さくらのかき氷屋さん｜リアクション

さくらのかき氷屋さん

◆共感

　稲積柚春はウォルター・Bと一緒に出掛けていた。春にしては少し暖かい陽気で、これからどこへ行こうかと話す。そんなとき、ふとキッチンカーを発見した。どうやらかき氷を売っているらしい。

「少し季節を先取りな感じだけど、最近は春らしくなってきたし冷たい物もいいよね！」

　かき氷といえば夏のイメージが強いが、今日くらいの暖かさならちょうどいいかもしれない。柚春は彼の手を引いてキッチンカーに駆け寄る。

「僕は看板メニューっぽいさくら味にしようかな……でも、この動物かき氷も気になる……熊に兎にインコまで」

　可愛らしいポップとともにサンプル写真が飾られていて、氷に様々なトッピングをして動物を上手に表現している。悩みに悩んだ末、柚春は熊のかき氷、ウォルターははちみつレモンを注文した。それを受け取るとキッチンカーの近くにあるベンチに座る。
　カプギアのворとかき氷の写真を撮ったり、ウォルターとの記念撮影を楽しんだり、仲良く分け合いながら食べる。

（それにしても……）

　柚春はキッチンカーのほうを見る。じつは提供されるまでの間、さくらがハラハラするようなドジを発揮していた。物は落としそうになるし、かき氷を手渡すときに手が滑って惨事になりかけた。

「なんだかパフォーマンスのすごいお店だね」

　あまりにもドジが多く、演出なのではないかと感じていた。ただ、さすがに緊張しているのかもと思い手伝うことにした。ウォルターも彼女の考えに賛成した。キッチンカーに近づいて手伝いを申し出ると、さくらは素直に喜んだ。

「車の中はあなたのお城だから手伝えないけど、外のことは頼ってね！」
「ありがとうございます！」

　さくらはかき氷を作ることに専念して、２人は注文や列整理を行う。

（キッチンカーだから、色んなところに行くんだよね。初めての場所は緊張しちゃうよ）

　柚春もウォルターも引越しが多かったので、その気持ちがよく分かる。だんだん客が増えてくると、さくらがどうしても焦ってしまう。そんな彼女に優しく声を掛けながら３人でピークの忙しさを乗り切った。

「手伝ってもらってありがとうございました！」

　さくらのその言葉に、２人は優しく微笑みを返した。

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