【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆｜リアクション

【ホワイトデー】ホワイトメイドランド☆

〇ホワイト・キャンディ・パレード！

「バレンタインデーのデートウィーク、楽しかったな」
　デスクの上の卓上カレンダーを見ながら、佐藤英二は思っていました。
　自分でも驚いたことに、先月初めて英二はデートと明言して野々ののこを誘ったのでした。
　キャットロードで『メルティ・ラッキー・ベル』を探すイベントに参加して、苦戦しつつも楽しくベルを見つけ。
　記念品のチョコレート・アソートボックスを贈りあった（交換した）のです。
　そのときマンボウくんに撮ってもらった満開の笑顔で写った二人の記念写真は、英二の宝物兼お守りとなっていました。
（ホワイトデーも楽しく過ごしたいな。野々さんを誘ってみよう。デートじゃないよ……）
　今までなら、そう言い切れていた英二ですが。
（やっぱりデートかも？）
「最近の私のなかでは、『デート』って『英二くんとどっか出かけること』になった感じ……だから」
　先月のののこの言葉が思い出されます。

「野々さん」
　たまたま見かけたののこに、英二は声をかけます。
　今回はデートウィークではないので、はっきり口に出すのはやはり恥ずかしかったのですが。
「ホワイトデーに、一緒に出掛けない？」
　今までとは少し違った気分で、英二は誘い。
「うん、行こう～！」
　対するののこの返事は相変わらずフレンドリーでした。

　そしてホワイトデー当日。
　いつもよりお洒落をした英二と並び、綺麗目のパーカーにキュロット姿のののこが目を輝かせていました。
「すごい！　サンマさんとマンボウくんがメイドになってる！」
　それは賑やかなパレードでした。
（去年は動物園に行ったから見れなかったんだよな）
　ステージカーの上のメイド服姿のサンマさんとマンボウくんを見ておかしそうに笑うののこを、英二は幸せな気分で眺めます。
　と、サンマさんがかごから何か投げました。
「おっと」
　英二が反射的につかんだものを見ると、それはキャンディが入った袋でした。
「すごい英二くん！　私も！」
　伸びあがったののこは、マンボウくんが投げた袋をゲットしたのでした。

　夜。
　英二とののこはシーサイドタウンに移動していました。
「綺麗だね！」
　光のトンネルを通り抜けながら、ののこが歓声を上げます。
「そうだね。この後、観覧車に乗ろうか」
「さんせーい！」
　
　観覧車で夜景を眺めながら、英二は言いました。
「そうそう、ホワイトデーだしプレゼントがあるんだ」
「えっ？　なあに？」
　わくわくした様子でののこが英二の手元を見守ります。
「はい、チョコバームクーヘン。幸せがずっと続きますように、って意味があるんだって」
　嬉しそうな笑顔を見せるののこを、英二は微笑ましく見つめます。
「ありがとう！　私からもプレゼントがあるんだ」
「えっ？」
　ののこもバッグから包装紙に包まれた箱を取り出します。
「マドレーヌ！　おいしいって聞いたお店のを買ってきたんだ」
「ありがとう！」
　貝の形のマドレーヌを見ながら、英二は思います。
（野々さんの幸せがずっと続くなら、僕も幸せでいられると思う）

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