シナリオ「桜の季節が終わる頃」

桜の季節が終わる頃

　さああ、さああと静かにか細く降りつづいた雨がようやくにして上がると、綾辻綾花は顔を上げ、窓の向こうをのぞきます。厚く垂れこめていた灰色の雲にいくつも切れ目が走り、ふりそそぐまばゆい光の帯に目を細め、口元をゆるめてふたたび、お弁当へおかずを詰めていく作業へと戻りました。

　今日は彼とデート。胸は喜びに満ち、それ以上の緊張と不安に張りつめ、弾けてしまいそう。

　いつものデート。けれど、特別なデート。

　ふわふわふわり、気づけば記憶の底から浮かび上がってくる思い出たち。
　一枚の写真として切り取られたそれらは綾花の頭のなかからひょいと飛び出すと、アパートの壁へずずいと引き延ばされて投影され、リールのすり切れた古い映画のように、いくつもの彼を映し出します。

　──何月なら、大丈夫ですか？
　──桜の季節が終わる頃、かな

「……これでよしっ、と」
　お弁当をきっちりと詰めてしまうと蓋をして、猫柄のランチクロスできゅっと包んで、
「それじゃ、クロワ。いってくるね」
　ふにゃあ、と黒猫は大あくび。綾花はくすりと笑んで、部屋を飛び出しました。

　待ち合わせ場所へ歩いてゆくと、
「わ……きれい」
　路上に広がる昨夜の雨の名残りへ、風に散ったピンクの花弁がいくつもいくつも、無数に浮かんで、つらなる水鏡の桜道といった風情。
　思わずのぞきこむと、そこにはぴりりと頬へ緊張を張りつかせた、綾花自身の顔がありました。

　はあ、ふう。深呼吸。

（ああ……珪さん。私は今日）

　桜道をたどった先に待っているだろう、彼のほほえみへと綾花は心のなか、語りかけます。

（あなたに、告白します）

運営部より

このシナリオはプライベートシナリオです。
以下のＰＣのみ参加することができます。
　
　　▼参加可能ＰＣ
　　・綾辻綾花さん
　
※その他の方は参加できませんので、ご注意ください。

※このシナリオでは、Ｘキャラ・ＮＰＣが参加ＰＣと同等量で描写されます。（追加料金が必要です）
　参考：ご利用ガイド／プライベートシナリオ（プライベートシナリオの申請方法）

※参加申込み後、アクション投稿期限までに必要な追加料金が差し引かれます。
　らっポ履歴に「プラシナ追加」と表示されて差し引かれるまでは、必要な分を保つようお願いします。

※Ｘキャラのアクションはキャラメでらっかみ！運営部宛てに投稿してください。
　アクション投稿期限まで書き直しは何度でも可能です。最後の１通分（1000文字以内）のみが有効です。

※ＮＰＣのアクションは投稿できません。
　確定ロールにならない程度で絡み方を書くのは自由です（通常のシナリオと同じ）。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

墨谷幽

マスターコメント

　墨谷幽です。よろしくお願いいたします～。

　綾辻綾花さん、プライベートシナリオの申請、まことにありがとうございます！
　アクションはガイドのイメージによらず、どうぞご自由にお書きださいませ～。

このシナリオの概要

　今回のシナリオは、ねこぴょんの日（卒業式）の直後、とある休日となります。
　前夜には雨が降っていました。散り始めた桜の花びらが水たまりに浮かんで、風情のある光景が見られそうです。
　午後になれば、濡れた地面は乾くでしょう。

　早川珪先生と過ごす一日を描くお話です。
　お弁当を作って自宅を出たあと、どこへ行ってなにをするのか、自由にご指定ください。

　今回は綾辻さんから珪先生へ、大事なお話があるとのこと。
　思いのたけを存分にぶつけてください。
　それによってどのようなお返事があるかは、分かりません。
　けれどなんらかの答えを出してくれることでしょう。

　珪先生の盟友にして綾辻さんのお友だち、馳つるぎお姉さんもおふたりを心配して、やきもきしています。
　結果を伝えてあげるのもよいと思います。

ＮＰＣについて

　ＮＰＣは、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
　また、墨谷のシナリオに登場したＮＰＣでしたら、登録・未登録問わず登場ＯＫです。
　ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。登場が難しい場合もありますので、ご了承ください。

　こんなＮＰＣと絡んでみたい、なんてリクエストがありましたら、お気軽にご指定ください。
　細かく指定もＯＫですし、マスターにおまかせもＯＫ。

　Ｘキャラクターも登場可能です。
　口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
　Ｘキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのＵＲＬだけ書いていただければ大丈夫です。

　以上になります。
　それでは、ご参加をお待ちしております～！

サンプルアクション（1）