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桜の季節が終わる頃
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【いよいよです。】
「……よしっ」
何度目の『よし』であったのか、
綾辻 綾花
自身にももう分かりませんでした。お弁当箱の隙間にブロッコリーを詰めてよし。ランチクロスできゅっと包んでよし。着替えて身だしなみをきっかりととのえ、荷物をカンペキに準備して、テレビのニュースで今日のお天気が雨上がりの快晴であることを確認して、よしっ。
とくん、とくん、とくん。胸の鼓動はとめどなく弾み、リズムを刻んで、綾花を焦燥に追いたてます。事あるごとに『よし』で心に区切りをつけなければそのまま鼓動はどんどん早まって、いつか心臓が破裂してしまいそう。くじけてしまいそう。今にも動かなくなりそうな手を足を叱咤しながら身支度を済ませ、どうにかなってしまいそうな緊張に、綾花は思わずベッドへダイブ。ころりと寝ころんでいた黒猫のクロワをむぎゅっとつかまえて、おなかのふさふさふかふかへ鼻先を埋め、思いきり吸いました。猫吸いは精神の安定化に多大なる効果があると学会でも報告されておりますもので、たぶん。
「ううー。クロワ……断られちゃったら、どうしよう?」
ふにゃん? と首を傾げた黒猫は無邪気で無垢で、なんの悩みもなさそうで、けれどお役に立たないわけでもなくて、ふわふわふかふかは綾花のはやる心を少しだけ落ち着かせてくれました。
「うん。よしっ……!」
猫ちゃんのお腹の毛をぐるぐるわしゃわしゃかきまぜてから、綾花は立ち上がります。
今日、この日に、と心に決めていました。彼の言った
桜の季節が終わる頃
はまさに今。散りゆくピンクの花弁たちがきっと、綾花の背中を押してくれるでしょう。
かばんを持って、お弁当も持って。鏡をのぞいて前髪を手ぐしでささっ。身だしなみも文句ナシのパーフェクト。
「行ってくるね。クロワ」
うにゃぁん。ごろり。
部屋の扉を前に、靴を履いて、鍵を開けたところではっとして、綾花はかばんの中へ手をさし入れると、そこにある感触を確かめます。指先にふれた
お守り
の滑らかな手ざわり、込められた思いが、綾花に勇気をもたらしてくれました。
扉に手をかけて、
「よ……よしっ。行きます。行ってきますっ」
と言ってから、深呼吸。すう、はあ。すう、はあ。もひとつすう、はあー。
ふにゃ~~~お。はよいけ、とでも言いたげな長~い鳴き声に追いたてられて、ようやくにして青空のもとへと飛び出しました。
思えばいつだって、彼は笑顔をたたえるままに、綾花を待っていてくれたものです。
「やあ。おはよう、綾辻さん」
「お、おはようございます。珪先生!」
その微笑みを目にしたとたん、とくとく、とくん。綾花の胸は早鐘を打ちました。いつだってそう。やっぱり、抑えるなんてムリ。キンチョーしないなんてムリ!
「今日はいい天気だね。あれ……綾辻さん、どうかした? なんだか顔色が悪いような」
「いっ、いえ、なんでも! それじゃさっそく、はい! 行きましょう! はい!」
ちょっぴりキョドーフシン気味になってしまった綾花に、けれど珪先生はやっぱり優しくにっこり。
「あのう。珪さん」
「うん。なんだい」
「手を、つないでも……いいですか」
ぴくり。彼の肩がほんのわずかに、跳ねました。いつも彼を見つめている綾花でなければ気づかないほど、ほんの少しだけ。
彼はなにも言わず、ふいと顔をそむけて、
「あ……」
ただそっと差しだされた手のひらを、綾花はきゅうと握りました。
手をつないだまま、一歩、また一歩。ゆっくりゆっくり、歩みます。
「きれいだね」
ふとそう言った彼の目は、ふたりの足元へそそがれています。綾花も目を落とすと、ああ、と思わず吐息がもれました。
「すごい……」
水鏡です。うつくしく深くさわやかな空のブルーを鏡のように映し返す、昨夜の雨の名残りでした。そこへはらはらはらりと、少しずつ散り始めた桜の花弁が降りおちて、鏡の縁をピンクに彩っています。
道の左右に続く桜並木は、そろそろ見納めでしょう。花びらは小雪のように舞い散り、綾花の髪の上へ、珪先生の肩やら手のひらへとはらはら、はらり。
桜の季節も、そろそろ終わり。
(ああ……
つるぎさん
。私、珪先生に……)
無意識のうち、心の中すがるように語りかけたのは頼れるお姉さん。今頃彼女もやきもきともだえていることでしょう。なんらかの答えを戦々恐々、けれど希望を胸に、待っていることでしょう。
かばんの中のお守りをふたたび確かめて、綾花はふわふわと浮かぶような心で歩を進めます。今、どこを歩いているのやら。彼となにを話しているのやら。
とく、とく、とくん。
(私……珪先生に……)
つないだ手のぬくもりは確かに感じられるのに、綾花が決意を深めようと試みるたび、どこか彼のいる世界が遠ざかるように思えて、綾花は足元おぼつかず、ふわふわ。ふわり。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年10月12日
参加申し込みの期限
2024年10月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年10月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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