速、呼び鈴を押した。珪が出てくる前に髪を手で整える。身なりのチェックを済ませたところで扉が開いた。
「よく来たね」
「お邪魔します」
赤いシャツを着た珪はすっと扉に寄って綾花を迎え入れた。
慣れた様子で部屋に入ると珪に声を掛けた。
「珪さん、キッチンを借りますね」
「食材は買い揃えて置いた。好きに使っていい」
「わかりました。期待して待っていてください」
椅子の背もたれに掛けられたエプロンを着て冷蔵庫を当たる。
個々の食材を頭の中で組み合わせた。
ワインに合う一品に取り掛かる。
買い込んだチーズは包丁でスライスにした。同様にトマトを切った。レタスも取り入れて適当に千切って散らす。味付けはオリーブオイルと黒コショウ。イタリアで好まれる前菜のカプレーゼを意識しながらも少々の醤油を加えて日本風にアレンジした。
大きな器にサラダを入れて二人分の取り皿を用意した。トングとフォークも忘れない。
最後に二人分のワイングラスに赤ワインを注ぎ、纏めてトレイで運ぶ。
珪はソファーにくつろいだ姿で待っていた。綾花は手前にあるテーブルの傍らにしゃがんで用意を始める。
珪は前のめりの姿で器を覗き込む。
「あの食材が、こんな風になるのか」
「これも本による知識のおかげです」
「同じ司書でも僕とは大違いだ」
「何事もチャレンジです。珪さんが望むなら個人指導もいといません」
綾花は力強い笑みを見せた。珪は両方の掌を見せて、怖い先生だ、と苦笑いで言った。
ワイングラスの涼し気な音が鳴るとささやかな宴が始まった。ワインを飲みながら摘まみを食べる。
書籍に関連した話題で盛り上がる。最近の読者に好まれる傾向を語り合い、余ったチーズを口に運ぶ。また会話を続けると喉が渇き、ワインの量も増えていった。
夕方を迎えても話題に事欠かず、これも職業病でしょうか、とほろ酔いの綾花が口にすると珪は声を出して笑った。
日が暮れると二人の口数が少なくなる。ワインが香る唇を合わせて、そのまま寝室へ向かう。
ベッドでは互いの温もりを求めて身体を合わせた。程なく心は満たされ、疲れた身体が沈み込むような感覚を共有して眠りに就いた。
最初に目覚めたのは綾花であった。片肘を突いた状態で珪の寝顔を眺める。少しすねたような顔で頬に指を当てる。少し押し込むようにして囁く。
「今日はおしゃれしてきたのに。珪さんは気付いていないですよね」
彫刻のように横たわったまま答えない。綾花は小さく溜息を吐いた。
「告白は私が先でした。プロポーズまで私にさせる気ですか？」
やはり答えない。静かな寝息を立てている。
「他の誰かに取られてから後悔しても遅いですよ」
ワインの効果が残っているのか。綾花は饒舌で少し感傷的な目をして続ける。
二度目の溜息を吐いたところで手首を握られた。逃がさないと意思表示をするように珪が瞼を開けた。
ワインの甘い香りが漂う口できっぱり言った。
「綾花は誰にもやらない」
「珪さん、プロポーズと受け取ってもいいのですか」
「構わない」
珪は綾花を抱き寄せた。胸板に横顔を押し当てたまま、嬉しい、です、と途切れがちな声を漏らす。
二人は抱き合う。誰の介入も許さない強さで結び付いた。
今日は休日。綾花はいつも通りに目覚めて出掛ける用意を始めた。職場に着ていくようなスーツではなく、愛らしいキャミソールにジャケットを合わせた。スカートは少し短めで真新しいパンプスを選ぶ。
凛々しい顔付きとなってマンションを出た。
目的の場所へ真っすぐに向かわず、二十四時間営業の書店に立ち寄った。
レジ近くで平積みされた新書のタイトルに目を通し、ジャンル別の棚を見ていく。気になる本は手に取ってパラパラと頁を捲る。何冊かは元に戻し、気に入った二冊を購入した。
ほくほく顔で店舗を出て五分と経たずにリカーショップに入る。まろやかな口当たりの赤ワインと各種のチーズを手に入れた。
紙袋を抱えた状態で綾花は懐かしい通学路を経由して早川 珪のアパートに行き着いた。
早速、呼び鈴を押した。珪が出てくる前に髪を手で整える。身なりのチェックを済ませたところで扉が開いた。
「よく来たね」
「お邪魔します」
赤いシャツを着た珪はすっと扉に寄って綾花を迎え入れた。
慣れた様子で部屋に入ると珪に声を掛けた。
「珪さん、キッチンを借りますね」
「食材は買い揃えて置いた。好きに使っていい」
「わかりました。期待して待っていてください」
椅子の背もたれに掛けられたエプロンを着て冷蔵庫を当たる。
個々の食材を頭の中で組み合わせた。
ワインに合う一品に取り掛かる。
