【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆｜リアクション

【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆

〇パレードと書店巡り

　綾辻綾花は早川珪とデートに出かけました。
（もっと仲良くなりたいです。……先月のバレンタインも楽しかったです。手作りの、ナッツ入りブラウニーを珪さんにプレゼントして……）
　あーん、と食べさせあったことを思い出してしまって、綾花は顔を赤くしました。
「どうかしたのかい？」
「な、なんでもないです。お昼はキャンディパレードを見ましょうか」
「ああ。どこに行けばいいのかな」
「この通りを通るんですが、まだ時間があるみたいです。待ってるより書店に寄りませんか」
「それはいいね」
　本好きの二人にとっては、書店が二つもあるコースで大人しく待っているのはもったいなく思えるのでした。

　
　書店に立ち寄った綾花と珪が出てくると、人だかりができていました。
「あ、パレードのステージカーです！　賑やかですね」
「タイミングが良かったね」
　
「可愛いですね」
　わくわくした気持ちで、綾花は伸びあがってサンマさんに手を振ります。
　抱えたかごから、サンマさんが袋をつかみ出しこちらへ投げてくれました。
　綾花はすかさずキャッチ！
「すごいね。それはキャンディかい？」　
　のぞき込む珪に、綾花は袋を広げて見せます。
　袋の中には色とりどりのキャンディが入っていました。
「キャンディって【あなたのことが好きです】って意味ですよね。配ってるサンマさんは本命が多いですね」
　くすっと笑う綾花に、珪も目を細めますが。
「そういえば去年は珪さんからクッキーもらいましたけど【友達でいましょう】って意味なんですよ」
「えっ？」
　綾花にちょっと拗ねた視線を向けられ、珪は思ってもみなかったことに動揺します。
「それは……そこまで考えていたわけではなかったんだ、ごめん」
「ほかの女の子にキャンディをお返ししてないならいいですよ」
　もとより責めるつもりはない綾花です。謝ってほしいなんて思っているわけではないのです。
「もう一件、書店を回りましょうか」
「そうだね」
　珪はほっとした様子で、綾花と共に歩き出すのでした。

「暗くなってきましたし、光のトンネルを見に行きましょう」
「ああ」
　二人は手をつないでイルミネーションの綺麗なトンネルを歩きます。
「綺麗ですね……写真を撮りましょう」
　二人並んで自撮りしたりすながら、ゆっくり夜の散歩を楽しみます。

「そうだ、これホワイトデーのプレゼントなんだけど」
　珪が鞄からプレゼントを取り出しました。
（今年は何でしょうか……ドキドキします）
「開けてみてもいいですか？」
「どうぞ」
　開くと、猫の顔の形のマドレーヌでした。
（クッキーじゃなくてよかったです……マドレーヌの意味はなんだったでしょう？）
　考えかけた綾花ですが、やめました。
（意味がどうだろうと、珪さんが私のために選んでくれたんですから）
「珪さん、ありがとうございます」
　嬉しくて、綾花は珪にぎゅっと抱きついたのでした。