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風邪、引いちゃった
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そんな日もある。特にこの島においては……そうとしか言い様がない、収束する運命の妙を感じずにいられない。
「まっ、待てぇぇぇぇぇぇ!!」
落合 まゆら
は白砂を踏みしめ駆けながら、ふわりふわりと風に舞う麦わら帽子を追っていた。長くはためく赤いリボンがやけにまゆらの目にまぶしく映る。足元を濡らす海水の冷たさに身を震わせながらに、まゆらは必死に手を伸ばした。
嫌な風が吹いているなと思ったのは確かだ。その日もまゆらは毎日のルーティーンをこなすべく身支度を整え自宅を出た。春先に似つかわしくない冷え込みをもたらす風に出足をくじかれ、思わず眉を寄せたがすぐに気を取り直す。プロの声優となるならば己を律することを覚えねばなるまい。いかなる時も最善のコンディションを保ち、巧みに演じられるだけの心の余裕を備えて然るべきだろう。笑顔を浮かべ、日課のジョギングをこなす。目指すは寝子ヶ浜海岸、いつものコースだ。
寝子島アニメーション学院声優科をこの春無事に卒業し、驕ることなく真摯に前向きに活動した結果が、声優事務所『キャットボックス』への所属という快挙へ結びついた。いくらか幸運も重なってのことだろうが、何しろまゆらはいつだって生真面目にトレーニングを続け、己を磨き続けてきた。まゆら自身が掴み取った成功と言っていいだろう。
もちろん道半ば、まだまだ通過点である。これから数多の役を演じ、印象的な仕事として記録にも記憶にも残り、一流と認められてこそのプロでありそれこそがまゆらの目指すところだ。立ち止まってはいられない。いてもたってもいられず駆け出す。風は冷たく纏わりついたが気にせず、ペースを保って走る。いつものランニング、いつものルーティーン、そのはずだった。
「ああっ、待ってぇ……!!」
そんな悲痛な声が耳に届いたのは、寝子島本線と併走する歩道を走っていた時だった。
「うん?」
「私の帽子が……!」
小さな女の子だ。ワンピースを着て、内また気味に駆けている。どこかの良家のお嬢様だろうか、何だか品の良さを感じる少女だった。
少女は麦わら帽子を追いかけていた。風に巻かれて浮かび上がり、ひらひらと赤いリボンをなびかせながらに運ばれてゆく。飛ばされてしまったらしい。悲しいかな、女の子は健康的スポーツ少女というよりは深窓の文学乙女といったたちであるらしく、一向に帽子へ追いつく気配はない。必死に足を動かすも、意地が悪い風はどこまでもどこまでも帽子を運んでいってしまうのだった。
きっと大切なものに違いない。喪失の痛みの予感に少女の幼い顔が歪む。まゆらがいつものジョギングに増してスピードを上げるのに十分な理由だった。
「あたしに任せて!」
「ええっ?」
帽子を追ってぎゅんと加速する。少女も少女で任せっきりは気が引けるのか、見知らぬまゆらを信頼すべきか迷ったか、後ろを必死についてくる。帽子、まゆら、少女、奇妙な連帯が三者を繋いだ。
しかし事がこうも上手く運ばぬとまゆらも予想していなかった。
「ちょっ、何よこの風はー!?」
手を伸ばせば避ける。ジャンプ一番飛びつけば下から吹き上げ舞い上がる。まるで意思持つかのように帽子はまゆらの手をかわし、逃げてゆくのだ。
「お、お姉ちゃん、ごめんねぇ。もういいよぉ……」
人の良い少女は遠慮して息も絶え絶えに言うが、まゆらはにこりと笑って言った。
「大丈夫、大丈夫! 大事な帽子、なんでしょ? 今、捕まえて、あげる、から……!」
額には玉のような汗が噴き出ている。まぁ運動としても悪くないし、何より少女の悲痛な面持ちを笑顔に変えてやりたかった。
走る。眼前に帽子、手を伸ばす。まゆらを嘲笑うように帽子は跳ね、容易く避けた。何のこれしきとクイックターンをかまし反転、リボンを掴むもするりとすり抜け風に乗り、帽子は海岸へ。まゆらの息も切れてきた。
「い、いくら何でも、おかしく、ないっ? この風……!」
「お姉、ちゃん、私、もう、ダメぇ……」
小さな少女の体力は尽きてしまったらしく、砂浜へぱったりと倒れ込む。帽子を追いかけ気が付けば、二人は寝子ヶ浜海岸へと到達していた。まゆらにとっては元よりの目的地だったが、少女にとってはいささか長い道のりだったろう。
風はなおも翻弄するが、まゆらは諦めない。
「って、ちょっと!?」
「ああっ……」
さすがに足を止めた。なんという風の悪戯か、帽子は揺れる波がすっぽりと頭を収めるかのように、海面へ降りたのだ。
「お姉ちゃん……」
じっと見つめた少女の瞳は複雑に揺れていた。もちろん大切な帽子を取り戻したいが、かといって名前も知らない、ひと回りも年上の女性に無理を言えるほど図々しくもなれないのだろう。
少しだけ迷う。逡巡する。しかし覚悟を決めるのに、そう長く時間を要したわけでもなかった。
「っしゃーーー!!」
気合一発、まゆらは上着を脱ぎ捨てTシャツとショートパンツという出で立ちとなり海へ飛びこんだ。海水は冷たいがここまで脇目もふらず帽子を追いかけてきたことが功を奏し、準備運動不足ということもなく身体は十全に動いてくれた。
なおも風は吹き荒ぶが構わず、波をかきわけ思いきり手を伸ばした。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
華やかな笑顔を浮かべ、大切そうに帽子を胸に抱えた少女が礼を言い、深々と頭を下げて駆け出す背中を見送るまゆらの肩は寒気に慄き震えた。どうやら風邪を引いたらしい。
しかしまゆらの心は晴れやかだ。誇りを胸に、少女へ手を振った……風邪の諸症状に苦しむのは、明日の自分に任せよう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年10月18日
参加申し込みの期限
2024年10月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年10月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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