買い込んだチーズは包丁でスライスにした。同様にトマトを切った。レタスも取り入れて適当に千切って散らす。味付けはオリーブオイルと黒コショウ。イタリアで好まれる前菜のカプレーゼを意識しながらも少々の醤油を加えて日本風にアレンジした。
大きな器にサラダを入れて二人分の取り皿を用意した。トングとフォークも忘れない。
最後に二人分のワイングラスに赤ワインを注ぎ、纏めてトレイで運ぶ。
珪はソファーにくつろいだ姿で待っていた。綾花は手前にあるテーブルの傍らにしゃがんで用意を始める。
珪は前のめりの姿で器を覗き込む。
「あの食材が、こんな風になるのか」
「これも本による知識のおかげです」
「同じ司書でも僕とは大違いだ」
「何事もチャレンジです。珪さんが望むなら個人指導もいといません」
綾花は力強い笑みを見せた。珪は両方の掌を見せて、怖い先生だ、と苦笑いで言った。
ワイングラスの涼し気な音が鳴るとささやかな宴が始まった。ワインを飲みながら摘まみを食べる。
書籍に関連した話題で盛り上がる。最近の読者に好まれる傾向を語り合い、余ったチーズを口に運ぶ。また会話を続けると喉が渇き、ワインの量も増えていった。
夕方を迎えても話題に事欠かず、これも職業病でしょうか、とほろ酔いの綾花が口にすると珪は声を出して笑った。
日が暮れると二人の口数が少なくなる。ワインが香る唇を合わせて、そのまま寝室へ向かう。
ベッドでは互いの温もりを求めて身体を合わせた。程なく心は満たされ、疲れた身体が沈み込むような感覚を共有して眠りに就いた。
最初に目覚めたのは綾花であった。片肘を突いた状態で珪の寝顔を眺める。少しすねたような顔で頬に指を当てる。少し押し込むようにして囁く。
「今日はおしゃれしてきたのに。珪さんは気付いていないですよね」
彫刻のように横たわったまま答えない。綾花は小さく溜息を吐いた。
「告白は私が先でした。プロポーズまで私にさせる気ですか？」
やはり答えない。静かな寝息を立てている。
「他の誰かに取られてから後悔しても遅いですよ」
ワインの効果が残っているのか。綾花は饒舌で少し感傷的な目をして続ける。
二度目の溜息を吐いたところで手首を握られた。逃がさないと意思表示をするように珪が瞼を開けた。
ワインの甘い香りが漂う口できっぱり言った。
「綾花は誰にもやらない」
「珪さん、プロポーズと受け取ってもいいのですか」
「構わない」
珪は綾花を抱き寄せた。胸板に横顔を押し当てたまま、嬉しい、です、と途切れがちな声を漏らす。
二人は抱き合う。誰の介入も許さない強さで結び付いた。
あとがき
担当マスター：
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！
いつもに比べますと時間が掛かりました。ですが、無事にリアクションは完成しました。
驚いたことに一人を除いて、全てが五年後の未来を選択していました。
五年は長いようで短く、意外と難しい設定だと思います。もう少し長くした方がよかったかも、
と決めたあとでウダウダと考えた時間は杞憂に終わりました。
個々が見事に五年後の未来を描き出し、それぞれの個性を感じて納得しました。
一人は別の道を選びました。大長編の兆しを見せる展開です。
熱い戦いが始まる直前で終わります。続きを書きたい衝動に駆られながらも！
いつになるかはわかりませんが、バトル物も書いてみたいと思いました。
長々と書いてきましたが、最後に参加していただいた皆さんに一言。
素晴らしいアクションをありがとうございました！
驚いたことに一人を除いて、全てが五年後の未来を選択していました。
五年は長いようで短く、意外と難しい設定だと思います。もう少し長くした方がよかったかも、
と決めたあとでウダウダと考えた時間は杞憂に終わりました。
個々が見事に五年後の未来を描き出し、それぞれの個性を感じて納得しました。
一人は別の道を選びました。大長編の兆しを見せる展開です。
熱い戦いが始まる直前で終わります。続きを書きたい衝動に駆られながらも！
いつになるかはわかりませんが、バトル物も書いてみたいと思いました。
長々と書いてきましたが、最後に参加していただいた皆さんに一言。
素晴らしいアクションをありがとうございました！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年11月02日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年11月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年11月09日 11時00分
