寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！｜リアクション

寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！

八神修はマリンパラダイスにて、七夜あおいを待っていた。
「もう少しか」
　腕時計を確認したところで、小走りにやってくるあおいの姿が見えた。
　修は微笑んで、手を振った。
「急がなくても大丈夫だ」
「あはは、つい走っちゃった。修君の姿が見えたから」
　挨拶もそこそこに、二人でマリンパラダイス内へ。
「結構お客さん多いね。あっ」
　あおいがすれ違った誰かと肩が触れ合ってしまい、よろけてしまう。修は少し慌てて、あおいの手を握った。
「少し暗いから、気をつけたほうがいいな」
「う、うん。ありがとう」
　はぐれないように手を繋いで、目当てのペンギンのヒナの展示スペースへ向かう。
（我ながら自然に手を繋いだな……）
　今になって少し恥ずかしくなってきたが、今更離すわけにも行かないし、実際足元が暗いのでこのままが良いだろう。
「なんかいいね、一緒に来てるって感じがする」
　あおいも照れくさいのかそんなことを言っていた。
　やがて、ヒナの展示スペース。写真を撮っている人が多いが、皆口数は少ない。『静かにしないと赤ちゃんがびっくりしちゃうよ』という看板のせいだろう。
　人ごみの中からガラスの向こうの展示スペースを覗く。
「！」
　あおいが嬉しそうに指を指している。
　親ペンギンと共に、もこもこの毛皮を纏った小さなペンギンがママペンギンに甘えているところだった。
　目をきらきらさせたあおいが、口だけを動かして伝えてくる。
『か、わ、い、い』
　修は頷いて、両手で輪を作って見せる。
『小さいな』
　唇を動かすと、あおいも頷いた。
　お互い笑えて来たが、なんとか吹き出すのは堪えることができた。

　その後は水族館に併設されているフードコーナーへ。
向かい合って座ると、あおいがすぐにスマホを取りだした。
「写真、見てもいい？　無心で撮っちゃった」
「ペンギンもだけどカワウソに夢中だったな」
　あおいは両頬を押さえた。
「カワウソの子の手が小さくて、でも動いてて、可愛くてさあ」
　あおいはうっとりと呟いてから、
「ベビーって問答無用な可愛さパワーがあるね！　直撃弾って感じ。理屈じゃなくさ、可愛いものは可愛いし、愛しいものは愛しいんだよね。一生懸命生きてる姿は尊いな。癒されるよ。ほわほわしちゃう」
種を維持するための反応だが、それはそれとして、と。
（そんなあおいにも、俺はほわほわしてるけどね）
　修は色々な表情を見せるあおいを見ながら、微笑んだ。

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