双界の決戦　――界喰らいのグラトニエル――｜リアクション

双界の決戦　――界喰らいのグラトニエル――

●起：そして火蓋は切って落とされた

　――呼ばれた冒険者達は、すぐさま準備に取り掛かる。

　その間に、幾つもの光がグラトニエルへ向かっていくのが見えた。それがかつて冒険者達に試練を与えていた極天使と魔侯爵である事に気付いた者はいただろうか？
　光の壁の奥。グラトニエルの靄が、彼女の中へと取り込まれていく。その周りと、幾筋もの光が取り囲み、時にぶつかり、時に弾け飛ぶ……。

＊＊　＊　＊

「これが使える職は軽戦士と重騎士……」
　響蒼留人は過去に異世界と寝子島が混ざった際ドロップしたアイテム『必勝の剣』を手に職業を選ぶ。次の瞬間には鎧を纏い、剣を手にした状態で戦いの舞台に立っていた。
「ん？」
　蒼留人が辺りを見渡すと、既に準備を終えた者の姿が……。

/) /)
( 'ㅅ')ﾉ＜準備できた？

　その正体は旅鴉月詠――否、ウサギさんだった。今回は魔導士モードなのか、手にした武器もそれっぽい魔導書である。
（私がきぐるみでなければ何だというのだ）
　こだわりを持って得物たる魔導書を手にキリッ、とした顔になるウサギさん。
　蒼留人は彼女の問いに頷きながら、他の人はどんな職を選んだのか少し気になりつつ待機する事に。
　次に現れたのは、忍者装束の深縹露草と弓を手にした黒兎都だった。
「雰囲気的にラストバトルだっ！　そうだろう？　これ、そうなんだろう？！　……って冗談はここまでにして。まぁ前回色々仕込んだからね、うまく使っていきたいところよね？」
　都はそういうと、ちらりと、レンガ造りの建物を見やる。そして……。
「どうも、通りすがりの忍者です」
　よろしく、とにっこり微笑む彼にウサギさん達も挨拶を返す。挨拶は大事な物である。
　しかし、露草の心中は……燃えていた。
（奴には腹が立つ……。夢で見た学校生活の同級生……、寝子高の教師の似姿で、この世界を食らうなどと……！）
　その怒りを胸に秘め、彼は仲間達に微笑んだ。

　その後も、次々に準備を終えた冒険者達が姿を現した。
「ウサギさんは魔導士ね。私は馴染んだジョブがやりやすいしこっちにしたわ！」
　羽生碧南は動きやすい軽戦士を選択。ぐっ、と両手を握り締め、攻撃の型を試してみる。思うように動く事に、彼女は確信を得た。このジョブが一番やりやすい、と。
「今回は軽戦士が多めかしら？」
　同じように軽戦士を選択したのは、忍び装束＋ローブ姿の戌貝二一。彼女曰く『推しカプ概念装備』らしい。
「これだけいれば、色々やりやすいだろう」
「それに、森で結界も張れるなら……、時間稼ぎも出来そう……」
　そう言った鷹司凜太郎は、弓を手に集まった面々を見渡す。傍らには魔導士の姿となったスピカ・フォーツの姿があり、彼女は森を目に向け呟く。
「この世界も混霊界も他の世界も食い物じゃない。……ここで、倒す」
「そうだね！　今ここで、グラトニエルを倒すんだ……！」
　意気込むは恵御納夏夜と恵御納夏朝。二人とも顔を見合わせ、力強く頷く。姿から斥候を思わせる姿の夏夜が軽戦士、猫っぽいローブ姿の夏朝が治癒士のようだ。

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