寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！｜リアクション

寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！

とある休日の朝。ぼんやりと朝ごはんを食べていた志波武道はテレビで流れる明るいニュースに目が止まった。
「うっわ」
　映し出されているのはマリンパラダイスで生まれた水辺の動物の赤ちゃん達。
「これは」
　小さなペンギンやカワウソがカメラ目線で写っていた。
　心に決める。
（これは行かねば）
　秒で身支度をし、マリパラダイスへ。突入前にカメラのフラッシュはオフに設定。
マリンパラダイスの入り口を通過し、迷わずにカワウソの赤ちゃんがいるエリアへと入る。
「ぐはっ」
　胸を打ちぬかれた気がする。
　ガラスの向こうに、カワウソがいて、不思議そうにこちらを見ていた。薄茶色のボディとくりくりの瞳がキュートだ。
こんにちは、カワウソ！
　と元気よく挨拶をした。心の中で。全力で。
「か、か、可愛すぎる。お写真撮らせてね～」
　どうにか声量を抑えて、小声で言って、パシャパシャとその可愛らしい姿を写真に収めていく。
（は～。しあわせ）
　なんと、レアな後姿まで撮れてしまった。
　一通り、カワウソを撮った後、併設されているカフェでアイスコーヒーを一杯。
（精神統一だ）
　休憩を挟み、いざ、ベビーカワウソを見に。
　さすがに赤ちゃんのカワウソの展示スペースは大人気で混雑していた。見ると、二匹の小さなカワウソがガラスの向こうでお母さんカワウソからお乳をもらっているところだった。
「ぐは～。きゃわわっ、ちっさなボディが。可愛い、可愛い！」
　と叫びたかったが、どうにか抑えた。他のお客さんの迷惑になる確実に。
（落ち着け、でも可愛いはなんでも許されるんだ）
　感情が大忙しだが、写真をとりまくり、穏やかな気持ちで展示スペースを出た。
「ふう」
　その後見て回ったカワウソ以外の赤ちゃん達もそれはもう可愛さ爆発だったが、やはりカワウソが忘れられない。
（あー、癒された）
　赤ちゃんを見に来た人の反応、その笑顔を見て、共感の嵐だ。
（そうだよな、可愛いよなぁ）
　一人でうんうんとうなずいていると、足元をすっと何かが横切った。
「……へ？」
　それはどう見ても、小さなカワウソで。
「ああ、すみません、お客様」
　あわてて走ってきたのは、飼育委員だった。
「失礼しました」
　脱走だろうか。
　放心状態で、いると抱かれたカワウソが手を振っているように見えてわらってしまった。
（お祝いにカワウソのぬいぐるみかってこっと）