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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
光風霽月
急いで彼女の元へ行き、何に興味を示すのかと視線を追う。一緒に笑い合って、また目新しい物を見つけては会話を弾ませているラッセルらの様子を、遠目から観察している人物がいた。
わざわざイベント広場が見渡せるように案内所の２階に上り、景色を楽しんでいるんだと言わんばかりにオペラグラスで様子を窺ってる男――海道 千里。
「ったく……やっぱりオレがいないとダメじゃん」
クスクスと笑う顔は敵か味方か。彼とラッセルの関係を知らぬ人が見れば、そう思ったかもしれない。
けれど千里は、横恋慕をしているわけでも、リア充となった親友に嫉妬しているのでもなく、ただ単純にこの状況が 面白そうだと とても心配に思って、はるばるメタリックブルーの大型バイクを走らせやって来たわけだ。
（律儀にデートの予定表なんて作っている恋愛初心者な親友を、放っておくなんてできないよな？）
先日遊んだときに盗み見た例の小冊子。可愛い彼女のために丹精込めて作られたそれは、デートを成功させるためにか行き先だけでなく所要時間まで書かれていた。
ざっと目を通しただけではあるが、イラストも多く描かれており、要点を絞り込めば暗記することなど造作も無い。なぜなら千里は医者の道を目指しつつ、絵を描くことも生業とする気で勉学に励んでおり、早筆だ。つまり、要領よく覚えて形にしていくことは得意分野である。
どうせ写真を撮ったところで、ラッセルに「消せ！」と怒鳴られるのだ。だったら頭で記憶し、隙を見てメモに残した方がよっぽど勝算はあると踏んだが、正解だったようだ。
（本当に時間通り見て回るかは賭けだけど、行きたいところはわかってるしな）
意地の悪い笑みを、キャップとファッショングラスで隠して。千里は２人の尾行を開始することにした。
どう見たって、ラッセルと晴月はデートを楽しんでいるだろう。それは千里も理解している。
計画表を見られて「付いてくるなよ！」とラッセルに念を押されたときなんて、あまりの必死さに『何か一念発起するつもりか？』と思ってニヤニヤしてしまったほどだ。
初々しく甘酸っぱい青春を謳歌している――大変素晴らしいことではないか。
だと言うのに、ラッセルはしどろもどろと煮え切らない態度。どうやら晴月に何かを問われ、困惑しているようにも見える。
ここは、さりげなくサポートしてやるべきだろう。千里は迷わず２人と距離を詰めると、我が耳を疑った。
「ねぇラッセル、お揃いの指輪ってどう思う？」
さすがの千里も、晴月がそこまで押しの強い女の子とは思っていなかったのだろう。反射的に上げそうになった声を堪え、バレてはいけないと適当な露天を冷やかし始める。もちろん、聞き耳を立てるのは忘れない。
「どうって……早くねぇか？」
「遅いとか早いとか、関係あるの？」
狼狽えているであろうラッセルの気配に、背中を叩きたくてうずうずする。世話は焼きたいが、何から何までサポートしていては、ラッセルはいつまでたっても恋愛初心者だ。
（別に婚約指輪をねだられてるわけでもあるまいに）
結婚式のイメージが強い指輪だからこそ、何かの記念日や区切りにと考える人は少なくないと思う。けれど、今は恋人がおらずともファッションとして薬指に身に付ける人もいるくらいだ。高価な物をねだられていたならば「貢がせる気か」と晴月を止めたかもしれないが、ラッセルの選んだ子が強欲だとは思えない。
（それこそ、ここで売ってるような手作り雑貨系なら……っと）
アクセサリーショップが目に入り、２人がやってくるかもしれないと方向転換。ラッセルはこうと決めたら男気を発揮できるタイプなのだが、そのスイッチが入るまではまどろっこしいというか、根が真面目過ぎるというか。
（まずは、ペアのハードルが低いことを教えてやるか！）
折角こうして後を追いかけてきたんだ。何か発破をかけるのに良い物は無いかと探す千里の視線の先に、柚春とウォルターの姿が見えた。確か、あの２人は良い感じのピアスをつけていたはずだが、晴月はピアスをしていただろうか。
あまり飾り立てていたイメージはない。それに、どうせラッセルのことだ、身体に傷をつけるようなアクセサリーだなんて騒ぐに決まっている。
（となると……ブレスレットかペンダントが妥当――いや、晴月は指輪が気になってたみたいだし）
少し離れたところでオペラグラスを取り出し、２人の様子を見守って見るも進展はなさそうだ。周囲の喧噪に遮られて会話は聞こえなくなってしまったが、まだ押し問答は続いているように見える。
やはりここは、颯爽と登場してアドバイスをしてやるべきか。それとも声音を少し変え、通話している素振りでさりげなくヒントを知らせるべきか。
