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WONDERFUL OPPORTUNITY!
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真昼なのにやけに暗い。
山寺はそんな場所だった。長い歴史があるのだろう。石段はひび割れ、そのうえ苔がむしている。門も門柱もくすみきっていた。
きっとここだな。
「こんにちはー」
門は開いていたので、ラッセルは気をつけの姿勢で声をかける。緊張していた。例の『おっかない』住職が飛び出してくるのではないかと危惧している。
「誰かいませんかー」
何度もくり返すが同じだ。留守なのだろうか。
まがりなりにも由緒正しいのは門構えだけらしい。裏手にまわってみると途中から囲いはなくなり、それなりの敷地面積の墓場がひろがっていた。
坊さんはこっちか?
おっかなびっくり足を踏み入れた。
寺に入ったらさすがに怒られると思うけど、墓場ならいいかな。
やはり無人だ。猫の子ひとつみつからない。場所が場所だけに寒々しくもあった。大小様々な墓石があったがいずれも古い。文字が消えかかっているものはもちろん、すでに岩と見分けのつかないものすらある。
場所柄、どうしても晴月のことを考えずにはいられない。
晴月は導手(みちびきて)だって聞いた。瀕死の人を安らかな死に導く存在なのだと。
俺は、導手の役割についてよくわからないままだ。このままにしてていいのかな。
けど本人につっこむのもヘソ曲げられそうだし――。
そう思ってこの山寺を訪れたのだ。導手について知るという僧、あるいは晴月に『導かれた』幽霊という九鬼姫、そのどちらかに話を聞いてみたかった。手がかりなんてほとんどないが、行動せずにはいられなかった。
段差につまずきそうになった。とっさに手をつきかけてそれが墓石だと気づき、ラッセルはあわてて踏みとどまった。
まあたらしい墓だった。極端なまでに小さいが新品で、明らかに周囲から浮いている。
「わっ、あぶねー」
「危ないとはなんぞ、人の墓にむかって」
目の前に仁王立ちしている姿にまた仰天する。さっきまでそんな気配すらなかった。
「くっ、
九鬼姫
(くきひめ)……さん」
墓場は薄暗く冷えた感覚があったが、九鬼姫があらわれてますます度合いが強まったように感じた。
「さよう」
前髪ぱっつんの姫カット、大きな瞳の少女が立っていた。前にも見た黒い服だ。肌は透き通るほど白い。いや、実際なかば透けている。九鬼姫を通して墓碑銘が読めるくらいに。
「お墓の名前も『九鬼姫』なんだ」
「一応『
八幡 かなえ
』という通名もあるがな。そっちはあまり、自分のものという気がせんでのう」
それで、と九鬼姫は言った。
「聞きたいんじゃろう? 晴月のこと、あやつのもつ大きな力を」
そうなんですとラッセルは勢いこんだ。
「大きな力って、赤子がダンプカーの運転してるようなもんなんですか……? 使いこなすとか、わかってもらう方法とか」
「いっぺんに訊くでない。いっぺんに」九鬼姫は手を振った。「わらわらの見立てでは、ダンプカーのほうがはるかに可愛いくらいじゃ。それに晴月はまだ一歳にもなっておらん、使いこなすだの理解するだのは遠い先じゃと思うぞ」
「そんな……だったら制御する方法は!? 俺、晴月と一緒に生きるヒントがほしいんだ」
「それならラッセル、そちはとうに知っておろうに」
「俺が?」
ラッセルが身を乗り出したとき、ふっと九鬼姫の姿が消えた。
同時に腰の『ガラケー』が呼び出し音を発したのだ。
「とぅるるるるるるる」
正しくは、呼び出し音の口まねだ。
「もしもーし、ラッセルー? 聞こえてるー?」
「晴月!」
ハヤブサの姿から瞬時に復して、ラッセルは駅舎の屋根に降り立った。寝子島電鉄『寝子島シーサイドタウン駅』の屋根、晴月の所在を聞くや否、「すぐ行く!」と電光石火の速度で駆けつけたのである。
「ラッセル~」
にこにことしていた
風の精 晴月
だが、「きゃ」と小さな声を上げた。
一にも二にもなくラッセルが、がばりと晴月を抱きしめたのだ。
手触り、体温、レモングラスの香り、ラッセルはすべてを一気に確かめる。そして、
「……はあ、晴月だ。ちゃんといる」
深々と息を吐き出した。
目を丸くしていた晴月だが、すぐにラッセルの背中に腕を回し、片手で彼の頭をくしゃくしゃにした。
「いるよ。ラッセル」
駅の屋根を眺める者などない。だから街の中心部なのに、ここはふたりきりの空間だった。
