寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！｜リアクション

寝子島マリンパラダイス、激カワ☆ベビーラッシュ！

稲積柚春はウォルター・Bと共にマリンパラダイスの前にいた。
「へえ、ベビーラッシュ。そういえば朝にそんなニュースをやってたような？」
　朝は忙しかったようで、ウォルターはニュースを見ていないようだ。
「そうなんだ。凄く可愛かったから楽しみ」
「そこまで言うなら期待しちゃうねぇ」
　テレビに映ったペンギンやカワウソの姿を見ていないのなら、衝撃が走るかもしれない。
（可愛すぎたものね）
　以前、流氷に乗ってやってきた生き物を前にしたウォルターは、はしゃいでいたので今回も楽しんでくれそうだ。
　展示スペースへ入る。
　少し薄暗い建物内、柚春はウォルターの腕をがっちり固定した。
「あはは、もしかして怖いの？」
「ち、違うって。僕はワットが飛び出さないように」
「わっ、あれはペンギンかな！？」
　走り出そうとしたところを柚春がぎゅっとして止めた。
「こういうこと！」
「あはは、ごめんね～。ついね」
　歩いて、ペンギンの展示スペースへ。
「可愛いねぇ。でも赤ちゃんじゃないみたいだけど」
「やっぱり別の場所展示なのかも」
「あ、さすが泳ぐのが速いね。わっ」
　水槽が揺れて、水しぶきが飛んできた。
「こんな近くで見られると思ってなかったよ。良いねえ」
　きょろきょろしていると、看板が出ていた。隣の部屋のようだ。
　ペンギンの赤ちゃんはもこもこの産毛がまだ生えたままで、ママペンギンと一緒に展示されていた。丁度ママペンギンに甘えているところで、写真のシャッター音が鳴り響いている。とはいえ、フラッシュを使っている客はいないようだ。
「もう動きがお母さんそっくりだねぇ」
「本当だ。動物って凄いよね」
　生まれて三ヶ月も経っていないのに。
　その後はバックヤードから出てきた飼育員さんがペンギン親子に餌をあげたり、体重測定を嫌がる駄々っ子具合に笑ったり。
　ベビーラッシュの水族館を満喫した。
帰り際、なんとなく寂しくなってウォルターに質問をする。
「ワットって、小さい頃ってどんな子だった？」
「そうだな～。興味があることには前のめりになって進んでいくタイプだったねぇ。何度か親に窘められた覚えがあるなぁ」
「そうなんだ～」
　柚春はくすっと笑った。案外、変わってないのかもしれない。
「親は大変だったかもね。いや、子育てしてる人全員に言えるかもしれないけど」
「……」
　柚春は少し躊躇って、
「僕もさ、子育てに奮闘する時が来るのかな？」
「稲積は子供と友達みたいな関係になれそうだよねぇ。良いママになりそ」
　そこまで言って、ウォルターは照れ笑いを浮かべた。
　柚春もやや照れ顔。
「……その時は、よろしくね！」

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