寝子島ないない騒動～お米がない！～｜リアクション

寝子島ないない騒動～お米がない！～

　稲積柚春は、ウォルター・B好みの料理を作ろうと、以前メアリ・エヴァンズから貰ったレシピを参考に練習を重ねていました。
「これで春のお花見やピクニックにはワットの好物を沢山作ってあげられる」
　喜んだのも束の間、柚春は思いました。
「久しぶりに和食が食べたいな。特に白米」
　メアリさんのレシピは洋食ばかりだったので、白米が恋しくなってしまったのです。

　しかし米びつを開けると、米は２合あるかないかでした。
「最近はパンや芋が主食になっていたから足りないの気づかなかったな……」
　心許ないので買い物に行こうかと思った時、スマートフォンが鳴りました。
「ワット！　どうかしたの？」
　わくわくしながら電話に出ると。
『稲積のところに米は余ってないかな？　米が食べたいんだけどうちになくてね』
「えっ？」
　以心伝心とはこのことでしょうか。
　しばらく話した後、柚春はなけなしの米を持って出かけたのでした。

　チャイムを鳴らすと、困り顔のメアリに出迎えられました。
「すみませんね、こんなことでお呼びだてして……米を探したんですが、どこにも売っていないんですよ。パンならありますからと申し上げたんですが」
「いえ、僕も米が食べたかったところなんで、ちょうどよかったです」
「稲積、どうだった？」　
「お待たせ、ワット。和食なら任せろと言いたいところだけど、肝心の米が無いんだよね。でもお米代わりになる料理を知ってるからちょっと待ってて」
　スーパーにも米はありませんでしたが、僅かな米といろいろと買い足した物とを合わせ、ワットを満足させるための策がありました。
「ありがたい、楽しみにしてるよぉ」

　ウォルターの声援を受け、柚春は台所に入ります。
「玄米は水につけて、っと」
　最後の砦になるよう祈り、まずは混ぜご飯を作ります。
「それは何ですか？」
　メアリの問いに、
「雑穀米や麦、蒟蒻米です。手持ちの米と合わせてボリュームを出そうと思って。餅米も少量白米に混ぜ込めばおこわ風となって白米に近い食感で食べられるはずです」　　
　いろんな穀物を慎重にブレンドしながら柚春は答えました。
（どれも癖があるからちょっと心配だけど……おいしくできるかな？）

　次にフライパンを取り出し、カリフラワーライスを使ってチャーハンを作ります。
　さらにオートミールを水と一緒にレンジで加熱。
「これは焼きおにぎりにします」
「素晴らしいアイディアですね」
　メアリは感心するのでした。

「できた！」
　テーブルには米料理が並びました。
「柚春が作ったの？　すごいな、おいしそうだ」
「ごはん、どうかな？　食べてみて」　
「いただくよ」
　一口ご飯を味わうと、ウォルターは満足そうに言いました。
「もちもちしていて美味しいよ」
「よかった」
　チャーハンも焼きおにぎりも好評で、メアリさんも喜んでくれたようです。

「米が手に入ったら、ちゃんとした和食もごちそうするからね」
　けれどウォルターの笑顔が、柚春には一番のごちそうでした。

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あとがき

担当マスター：茄子りんこ
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ご参加ありがとうございました。

リアルな米騒動は収まってきたようですが、寝子島も物流には苦労しているようです。
猫鳴館のバイタリティはすごいですね。

寝子島米騒動はしばらくして収まりましたが、今後もいろいろとないない騒動が起きるかもしれません。
工夫を凝らして乗り切ってみてくださいね。

それではまた、機会がありましたらご参加お待ちしております。

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