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とおりゃんせ。
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【××××駅】
とおりゃんせ、とおりゃんせ。ここはどこのほそみちじゃ。てんじんさまのほそみちじゃ。
「天神さまもいい迷惑だと思うがね。濡れ衣じゃん」
国府津の天神さんこと菅原道真公が齢七ツの子どもを神かくしの憂き目にあわせたりはすまい、というのが
旅鴉 月詠
の理由です。かの学問の神さまがそんなことする必要ないわけで。
「いやま、日本三大怨霊に数えられてたりもするけど。それはそれ、これはこれ」
ようするにそうした偉人や神さまの類を、なにかと神聖視した時代だったのでしょう。神だのみやたたりが現実のものとして存在した、旧き信仰の息づく時代だからこそ、そんな歌のひとつも生まれたのでしょう。
「だからまあ、ここでなにか起こったとしても、決して不思議ではないわけだ。なあ地蔵どの」
石畳の道の脇、無造作にたてられた祠に収まっているお地蔵さまの頭をぽむぽむ。
あたりは見知らぬ裏路地、細道。どうやら迷ってしまったようです。ならば引き返せばよかろ、と振り向くも時すでにおそく、来た道はいずこやら。気がつけばそこは赤い鳥居がえんえんと連なる、見知らぬ小路なのでした。
「ふむ。霊界の、銀朱駅だったかな。並ぶ千本鳥居があると聞いたが、もしかしたらそのあたりだろうか。きなこでもいれば分かるのだけどね」
残念ながら霊界の生き字引き、
餅々 きなこ
の姿は見当たらず。それどころか人っ子ひとり、あやかしの一匹二匹さえ見えません。そもそもここは霊界なのか。そうと断定するには情報が足りません。
地蔵に別れを告げて、月詠は鳥居の向こうへと歩きはじめます。立ち止まっていても、この場で永久に無為な時が過ぎるだけでしょう。すくなくとも月詠はそう判断しました。
「さて、ここはどこの細道じゃ?」
鳥居の並びを抜けると、両脇に長屋のような簡素な木造家屋が連なっておりました。時代劇でよく見かけるような貧乏長屋といった風情です。
一本道には人の姿はひとつもありません。どの家も引き戸がきっちりと閉じられていて、障子の向こうにはぼんやりとろうそくの明かりがともり、いくつもの人影が揺らめくのが見えました。
ひそひそ。ひそひそ。気配はあれど、姿はたしかめられず。ひそひそ、ひそ、ひそひそひそ。ちいさなささやき声だけが、かすかに月詠の耳へと届きました。
「どうやら私はまねかれざる客かな。そんなつもりはないのだが」
おもむろに戸を開けはなったり、蹴破って闖入するような野暮でもなし。月詠は肩をすくめて、あくまでマイペースに前へ前へと歩みます。
ひそ。ひそ。ひそひそ、ひそ。
「ぬいとて」
「うん?」
耳の裏、すぐ後ろ。ぴたりと背に張りついた誰かがささやくような、ひどくかすれた声が聞こえました。けれどそこには誰かの気配も、首筋をくすぐる誰かのぬるい吐息も、衣ずれの音さえもありません。ただささやきだけが、なにものかの存在を月詠へと知らせています。
振り返るのは、ためらわれました。好奇心は大いにあるものの、おとぎ話や昔話のセオリーを盛大に踏み抜いて、脱出不能な状況におちいったり食べられてしまったりしてもつまらないので。
「てみを。はるうい、ぬいとて」
「うん。わからないけど、わかったよ。私はお暇しようじゃないか」
奇怪な言語に追い立てられるまま、月詠は早足で長屋通りを抜けました。
その先にはもう少し奇妙な光景が広がっておりました。
砂浜で、駅でした。白砂のひろがる浜辺にぽつんと、無人駅が立っています。線路はありません。駅の看板には、駅名であろうなにか文字が記載されているものの、ひらがななのか漢字なのか、未知の文字を月詠は読むことができませんでした。
さらに奇怪なのは、お堂のような建物が、背負うように駅へ併設されていることです。立派な飾り屋根を見上げながら白砂を踏んで裏にまわり、お堂をのぞき込むと、板張りのせまい空間いっぱいに、無造作にならべられた無数の地蔵が月詠を見つめ返しています。多くは欠けたり砕けたり、首がおちて転がっているものもありました。
「これは……いわゆる、異界駅のたぐいか」
そんな都市伝説にも聞き覚えがありました。現実と似て非なる、となり合わせの異世界へいつのまにやら迷い込んでしまう怪異譚。寝子島に近しい、けれど文字も言語も異なる別の世界へ、月詠は裏路地から迷い込んでしまったようです。
