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寝子島高校
一心精進
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マグカップの横で握りしめられていた拳は固く、慈しむように両手で包み込んでも解いてはくれない。
「私は何より、珪さんに元気でいてほしいです」
守るより頼って欲しい。悩むなら吐露してほしい。
その悩みの原因が綾花であるならなおのこと、遠慮なんてしないでほしい。
「例え私のためだとしても、やっぱり距離を置かれたら寂しいです。仕方ないんだってわかっていても、悲しくなっちゃうと思います。でもそれで珪さんが楽になるって言うなら……」
そうしましょう、なんて素直に言えなかった。
他の先生と比較すれば明らかに、珪とは『適切な距離』を少しばかり越えているのだろう。であれば、彼が取ろうとした行動は何も間違っていない。
彼が咎を受けるようなことは綾花も望んでいないし、想いを告げないことで余計に扱いを悩ませてしまったことには申し訳無さがある。だからって、「そうですか」と手を離すわけにはいかなかった。
「……3月まで、待っててくれませんか?」
その約束があれば頑張れる。
今月は共通テスト、来月は入試。勉強に打ち込んでいれば、きっとあっという間だ。
卒業までなんて長くない、告白できるようになる日まで、あともう少し。なら綾花がするべきことは、今を悲観することじゃなくて、少し先の未来のために頑張ることだろう。
「……ダメですか?」
おずおずと覗き込むように顔色を伺えば、珪はふふりと――困ったように、笑った。
「3月、か……それはちょっと難しいかもしれないな」
今までの綾花なら、この言葉をプラスになんて受け取れなかった。
数多ある見合い話の返事をする都合で3月まで待っていられないとか、難しいという言葉は綾花からの告白を聞くつもりがないだとか。マイナスに受け取りこそすれ、前向きに切り返すことなど思いつかなかった。
――珪の癖に、気づくまでは。
(珪さんがこうやって笑うときは、別に本音があるとき……だから)
告白を聞くよとは言えない立場だけれど、珪自身は聞きたいと思ってくれている、ということだろうか。
なんだか前向きすぎる気がして、綾花は聞き返すことを少し迷った。照れくささもあるけれど、また後ろ向きになってしまうよりは、何倍もマシだろうと気合を入れる。
「なら、何月なら大丈夫ですか?」
「……桜の季節が終わる頃、かな」
神奈川県の桜の見頃は3月下旬から4月の上旬。少し早まれば卒業式と重なり、遅れれば入学式と重なるような、そんな頃だ。
特別、珪が桜を苦手としていた記憶もなくて、綾花は逡巡する。
(どうしよう。卒業したら言おうと思っていたのに、それだと少し早いのかな?)
それに、珪の両親が寝子島に来るときには案内をしてあげたい。できれば特別な関係のときがいいとも思っている。しかしこのままでは、桜の綺麗な季節は生徒のままだ。
(……生徒のまま?)
卒業をすれば生徒ではない、なら桜の時期には――そう考えて、綾花は気づいた。
例え卒業式が終わっても、綾花は3月いっぱい『高校生』で、正式に卒業となるのは末日を過ぎてからだ。
ハッとした様子の綾花を見てくすくすと笑うと、珪は愛おしそうに目を細めた。
「大事な相談事なら、3月と言わずにいつだって聞くよ?」
本当は、今すぐ言ってしまいたい。
何のしがらみもなければ、彼に迷惑をかけないのであれば、もっと早くに告げていただろう。
「いえ……桜の季節が終わる頃、ですね! それまでは……」
今度は守ろう。珪の望む距離で、珪を困らせない速度で。
そっと包んでいた手を離し、綾花はぬるくなってしまったマグカップを握りしめる。けれどやっぱり、その距離まで離れてしまうのは寂しくて。
「珪先生って、呼ばなきゃだめですか?」
「……そうだね」
だろうなと思っていたから、そこまで大きな衝撃はなかった。じわりじわりとこみ上げるものを隠すように、綾花はミルクティーを口に含む。
「自由登校も増えるし、綾辻さんにそう呼ばれる機会も減ってしまうから……学校でくらいそう呼んでよ」
それだけ言うと、珪はマグカップに口をつけて視線を逸した。
でも、これだけでは「はい」と頷いてはあげられない。
「じゃあ、学校の外ではいつも通りでいいですか?」
「…………」
「珪さんって呼ぶのも、手を繋ぐのも、大丈夫ですか?」
ゆっくりとカップを机に置き、珪は短く息を吐く。
彼の立場を考えれば答えにくい質問だったかもしれない。でも、否定されなかったということは。
「何にも言ってくれないなら、『そういうこと』にしちゃいますよ」
ちょっと意地悪な笑みを見せると、珪はぱちくりと瞬いて――ふはっと吹き出すように笑った。
「うん、そうだね……今まで通りなら」
学校の外であっても、互いの知り合いの目はあるし、気にしなければいけない場所もある。節度という物は必要だけど、決してそれは一定ではない。
まだ言えない想いがあって、まだ聞けない想いもあって。
珪の癖に気づいたばかりの綾花は、また勘違いして傷ついてしまうこともあるかもしれない。
だけど。
「桜、楽しみですね!」
その日までは、今まで通り。
手を繋いで名前を呼んで、それから――ここに来るための口実は、もっとしっかり考えて。
今しかできない秘密のときめきを、あなたと一緒に。
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あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
この度はリクエスト頂きありがとうございました、浅野です。
リクエスト頂いていたときに考えていた方向から、結構方向性が変わってしまったのですが、ご希望の物に仕上がっていたでしょうか。
もしかしたら、最新の関係性を意識しないほうがリクエスト通りなのかもしれないなと思いつつ、でもここは乗り越えたほうが良さげだな、とも思い。
なんとか良い方向に向いてくださっていたらいいなと願うばかりです。
卒業まであと少しですね!
もどかしい関係を楽しめるのも、もうちょっと。
ぜひ悩み迷いつつも、今を楽しんでくださると嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年10月09日
参加申し込みの期限
2023年10月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年10月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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