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寝子島高校
海の青さに思うこと
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海洋は全てを包みこむ。引きずり込み飲み下してしまうこともある。決して人に優しくはなく傷つけられることも少なくないが、誰しも承知の上だ。
小山内 海
とて目の前の少年が穏やかな顔ばかりを見せるわけではないと分かっていた。しかしそれこそが長い時をかけて育まれてきた暗黙の協定であり、人と自然のまこと正しき付き合い方なのだ。
「とはいえ、だよ。ぼくもいたずらに君たちを怯えさせるつもりはないし、畏怖や畏敬を抱いて欲しいわけでもない。親しんでもらえたらと思っているんだよ」
穏やかな少年は自らを「木天蓼湾」と名乗った。神魂の気まぐれで顕現した、その化身であるのだと。海にも疑う理由はなかった、神魂とはそういう働きをするものだと重々分かっているし身に染みている。
「君たちにもっと、ぼくを知って欲しい。ぼくを理解して欲しい。そして、楽しんで欲しいんだ」
『わかったよ』とスケッチブックへペンを走らせると、少年はやわらかい笑みをさらに崩した。後から気づいたが、海中にて滞りなく紙とペンを扱えるのももしかしたら少年の計らいであったのだろうか。
「じゃあ、おいでよ。ぼくと同じ名前の君を、ぼく自身で案内したかったんだ」
そんな風に言って差し出された手を躊躇いもなく取ると、押し寄せた波に乗って浮かび上がる。警戒や恐れはなかった。水没した寝子島を目にした時は大層驚いたが、どうやら世界の終わりとか人類滅亡とかではないと分かってからの順応は早かった。やはり海もまた、まぎれもなく寝子島の住人であるのだった。
波が海の前髪をはらりと舞い上がらせ、消えない傷痕を見られてしまうことだけがいくらか気にかかったが、きっと彼は目に止めることさえないだろう。広い木天蓼湾にとってはあまりにも些末事であろうから。
珊瑚を見下ろしながら泳ぐ。少年の意思が起こすらしい潮流は手足をかくまでもなく海を運んだが、どちらかといえば自身の身体を使って青い大海を進むことに昂揚を覚えた。少年もそれを悟ったか、いつしか波はそよぐ風のように穏やかとなった。
「ほら。ぼくの家族たちだよ」
海は初め、それが漂うクラゲたちを指しているものと思ったが、どうやらそうではない。イルカたちも、鯨たちも、小魚の群れも、砂を這うイソギンチャクも貝類も、その全てを少年は示しているらしかった。
『あの子もかぞく?』
「うん。そうさ」
『あの子も?』
「もちろんだよ」
『あの子もだね』
「やっぱり。海はぼくに興味を持ってくれていたみたいだね」
嬉しそうに言われて気づく。確かにそうかもしれない。寝子島を囲う青の深みや鮮やかさには、いつだって魅了されてきたものだ。そこへ身を浸した今も、目にする透明度にはあらためて驚いたし、息づく生物たちの多様性には目を見張るばかり。大いに楽しみ、興味も深まった。
そこでふと気になった。
『どうして今日は、さそってくれたの?』
同じ名を持つ海を案内したい、などと彼は言ったが方便だろう。大洋の化身がちっぽけな人間一人に目を留めることにはもっともな理由あってしかるべしと思える。それを彼は、いささかの自嘲混じりに口にした。
「誰かに聞いて欲しかったのかも。近頃のぼくは少々、汚れていて……弱まりを感じるんだ。だから不安になっているのかもしれないね」
目に付いたなら誰でも良かったのだろうか。いいや、あるいは声を持たない海だからこそ、その胸の内に息づく優しさを少年は感じ取ったのかもしれない。
ありがとうとお礼を一言残して、少年の姿は潮の流れにまぎれて失せた。最後は照れ臭そうな笑みに、海への感謝が滲んでいた。
寝子島の海洋化現象は今日いっぱいまで続くという。海はそれまでに多くを目に焼き付けようと、泳ぎ出す。そういえば先ほどはペンが使えたから、絵筆も扱えるだろうか。得意の絵でこの光景を描き残したなら、記憶にも思い出にも刻まれるだろう。少年の語った思いまでも揺るぎなく。
(さて。どこにいこうかな?)
通い慣れた寝子島高校と珊瑚礁のコントラストを描くのも良い。九夜山の空を泳ぐ鯨やイルカたちを一画面に切り取るのもきっと素敵だ。あるいはこの半球の頂点まで昇り、猫の横顔を一望してみようか。
(どこまでだって行けちゃいそう)
ぐんと速度を上げ泳ぐとまるで、人魚になったかのようだ。そんな海へ興味を抱いたのか併走するイルカの群れを伴い、頭上へ。ひたすらに上へ。空へ。いつしか海もまた群れと一つになり、渦巻く青き潮流を乗りこなし、視界の全ては青に染まりゆく。海の微笑みも青く、深く。
その日に描いた一枚を眺めるたび、海はあの色を思い出すのだ。鮮やかに見えるもの全てを包みこむあの色を。いつまでも永劫にそこへ在るはずの、しかしどうやらそうではないのかもしれない、一瞬の儚い輝きを。
君は海の青さに、何を思うだろう。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
寝子島水没、なお話でした。
近所にダイビングショップというんでしょうか、そういうお店があって気になっています。入ったことはありません。というかダイビングしたことないし海にもあまり行きませんが、妙に心惹かれるものがあります。
テレビや映像で見る海には何となく憧れを抱きつつ、そんじゃあ一発挑戦してみっかとはならない小心者です。怖いし大変そうだし。やっぱり映像で見て楽しんで満足しておくことにします。
などと思いながら今日もくだんの店の前を通るとガラス越しに店主らしき人と目が合い、私はほとんど小走りにその場を去りました。
それでは、また次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年08月10日
参加申し込みの期限
2024年08月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年08月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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