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こんなにも青い空の下で
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【欠片たち(6)】
いよいよ桜の咲くころなのだなと
御巫 時子
は、きゅうと甘くしめつける想いのゆれを胸に感じます。けっして不快なものではなく、さりとてするりと無視してしまえるほどに軽くもなく。心地よくもあり、ちくりと胸に引っかかるようなもどかしさもあり。なんとも形容しがたい、季節の移り変わりを告げる春鳥のなきごえにも似た、感情のさざなみでした。
「…………」
ああ。と時子は無意識のままに、深い息をひとつ。染め物のように青い空に、薄くかかった巻雲に、ああ終わってしまうのだな、とあらためて認識させられます。
3月。期待と不安がないまぜとなり、希望と混沌が交錯する、変化の季節。
とはいえ、変わらないものもそこにはありました。不安をふきとばし焦りを抑え、晴れやかな気分にさせてくれる、時子にとって至福のひとときです。
とんとん、とドアをノック。
「尚輝先生、こんにちは……」
「ああ、御巫さん」
いつもの光景、いつものぼさぼさ頭。別れの季節だなんだといいながら、
五十嵐 尚輝
先生は今日も今日とて実験中……そういえば先生のこんな姿も、そろそろ見納めとなるでしょうか。
「…………」
ふたたび、ああ、と時子は吐息をもらします。彼の真剣に打ち込む姿なら、いつまでだって見ていられるというのに。やさしい時の流れにひたりながらの、ふたりだけの昼休み。ああ、終わってしまうだなんて。
もうすぐ卒業です。もはや通いなれたこの場所から、ふたりだけの憩いの空間から、時子も巣立たねばなりません。そのときは間もなくやってきます。
なんだかじわりと目頭が熱くなり、思わずまぶたをふせました。
「……おっと、すみません。ついついのめり込んでしまって。ダメですね僕は、こういうところ、どうしてもなおらなくて」
「いえ……それが尚輝先生のよいところでもありますから……」
怪訝そうに首をかしげた彼を、時子はまぶしく見つめます。
ああ。深々とため息がこぼれました。
いつものようにビーカーでコーヒーを淹れ、いつものように彼のためこしらえたお弁当を広げる間、尚輝先生はどこかそわそわとして落ち着かなく見えました。
「コーヒーが入りました……どうぞ。尚輝先生?」
「あ、ええ。はい。お弁当、いつもありがとうございます」
だしまき卵をぱくり。マヨネーズであえたブロッコリーをぱくり。おいしいですね、と言ってはくれるものの、なんだか上の空。窓の外の遠くを見つめて、時子のほうを見て、ぱちりと目が合い、あわてたようにまた遠くを見て。
「尚輝、せんせい?」
「……すみません。なんだか」
なんと言ったらよいのかと迷い、尚輝先生はしばし首をかたむけて悩み、慎重に言葉を選ぶそぶりで言いました。
「今朝からどうも、落ちつかなくて。僕にも理由はよくわかりませんけど、なんだか……」
「はい」
「うれしいような、さみしいような、そんな気分で」
そうしてじっと、時子を見つめます。見つめているのでしょう、額にたれた前髪のカーテンの合間からちらりと、きれいな光がこちらをのぞいています。
時子はそのときようやくにして、彼が自分とひとしく気持ちを共有しているらしいことに思いいたり、胸にじんわりと染み入るあたたかさをおぼえました。
ああ。ああ、そうなんだ。彼もきっと、同じ気持ちなんだ。
時子の卒業は、喜ぶべきことでしょう。時子が彼のもとを巣立ってゆくのには、哀愁を感じるのでしょう。教師と私人のはざまでせめぎあう感情にゆれる彼の人間的な一面を、時子はいとおしく思います。
「そうですね……こうして学校でいっしょにお昼を食べるのも、最後ですね。私も、さみしいです……」
「はい。僕もです」
しばしおとずれた沈黙は澄んでいて、どこか尖っています。黙っていたら泣き出してしまいそうで、あるいは彼にすがりついてしまいそうで、時子はどうにか言葉を絞り出しました。
「好きでした」
びくりとしてこちらを向いた彼へ、時子はあわてて、
「実験中の先生を見ているのも、好きでした……」
「えっ。それは、はい。なんていうか。どうも」
しどろもどろな尚輝先生がなんだか可愛らしくて、時子はくすりと笑みをこぼします。
「卒業したら、こうして学校では会えなくなりますけれど……学校以外でも、会えますよね?」
「ええ。御巫さんが望むなら、ああいえ、僕も……」
「ただ、少し不安なんです。先生は真面目すぎるから、いつも没頭してしまって……あまり学校には泊まりこまずに、ちゃんとお家に帰ってくださいね。身体をこわしてしまいますから」
所在なく頭をかいた彼は、4月から学校で、どんなふうに過ごすでしょうか。ひとりで研究にのめり込むのでしょうか。きちんと食事をとったり、夏はまめに水分補給したり、適度な外出や運動をしたりしてくれるでしょうか。
心配で心配で、しかたがないもので。
「できることなら……ずっと先生を、見守っていたいです……」
「えっ?」
消え入りそうなその言葉だけは、彼には届かなかったようです。
今はまだ。
あと片付けを終えると時子は立ち上がり、見送る尚輝先生をくるりと振りかえって、じっと彼を見つめます。
「御巫さん?」
すうとひとつ大きく息を吸って、はいて。
「尚輝先生」
「は、はい」
いつもより少しだけ大きな声で、胸を張って、言いました。
「卒業式のあとに……お会いできますか?」
伝えたい言葉があるから、とは言わずとも、彼も察するところがあったかもしれません。すこしの逡巡ののち、式の当日に時間が作れるかどうかは分からないけれど、その後にはきっと、と言ってくれました。
卒業までは、もう間もなく。いやおうなく変化のときはおとずれます。そのとき時子は、なにを思うでしょうか。尚輝はどんな言葉を伝えてくれるでしょうか。
3月は時子の胸を高鳴らせ、焦燥に追い立てます。弾むようにして落ち着かない気持ちは、もうしばらく続きそうです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年06月02日
参加申し込みの期限
2024年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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