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桜の季節が終わる頃
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【告白……し、します!】
「今日は、春の和風御膳。って感じにしてみました」
手がよどみなく動くことに感謝。どうやら緊張はすっかりほどけたようで、レジャーシートの上には次々にいろどり豊かなお料理がずらずらずらりっと並んでいきます。
「こ……これは。綾辻さん、ちょっと頑張りすぎだよ……」
「あ、あれっ。お気に召しませんでしたか?」
まぶたを伏せてかぶりを振った珪さん、ふうと大きく吐息をもらして言いました。
「いや、ごめん。今ちょっと、感動してて」
「あ、よかった。嫌いなものでも入ってたかと……」
「そんなのないよ、綾辻さんの作ってくれる料理にさ」
などと言って開いた瞳はきらきらきら。輝いておりますもので、綾花はほんのり照れながらも、どこか少年めいて嬉しそうにお弁当を眺めた彼を微笑ましく見つめました。
和風メニューを中心にまとめたおかげで、お弁当は整然として詰め込まれながらも華やか。見た目にも楽しくて、おまけにヘルシー♪ 綾花、渾身の出来ばえです。
「それじゃ、いただきましょう」
「うん。いただきます」
律儀に両手を合わせて言った珪さんのお皿に、そんなメニューのひとつひとつをよそっていきます。まずは菜の花のおひたし。たけのことさやえんどうのきんぴら。鮮やかな緑が目を惹きます。
「しゃきしゃきの食感が楽しいね。味付けもほどよくて僕好みだよ」
定番のだし巻き卵はふわふわに仕上げました。散りばめられた紅白の花はだいこんとにんじんのだし煮で、枝葉のパセリは香りもさわやか。春らしさをぎゅっと詰めこんだお弁当には、楽しいおかずがいっぱいです。
「ああ、たしかに和の風情があふれてる。赤白黄、野の花が咲き乱れるかのようだ。春の息吹を感じるね」
「ふふ。詩的ですね、珪さん」
「ごめん、実はこの前読んだ本の受け売り」
くすり、笑みがこぼれます。
メインのおかずには鶏の照り焼き。ごはんはじゃこ、たけのこにあさり、豚みそなどを具に小ぶりのおにぎりにしました。
「どれもやさしい味わいで、ほっとする。綾辻さんの人柄があらわれてる感じがするよ」
「ほ、ほんとですか?」
「うん。すごくおいしいよ」
聞きたかった言葉が、綾花の胸へじんわりとあたたかく染み入ります。
「たくさんありますから、どんどん食べてくださいね!」
「ありがとう。綾辻さんもいっしょに、ね」
跳ねるようにぽんぽんと箸が進み、その合間にはいつかの思い出や忘れがたい記憶について、あるいは他愛のない会話も弾んで、お弁当箱は気持ちのいいくらいにカラッポになりました。
さささ、ささあと静かに波が寄せては返します。今日は風も海も穏やかで、あたりには人気もなく猫いっぴきもおらず、頭上にやわらかな明かりを降らせる太陽だけが、ふたりを見守っておりました。
「…………」
「…………」
食後のお茶をゆっくりと口へ含む珪さんを横目にちらり、ちらと見ながら食事の後片付けをすっかりと済ませてしまうまで、綾花はたっぷりと時間をかけました。かかってしまったとも言いますけれど……とくとく、とくん、先ほどまでぴたり収まっていた胸の鼓動がふたたび騒ぎ出して、なんだかいたたまれなくて。むず痒く、身の置きどころがないような気がしてしまって。そわそわ、もじもじ。
それからさらにたっぷりの時間をかけて、綾花は自分自身の心をととのえました。何度も深呼吸をして、前髪をささっとして、おしりの据わりを正したりして。
ああ、珪さん、とかばんの中のお守りの、なめらかな布の手ざわりをなぞります。
とく、とくん、とくん。
「……あ、の。珪さん……」
「うん」
幾度も口をひらきかけ、閉じては言葉をのみこみ、ふたたび口をひらいては自分の臆病に焦り、もどかしく頭を振りました。
「私……」
「うん」
彼は綾花を急かしたりはしません。ただうなずいて、無意識に伸ばした綾花の手へそっと手のひらを重ね、ぬくもりでつつみこんでくれました。
ひょうとひとつ冷たい風が吹き抜け、綾花の前髪を揺らし、乱していきます。
「……三年間。珪さんと出会ってから……ずっと、私」
「うん」
「ずっと珪さんを、見てきました。ずっと、ずうっと」
いろんなことがありました。本当にいろんなことが……そのほとんどは楽しくて、あたたかくて、輝くような思い出ばかり。そうでない切ない記憶は、彼の弱いところを目にし、深いところへ触れたからこその、それもまた大切な思い出でした。
「私、珪さんを知りました。好きなこと。好きなもの。やさしい性格も、ときどき凝り性なところも。昔のことも……珪さんのこと、いっぱい知りました。でも、もっともっと知りたいんです」
もう、一歩を踏み出してしまった。あと戻りはできないと知りながら、綾花の口からはとめどない思いが言葉となって次々に、こぼれおちました。
「私のことも、もっともっと、知ってほしいです。珪さんの知らない私、話してないこと、たくさんあるんです。知ってほしいんです……だ、だからっ」
声はふるえて、心臓はもはや跳ねまわるのをおさえようともせず、頬は紅潮して、視界はぐるぐると回りだしそうに揺れていて。
それでも……いつのまにかあのお守りはかばんの中から引き抜かれた綾花の手に握られて、ぎゅっと胸へ抱けばぴたり、揺れは収まり、不思議なほどに心は静かになってゆき、やがて定まりました。
その一瞬に瞳きらめかせ、綾花は。
「珪さん、私……っ」
なかば叫ぶように、告げました。
「ずっと前から、珪さんのことが好きです。私の……恋人になってください!」
──永遠にも思えるような数十秒が、波の音とともに流れていきました。
ぐっとお守りを握りこみ、みじろぎもせずじっと、綾花は待ちました。祈りながら、息が詰まるほどの静寂に耐えながら。
彼はうつむいたまま、なにも言葉をつむいではくれません。綾花の思いをぐっとのみこむように、自分の中でなにか確かなものを探し見つけ出そうとするように……静かにもがくように。珪の心もまた、きっと揺れていたことでしょう。
ふと。気がつくと桜色の燐光が目の前に舞っています。水鏡の桜道。あの並木道からふわり風に運ばれてきた花弁たちが、陽の光を受けて照り輝いているのです。晴れの雪めいて吹き抜けてゆく桜風につつまれた彼に見とれているうちに、
「……ありがとう」
やわらかく、雨の日の泣き笑いみたいにほころんだ彼はようやくにして、彼の思いと決意を、綾花へと、
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年10月12日
参加申し込みの期限
2024年10月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年10月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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