- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
卒業 ～らっかみの願いを叶えて～
春の寝子島～桜の木にのぼってお花見したい！・その１
九夜山から流れ出る猫又川の支流、桜川沿いには、その名の通り桜の木が立ち並んでいる。春になると淡く色づいた桜花がいっせいに咲き、それはそれは壮観だ。
「ののこちゃん、こっちこっち。ここなら桜と川が合わさって風情があるよねぇ」
桜川を挟んで建つ桜花寮の近く、川に張り出した一本の桜の木の上に、白 真白の姿はあった。
真白が手を差し伸べた先には、いましも木を登ってこようとしているののこがいる。
「ののちゃん、頑張って」
そう声をかけるのは夢宮 瑠奈。
瑠奈は木の下で、ののこのお尻を支えている。
瑠奈の隣では、志波 武道がハラハラする気持ちを抑えて、ののこの木登りを見守っている。
「そうだ、そこで手を左にかけて……」
彼らが一体何をしているのかというと。
「桜の木にのぼってお花見したい！」
そんなののこの願いを叶えようとしているのであった。
「桜の木にのぼってお花見……いやぁののこちゃんパワフル☆」
そう言って武道はニカッと笑った。
「確かに普通にお花見するのはよくやるけど木に登って間近で見るのはやったことなかったかも」
身軽な真白は率先して木に登り。
「全力でサポートするよ。それに、あたしも登ってみたいな……もうアイドルの立場だから、こんなことなかなか出来なくなっちゃったし」
瑠奈もののこの願いをいっしょに叶えようと、力を尽くしているのであった。
「よいしょ、よいしょ」
ののこは木にしがみついて、一歩ずつ上に登って行こうとしていた。しかし、必死なときは、ものごとが俯瞰して見えにくいものだ。ののこがちょうどいいと思って手を伸ばした枝が、思っていたより川の方へ張り出していることに、ののこは気づいていなかった。
「あっ、そっちの枝は細いから危ないぞ！」
武道が叫んだが、遅かった。ののこは細い枝に全体重をかけてしまっていて。
――パキッ。
乾いた音を立てて、枝が折れた。
「あ、わ、わわわあああっ！」
「ののこちゃん！」
真白が咄嗟に手を差し伸べ、ののこはその手を掴む。
ぷるぷると震える真白の腕。ののこの重みで、真白の体も、真白が座っている枝も、ぎしりと傾く。
どうか、ぎりぎり耐えて――
「ひゃ、え、うわっ」
――とはいかなかった。ふたりはもろともに川にどぼん！
盛大にあがる水しぶきに驚いて、瑠奈と武道が川岸に駆け寄った。
「ののちゃん！ 真白ちゃん！」
「瑠奈ちゃーーん、武道センパーイ！ がば、ごぼぼ」
「ののちゃーーーん！ 沈んでるよー！」
「ののこちゃん叫んじゃだめだ！ 叫ぶと肺の空気が抜けて溺れるぞ」
「ぶくぶくぶく……」
「ど、どうしよう……」
右往左往する瑠奈を冷静に押しとどめ、元水泳部部長の武道が川に飛び込む。
「瑠奈ちゃんはそこにいて。俺が助けるよ！」
数分後、見惚れるような綺麗なフォームで泳いだ武道は、ののこと真白を抱えて戻って来た。
三人は、瑠奈が差し出した折れた枝を掴み、無事に川岸に上がる。
「怪我はないか？」
「私は大丈夫だよ」
川の流れが緩やかだったのが幸いして、ののこはずぶぬれになっただけで済んだようだ。
「私、ちょっと擦りむいちゃった」
真白は落ちるときに枝で腕をひっかいたようだ。武道は、真白の腕を軽くろっこん＜スイ・マー＞で突いて痛みを取り、ハンカチを巻いて応急処置をした。
（これでよし。しかし……やり残したことだったとはいえ、これはちょっと、言っておくべきだよな）
武道は、あまりキツイ言葉にならないよう気を付けて、お説教モードになった。
「木登りは落下の危険もある。水だって、流れがあれば危険なんだ。川沿いの桜は綺麗だろうが、川に落ちる危険性について少し考えるべきだったな」
「それは……はい、ごもっともです」
「……ごめんなさーい……」
しゅんとなる真白とののこ。まあ、怒られるところまでがお約束かな、なんて真白は考えていたのだが。
――と。
「桜の木に登る事の何が問題かというと、『登った人が落っこちたら怪我をするかもしれない』と『桜の木の枝を折るとか、木にダメージを与えるかもしれない』の２点だよね」
明るい声で現れたのは、八十八旗 信彦であった。
「じゃあ、ツリーハウスを建ててみるのはどーだい、ののこちゃん？」
「ツリーハウス？」
「お花見用だから、床と手摺と屋根だけの東屋とかガゼボみたいなヤツ！」
「ガゼボ？」
「ああ、ガゼボっていうのは屋根と柱で作られた西洋風の見晴らし小屋みたいなものだよ」
「そんなの作れるの？」
「ちょっとばかり手配と手間が必要だけどね。フツーにお花見するより、きっと楽しいはずさ！」