月詠はふむ、とあたりを見回して、
「さて、では、どうするかな。出口を探すにしても手がかりはなし。さっきの長屋へもどって誰かに聞いてみようか? いや~、あんまり友好的には見えなかったよね。とすると……うん。よし、記念撮影でもするか。せっかくの体験なのだし、写真に残しておこう。あとで絵として描き起こすのもいいね、ん?」
「いりむい。くいくき、えしも、ぬいとて。ぬいとて……ぬいとて……」
スマホでぱしゃりと一枚。それに抗議するかのように耳元へ届いた声はその調子から、どうやら月詠をここへとどめておきたくないようです。
「きりも、はるうい」
「しかしだね、きみ。私にもどう帰ったらいいのか分からないんだよ。しょーがなくない? おっと、そうだ」
姿なき警告へ投げやりに返しつつ、ふと。
「お地蔵さまに、お供えのひとつもしておこうかな。あいにくとパックの煮干ししかないけど」
無数の地蔵たちがならぶお堂にそれをそっと置いたところで、
「おや。これは……お札?」
なんとはなしに拾い上げた瞬間、月詠の視界はまばゆく白い光につつまれました。
……その後。興味本位であの路地をもういちど探してみたものの、たどりつくことはありませんでした。
似た光景なら、たとえば霊界へとおもむく機会があれば目にすることもできるかもしれません。けれどきっと、一期一会。おなじ路地には二度とふたたび、足を踏み入れることかなわないのでしょう。
「ま、だからこそ思い出は美しい。とも言えるけどね」
星ヶ丘寮のバルコニーでゆるい風をあびながら、スマホで撮った写真を眺めます。ダブルピースな月詠のまわりには駅と鳥居と、砕けた地蔵の腕やら胴やら頭やらと、謎めく黒い影。それに足元には、無数の人骨が散らばっておりました。
「なんと言っていたのかな」
出ていけ、でしょうか。それとも、振り向いちゃダメ? こっちへこい、だったのかも。いずれにしても、あの小路に迷いこみ、そこに棲むなにものかと意思の疎通が図れなかったことを、月詠は残念に思います。おそるべき危機を脱したのかもしれないけれど、もしかしたら、得がたい機会を逃したのかも。そう思えてなりません。
「なんにしろ、良き散歩だった。感謝」
月詠はこれからも見知らぬ道へ踏み込み、あえて藪をつつき、ときにピンチに見舞われ、ときに筆舌に尽くしがたい光景を目にすることでしょう。
だからきっと、おもしろい。
「さて、次はどこへ行ってみようか。寝子島は実に、探検しがいがあるよね」
未知なる小路へ思いをはせ、月詠は満足そうに、うむっ。うなずきました。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『とおりゃんせ』のリアクションをおとどけいたします。
あえて脇道を歩くのが好きです。知らなかったお店を発見したり、大通りにはなかなか見ないようなちょっとエキセントリックなお家があったりして、楽しいのです。
作中ちょろっと登場した厨房器具の卸売り店も、私のおさんぽコースにあるお店をモデルにしていたりします。
なぜこんなところに? 人来るの? ってなお店、たまーにありますよね。先日もすっげー中途半端なところにひっそりと建ってるパン屋さんを見つけて、調べてみたらこれが大人気店だそうでして。
今はSNSもあっていくらでも情報は伝わるでしょうけれど、そういうものもなかった時代に、『こんなところにこんな店』をやろうと思ったその決断や勇気ってすごいなーと思います。
皆さんもそんな経験、ありますか?
たまには急ぎ足を止めて、普段は見ないところをのぞいてみるのもいいものですよね。
こんなところにこんな隠れたスポットがあったよ! なんてお話、よかったらお聞かせください。
それでは、今回もご参加いただきましてまことにありがとうございました。
次のシナリオでもお会いできますよう、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
神話・伝説
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年08月17日
参加申し込みの期限
2024年08月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年08月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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