寝子島ないない騒動～お米がない！～｜リアクション

寝子島ないない騒動～お米がない！～

　綾辻綾花は猫鳴館を出て、高校に近いマンションで暮らしていました。
「そろそろお米が無くなってきました」
　スーパーへ向かった綾花ですが。
「あれ？　ない？」
　スーパーの米のコーナーが空っぽでした。
「ドラッグストアやお米屋さんなら……」
　そう思って足を伸ばしましたが、やはり品切れでした。

「珪さんに電話してみよう」
　スマホを取り出し、近所のアパートに住む早川珪に連絡してみました。
「珪さんお米がないんです。どこかお米売ってるところ知りませんか？」
『え？　スーパーや米屋には？』
「色々寄ってみたんですけどないんです」
『……そういえば品薄だとニュースで言っていたね。うちも切らしてて買おうと思ってたんだけど』
「無いと余計に食べたくなりますね」
『ああ、明日探してみよう』

　そんな会話の翌日、綾花と珪はデートでお昼にブックカフェに寄ってみました。
「ご飯は切れてるみたいです……どこにもないですね」
　ライスのメニューにはテープが貼られており、綾花と珪は小さくため息をつきました。
「珪さんは食事はどうされたんですか？」
「朝はパンで、夜は麺だった」
「私も、夜にお蕎麦食べて朝食はサンドイッチでした。お昼は食べれるかなって思ってたんですけど……」
　パスタを食べながら綾花は、やはりパスタを食べる珪を見つめました。
　綾花の手元にはカフェにあった料理本があります。
「おいしそうだね」　
「今夜の献立を決めたいです。珪さんはどれが食べたいですか？」
　写真を見ながら二人は楽しそうに話します。
「今なら、この手巻き寿司かな」
「これ簡単ですね。こっちのドリアもおいしそうです。そうだ、ワインに合いそうなドリアとかリゾットとか教わったんですよ」
「料理教室に通ってるって言ってたね。楽しい？」
「はい。米騒動が収まったらぜひ食べてほしいです」
　何回も作っているので、味には自信がある綾花です。

「楽しみだけど、作ってもらってばかりだと申し訳ないね」
「いいえ、珪さんは美味しそうに食べるからもっと見たくて作りたくなるんです」
　幸せそうな表情で綾花は言うのでした。
「お米も食べたいけど、誰と食べるかが一番大事です」
「そうだね」
　珪も頷きました。

　

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