寝子島ないない騒動～お米がない！～｜リアクション

寝子島ないない騒動～お米がない！～

　シーサイドタウンのマンション。
　朝鳥さゆるは、恋人の姫木じゅんより早く起きて身支度をしました。
　そして朝食の準備を始めます。
　じゅんの食生活はほぼデリバリーかテイクアウト、多少なりとも料理が作れるさゆるが台所に立つようになっていました。

（ここ３日ほどパンが続いたから、今日はご飯にしよう）
　そう思い、米びつを開けましたが。
（空っぽ……確かパックの米があったはず）
　そう思って戸棚を調べましたが、それもありませんでした。

　やがてじゅんが起き出した音が聞こえてきました。
　しばらくしてダイニングに顔を出したじゅんは、テーブルに何もないのを見て、
「あれ？　朝ごはんは？」
「おはよう。米がないので今日もパンにするわ」
　とさゆるが答えると。
「えー、ごはん食べたい」
　とわがままを言い出しました。

「困ったわね……」
　少し考えたさゆるは、思いつきました。
「近所の寝子野屋へ行けば、朝食セットがあるわ」
「いいね、行きましょ」
　
　支度をして二人で出かけましたが。
「……え？　お米をついさっき切らした？」
　まさかの結果が待っていました。
「取り寄せているけどいつ来るかわからないって？　そんなぁ」
　悔しがるじゅん。
（あたしは別にパンでも構わないのだけど）
　そう思うさゆるですが、じゅんの方はますますごはんが食べたくなったようです。
「なら、コンビニに行きましょ！」
　ムキになった様子のじゅんと共に、今度はコンビニへ向かいましたが。
「……おにぎりもないの！？」
　予想通りというか、おにぎりの棚も空っぽでした。
「じゅん……仕方ないわよ」
　さゆるは段々と機嫌が悪くなるじゅんをなだめるのでした。

「お腹すいた～」
　帰宅して、結局コンビニで買ったサンドイッチを取り出します。
　じゅんがいつものように撮りためた深夜アニメを流し、二人はサンドイッチを食べました。
　アニメの中でもヒロインたちがおいしそうにサンドイッチを食べていました。
　一本見終えたところで、
「いつも通り朝を過ごせればパンでもいいよね」
　ぽつりとじゅんが言い。
「そうね」
　ほっとしながらさゆるも同意しました。

　食べ終わった後はじゅんは米のことなどすっかり忘れた様子でしたが。
　その夜のプロムナードでは、米を食べたがるお金持ちのお客のリクエストで、寿司が振舞われることになったのでした。

このページにイラストを設定する