前方を注視しながら考えを巡らせる千里は、背後に忍び寄る気配に気づけないでいた。
わざわざイベント広場が見渡せるように案内所の２階に上り、景色を楽しんでいるんだと言わんばかりにオペラグラスで様子を窺ってる男――海道 千里。
「ったく……やっぱりオレがいないとダメじゃん」
クスクスと笑う顔は敵か味方か。彼とラッセルの関係を知らぬ人が見れば、そう思ったかもしれない。
けれど千里は、横恋慕をしているわけでも、リア充となった親友に嫉妬しているのでもなく、ただ単純にこの状況が
（律儀にデートの予定表なんて作っている恋愛初心者な親友を、放っておくなんてできないよな？）
先日遊んだときに盗み見た例の小冊子。可愛い彼女のために丹精込めて作られたそれは、デートを成功させるためにか行き先だけでなく所要時間まで書かれていた。
ざっと目を通しただけではあるが、イラストも多く描かれており、要点を絞り込めば暗記することなど造作も無い。なぜなら千里は医者の道を目指しつつ、絵を描くことも生業とする気で勉学に励んでおり、早筆だ。つまり、要領よく覚えて形にしていくことは得意分野である。
どうせ写真を撮ったところで、ラッセルに「消せ！」と怒鳴られるのだ。だったら頭で記憶し、隙を見てメモに残した方がよっぽど勝算はあると踏んだが、正解だったようだ。
（本当に時間通り見て回るかは賭けだけど、行きたいところはわかってるしな）
意地の悪い笑みを、キャップとファッショングラスで隠して。千里は２人の尾行を開始することにした。
どう見たって、ラッセルと晴月はデートを楽しんでいるだろう。それは千里も理解している。
計画表を見られて「付いてくるなよ！」とラッセルに念を押されたときなんて、あまりの必死さに『何か一念発起するつもりか？』と思ってニヤニヤしてしまったほどだ。
初々しく甘酸っぱい青春を謳歌している――大変素晴らしいことではないか。
だと言うのに、ラッセルはしどろもどろと煮え切らない態度。どうやら晴月に何かを問われ、困惑しているようにも見える。
ここは、さりげなくサポートしてやるべきだろう。千里は迷わず２人と距離を詰めると、我が耳を疑った。
「ねぇラッセル、お揃いの指輪ってどう思う？」
さすがの千里も、晴月がそこまで押しの強い女の子とは思っていなかったのだろう。反射的に上げそうになった声を堪え、バレてはいけないと適当な露天を冷やかし始める。もちろん、聞き耳を立てるのは忘れない。
「どうって……早くねぇか？」
「遅いとか早いとか、関係あるの？」
狼狽えているであろうラッセルの気配に、背中を叩きたくてうずうずする。世話は焼きたいが、何から何までサポートしていては、ラッセルはいつまでたっても恋愛初心者だ。
（別に婚約指輪をねだられてるわけでもあるまいに）
結婚式のイメージが強い指輪だからこそ、何かの記念日や区切りにと考える人は少なくないと思う。けれど、今は恋人がおらずともファッションとして薬指に身に付ける人もいるくらいだ。高価な物をねだられていたならば「貢がせる気か」と晴月を止めたかもしれないが、ラッセルの選んだ子が強欲だとは思えない。
（それこそ、ここで売ってるような手作り雑貨系なら……っと）
アクセサリーショップが目に入り、２人がやってくるかもしれないと方向転換。ラッセルはこうと決めたら男気を発揮できるタイプなのだが、そのスイッチが入るまではまどろっこしいというか、根が真面目過ぎるというか。
（まずは、ペアのハードルが低いことを教えてやるか！）
折角こうして後を追いかけてきたんだ。何か発破をかけるのに良い物は無いかと探す千里の視線の先に、柚春とウォルターの姿が見えた。確か、あの２人は良い感じのピアスをつけていたはずだが、晴月はピアスをしていただろうか。
あまり飾り立てていたイメージはない。それに、どうせラッセルのことだ、身体に傷をつけるようなアクセサリーだなんて騒ぐに決まっている。
（となると……ブレスレットかペンダントが妥当――いや、晴月は指輪が気になってたみたいだし）
少し離れたところでオペラグラスを取り出し、２人の様子を見守って見るも進展はなさそうだ。周囲の喧噪に遮られて会話は聞こえなくなってしまったが、まだ押し問答は続いているように見える。
やはりここは、颯爽と登場してアドバイスをしてやるべきか。それとも声音を少し変え、通話している素振りでさりげなくヒントを知らせるべきか。
前方を注視しながら考えを巡らせる千里は、背後に忍び寄る気配に気づけないでいた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年10月16日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年10月23日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年10月23日 11時00分