「桜花寮から立ち退かなきゃいけないやつの荷造りとか準備とかでほっといてごめんな」
「ほっとかれたなんて思ってないよ。昨日の夜だってガラケーで話したじゃない」
「でも直接会うのは久々だし。やっぱダイレクトってのはテンション上がるじゃん」
「あはは、そうだね。びっくりするくらい早く来てくれたね。大好き!」
ぐいと晴月は顔を寄せ、ラッセルの頬に口づけた。それだけでラッセルの体温は、0.5度ほど上昇してしまう。
「会えなかった間、なにかあったか?」
「べつにだよ。何人か導いたけど」
ぎょっとしてラッセルは晴月の体を離し、白いワンピースの肩に両手を置いた。
「まさか」
「前みたいなのはもうないよ。ぜんぶ病院、亡くなる寸前のお年寄りだけ。みんな、ありがとうありがとうって感謝してた」
「そっか。それなら……導手として役に立った、のかな……」
末期癌で苦しんでいた人、目も耳も働かなくなり呼吸すら困難な人、そういった状況ばかりだという説明も聞いたが、ラッセルとしてはどうしても落ち着かなかった。
安楽死の手伝いをしてるともいえるよな。それって悪く言えば、誰かが生きる死ぬの判断を晴月が下してるってことにならないか。
もし全人類、とまではいかずとも、全寝子島住人の死を晴月が決めたとしたら――。
『ダンプカーのほうがはるかに可愛いくらいじゃ』
九鬼姫の言葉がラッセルの脳裏によみがえった。
まてまて、考えすぎだろ!
晴月がそんなこと決めるはずないし、万が一の万が一、決めたとしてできるとは思えない。島全部だろ? とんでもねーよ。
ううん、どーも俺、頭でっかちになってんな。
いま話したいことはそれじゃない。
彼女の両手をとってラッセルは言う。
「俺さ、もうじき桜花寮から出てくんだ。転居先のアパートだってもう住める状態だ」
「うん、それ聞いたよ」
ここまではガラケーで話してきた状況の確認でしかない。本題はここからだ。
「すぐじゃなくてもいいんだけどさ、未来の話として聞いてほしい」
「聞く」
「い、一緒に住まねーか?」
「一緒に?」
「ほら! いま以上に一緒にいれるし、わからないことがあったら相談できるだろ?」
話しながらどんどん汗をかいている自分にラッセルは気づいている。
「それって」晴月はきょとんとした表情だ。「ドーセー?」
……言われてしまった。
同棲。重い言葉だ。どうにも淫靡なイメージがあるのは自分だけかとラッセルは思いつつ、それでも晴月が口にすると衝撃が大きい。
「いや同棲とか恋人付き合いとかそういうのは置いときましてピュアな見守りたい気持ちであってだな……!」
ラッセルはますます汗をかいている。
妙な気持ちが微塵もないってことは――ない。けども、晴月には早くて駄目だろ。
清純な気持ちで言ってるのをわかってほしい。
でも俺いま、どんな風に晴月の目には映っているんだろ。
まさか見透かしていたわけでもあるまいが、晴月はあっけらかんと言った。
「一緒に住んだら、裸でベッドに入ってアッハーンとかするの?」
「ぶぼっ!」
脳天にフルスイングの金属バットをくらった気分だ。
淫靡なイメージなんてもんじゃねーぞ!
晴月が映画ファンなの忘れてた。たしかに映画の世界なら、エンタメ作品でもアッハーンは年齢制限なく登場するだろう。芸術系作品(晴月はむしろこっちが好み)だったらなおさらだ。とくにヨーロッパ映画なんて、むしろアッハーンがないほうがめずらしいかもしれない。
「い、いやそうじゃなくて」
晴月はまだゼロ歳まだゼロ歳……人間の常識と精霊の常識はちがうかもしれないが念仏のように心中唱え、ラッセルは暴れ馬のごとき心臓を鎮めにかかった。
「俺が側にいたいんだよ。晴月に『おかえり』の言葉をかけるのは俺でいたいから」
ふふっと笑うとだしぬけに、晴月は空に舞い上がった。
「どうしよっかなー」
そうして、じらすように回転しながら、昇って降りてをくりかえした。
参ったな。はぐらかされたか。
でも、まちがいなく。
ラッセルは確信した。
晴月、嬉しそうだ!
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年07月25日
参加申し込みの期限
2024年08月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年08月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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