【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆｜リアクション

【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆

〇今年の私たちは

（去年のホワイトデー。あの時に私たちの関係は「片想い」だった）
　シーサイドタウン駅前で、白いコートを着た羽生碧南は思います。
（それが今年は、両想いに！　いや、今でも信じられないんだよね）
　背の高い碧南が着られる可愛い服はかなり限られていますが。
　今日は手持ちのアイテムで気合入れて、精一杯に着飾っています。
（でも……これが事実なんだよね。鷹取先輩……いや、洋二さんと両想いになったのは。
　そしてそして！今日はこうしてデートなんだよね）
碧南はそわそわと、駅のほうを伺いました。
「やあ、待たせてごめん」
　それからしばらくして、待ち合わせの相手鷹取洋二が現れたのでした。
「ううん、私も今来たばかり」
　そう言いながら碧南は、白っぽいコート姿の洋二に見とれました。
「そのコート、よく似合いますね」
「そうかな？　碧南くんのほうが素敵だよ」
　ちょうど碧南も白いコートで、思いがけずお揃いになりました。
「ありがとうございます！　お揃いでちょっとうれしいです」

「さて、パレードがあるんだっけ」
　碧南の姿に見とれた後、洋二は言いました。
　ちょっと離れたところの車は人々に囲まれ、車の上には寝子サンマさんと浜マンボウ君の姿があります。
「はい、あそこですね。ちょうどパレードが始まったばかりみたいです。私たちもついていってみましょうか」
「ああ、しかし人が多いね……そうだ」
　そう言うと、洋二はそっと碧南に手を差し出します。
「はぐれないように、手をつないでいこうか」
「……はい！」
　碧南は、少し頬を染めながら洋二の手を取りました。
　そぞろ歩きしながら、夢見心地で思います。
（手をつなぎながら二人で歩くなんて、まるで乙女ゲーのデートイベントみたい……いや、乙女ゲーもいいけれど、でも好きな人と一緒にこうしてデートするのはもっといいわけで……ああ、もう好きと嬉しいがごっちゃになって）
「どうかしたかい？」
「いえあの……すごく幸せです」
　思わず口からこぼれた本音に、碧南はまた頬を染め。
　洋二は優しい笑みを浮かべて言うのです。
「僕もだよ」

　パレードでは、サンマさんが小さな袋を投げ始めました。
「任せてください！」
　長身の碧南が、ボールを追うようにジャンプ！
　見事お菓子の袋をゲットしました。
「さすが碧南くん」
「お役に立てたなら嬉しいです。あっ、これ駄菓子の詰め合わせですよ。一緒に食べましょう」
　二人はベンチに腰掛け、お菓子を分け合って食べたのでした。

　その後寝子ヶ浜海浜公園へ移動し。
「洋二さん！　シマエナガのアクセが売ってますよ！」
「へえ、かわいいね」
「あの、ペアクセサリーを買ってつけませんか？」
「いいねえ」
　迷った末、碧南と洋二はシマエナガのブローチを買いました。
「つけてもらえるかな」
「はい！」
　洋二の胸元にシマエナガのブローチをつけ、碧南は言いました。
「……私にも、つけてもらえますか」
「うまくできるかな……」
　
　洋二が手を震わせてブローチを碧南の胸に付け終えると、あたりはもう暗くなっていました。
「あっ、花火！」
「ああ、綺麗だね」
　二人は花火を観てまったり過ごしたのでした。

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