九夜山から流れ出る猫又川の支流、桜川沿いには、その名の通り桜の木が立ち並んでいる。春になると淡く色づいた桜花がいっせいに咲き、それはそれは壮観だ。
桜川を挟んで建つ桜花寮の近く、川に張り出した一本の桜の木の上に、白 真白の姿はあった。
真白が手を差し伸べた先には、いましも木を登ってこようとしているののこがいる。
「ののちゃん、頑張って」
そう声をかけるのは夢宮 瑠奈。
瑠奈は木の下で、ののこのお尻を支えている。
瑠奈の隣では、志波 武道がハラハラする気持ちを抑えて、ののこの木登りを見守っている。
「そうだ、そこで手を左にかけて……」
彼らが一体何をしているのかというと。
「桜の木にのぼってお花見したい！」
そんなののこの願いを叶えようとしているのであった。
「桜の木にのぼってお花見……いやぁののこちゃんパワフル☆」
そう言って武道はニカッと笑った。
「確かに普通にお花見するのはよくやるけど木に登って間近で見るのはやったことなかったかも」
身軽な真白は率先して木に登り。
「全力でサポートするよ。それに、あたしも登ってみたいな……もうアイドルの立場だから、こんなことなかなか出来なくなっちゃったし」
瑠奈もののこの願いをいっしょに叶えようと、力を尽くしているのであった。
「よいしょ、よいしょ」
ののこは木にしがみついて、一歩ずつ上に登って行こうとしていた。しかし、必死なときは、ものごとが俯瞰して見えにくいものだ。ののこがちょうどいいと思って手を伸ばした枝が、思っていたより川の方へ張り出していることに、ののこは気づいていなかった。
「あっ、そっちの枝は細いから危ないぞ！」
武道が叫んだが、遅かった。ののこは細い枝に全体重をかけてしまっていて。
――パキッ。
乾いた音を立てて、枝が折れた。
「あ、わ、わわわあああっ！」
「ののこちゃん！」
真白が咄嗟に手を差し伸べ、ののこはその手を掴む。
ぷるぷると震える真白の腕。ののこの重みで、真白の体も、真白が座っている枝も、ぎしりと傾く。
どうか、ぎりぎり耐えて――
「ひゃ、え、うわっ」
――とはいかなかった。ふたりはもろともに川にどぼん！
盛大にあがる水しぶきに驚いて、瑠奈と武道が川岸に駆け寄った。
「ののちゃん！ 真白ちゃん！」
「瑠奈ちゃーーん、武道センパーイ！ がば、ごぼぼ」
「ののちゃーーーん！ 沈んでるよー！」
「ののこちゃん叫んじゃだめだ！ 叫ぶと肺の空気が抜けて溺れるぞ」
「ぶくぶくぶく……」
「ど、どうしよう……」
右往左往する瑠奈を冷静に押しとどめ、元水泳部部長の武道が川に飛び込む。
「瑠奈ちゃんはそこにいて。俺が助けるよ！」
数分後、見惚れるような綺麗なフォームで泳いだ武道は、ののこと真白を抱えて戻って来た。
三人は、瑠奈が差し出した折れた枝を掴み、無事に川岸に上がる。
「怪我はないか？」
「私は大丈夫だよ」
川の流れが緩やかだったのが幸いして、ののこはずぶぬれになっただけで済んだようだ。
「私、ちょっと擦りむいちゃった」
真白は落ちるときに枝で腕をひっかいたようだ。武道は、真白の腕を軽くろっこん＜スイ・マー＞で突いて痛みを取り、ハンカチを巻いて応急処置をした。
（これでよし。しかし……やり残したことだったとはいえ、これはちょっと、言っておくべきだよな）
武道は、あまりキツイ言葉にならないよう気を付けて、お説教モードになった。
「木登りは落下の危険もある。水だって、流れがあれば危険なんだ。川沿いの桜は綺麗だろうが、川に落ちる危険性について少し考えるべきだったな」
「それは……はい、ごもっともです」
「……ごめんなさーい……」
しゅんとなる真白とののこ。まあ、怒られるところまでがお約束かな、なんて真白は考えていたのだが。
――と。
「桜の木に登る事の何が問題かというと、『登った人が落っこちたら怪我をするかもしれない』と『桜の木の枝を折るとか、木にダメージを与えるかもしれない』の２点だよね」
明るい声で現れたのは、八十八旗 信彦であった。
「じゃあ、ツリーハウスを建ててみるのはどーだい、ののこちゃん？」
「ツリーハウス？」
「お花見用だから、床と手摺と屋根だけの東屋とかガゼボみたいなヤツ！」
「ガゼボ？」
「ああ、ガゼボっていうのは屋根と柱で作られた西洋風の見晴らし小屋みたいなものだよ」
「そんなの作れるの？」
「ちょっとばかり手配と手間が必要だけどね。フツーにお花見するより、きっと楽しいはずさ！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2024年06月09日
- 参加申し込みの期限
-
- 2024年06月16日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2024年06月16日 11時00分
