寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！｜リアクション

寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！

綾辻綾花は水族館前に早川珪の姿を見つけ、駆け寄った。風で動いた前髪をかるくいじりつつ、声をかける。
「お待たせしました」
「約束の時間前だから、大丈夫」
　珪がそう言って、笑う。
「それで、なんで突然水族館に？」
「今朝テレビで見たんです。動物の赤ちゃん……ベビーラッシュらしいですよ」
　珪は驚いたように目を少し開いた。
「それ、見たかもしれないな。ペンギンとかカワウソとか、イルカとか？」
「そうですそうです」
「中々見られないから、楽しみだな」
　自然と笑い合って、手を繋ぐ。
「何が一番見たい？」
「私はペンギンのヒナが良いです」
「なら。一番最初に行って見るか」
　展示スペースにいはすでに多くの客が硝子の向こうを見て写真を撮りまくっていた。
「うわ～」
　丁度前の人が退いたので、その間からはっきりと見えた。灰色のもこもこを纏ったペンギンのヒナが親ペンギンに甘えているところだった。
「珪さん、あれ！　見えますか？」
「ああ。ペンギンのヒナは分かりやすいな」
「そうですね。色が違いますし、ふわふわしてそう……」
　と、珪に顔を見られていることに気付いた。
「え、あ、どうしたんですか」
「いや、楽しそうだと思ってな。前に、何の本だったか、そういう顔で読んでたことがあったな、綾辻さん」
「そ、そうですか？」
　綾花は両頬を押さえる。
　ペンギンの展示からカワウソを見て、最後にイルカショーの席へ。
　イルカ達が跳ねるたび、ざっぷんとプールの水が観客席近くまで弾かれてくる。
「わっ」
　思わず抱きついてしまい、慌てて離れる。
「す、すみません」
「来ないって分かってても怖いもんだよな。僕もびっくりした」
　苦笑いの珪とイルカショーを堪能し、お土産売り場によって帰ることにした。
　見つけたペンギンのブックスタンド。
　色違いで購入し、マリンパラダイスを後にした。
　ブックスタンドのイラストは服を着たペンギンだ。それぞれ赤と黒を選んだ。
（珪さんカラーですね。……使ってくれるといいな）
　ブックスタンドを見るたびに、きっと思い出すだろう。

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