【月影塔】『第四階層』騒めく密林の東の賢者｜リアクション

【月影塔】『第四階層』騒めく密林の東の賢者

　～東西の関所にて～

「イヤー！　一時はどうなることかと思ったヨ！」
　いつもの調子に戻った武道が、第四階層を隔てる大河を西へと船で渡っていた。なんと、船が関所だというのだから驚きだ。
「でも、まさか神殿が爆発するなんてな！　真白が慌てて神殿の天井の穴から駆け付けて、ラピスを掻っ攫った時はびっくりしたぜ！」
　桜井は上空でワイバーンの背に騎乗する真白とラピスを見上げていた。
「いやいや、あんなことがあったら私じゃなくてもびっくりするって。実際、あの後、正気に戻った東の賢者さんが驚いてひっくり返ってたし」
「まったく、アステリズムの末裔とあろうものが、我欲に囚われて大儀を見失うとは……情けない！　きゃ！　急に動かないでよワイバーン～！」
　ラピスは真白の腰に手を回して、落ちないようにしっかりと捕まっている。
「ていうか、今回のMVPは僕だと思うんだけど？　これからは黒猫レンジャーを名乗っちゃおっかなー♪」
　タルトの捜索のおかげで、隠し迷路の最短踏破が可能になった。遅れてやってきた仲間は、その経路を使って民衆達と共に玉座の間へ乗り込めたわけだ。
「それを言うなら俺の粘土人形も活躍したよぅ！　やはり情報を制する者は全てを制するんだねぇ」
　呉井も誇らしげに胸を張る。親友のピンチを救えたことに、何か自信を得たようだ。
「ああ、それもこれも、わたしのろっこんでの変装があったから出来たわけだけど、そこに異論はないかい？」
　美的センスが爆発しすぎて、変装にリアリティを求めた風間。結果、現地人と謙遜ない変装メイク技術を会得してしまった。もしかしたら、現実世界で役者のメイクアップアーティストも出来るのでは、と彼女は考え込む。
　武道は安堵した表情で、仲間に頭を下げた。
「今回は本っ当にありがとう！　東の賢者も、もう掟にとらわれずに民衆にはのびのび過ごしていいと言ったし、自身が隠し持っていた純度の高い影剛石を俺達に差し出してくれたし……」
「それ、本当にもらってよかったのか……？　当初、俺は賢者の影剛石をワシの姿で掴んで川に捨ててやろうと思ったんだが？」
　ラッセルがぼやくと、タルトが首を横に振った。
「ううん、今回ではっきりしたよ。ブリュンヒルデに対抗するには、多分、その意思がきっと役立つよ。まさか魂を消費できるなんて、ラピスちゃんも知らなかったようだし……」
　その事実が確かならば、ラピスよりもブリュンヒルデは影剛石をうまく使いこなせるだろう。今の勇士達が叶うかどうか分からない。
「まあ、そのためにも西の賢者に会いに行くんだよね？」
　真白の言葉にティオレが無言で頷いた。
　ラピスは西の国の都を指差し、勇士達へ告げた。
「そうだ。魂をエネルギーとして使えるなら、貴様等の星の力を高めて魂を共鳴させれば血を流さずに影剛石を覚醒できるやもしれぬ。その為にも、西の賢者の試練をこれから受けてもらうぞ。覚悟はいいか？」
　ラピスの言葉に、勇士達は力強く頷いた。
　影剛石の本質の一部を知った勇士たちは、果たして、西の国で妥当ブリュンヒルデの糸口を掴むことが出来るのだろうか？

　――後半へ続く。

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あとがき

担当マスター：焼きスルメ
ファンレターはマスターページから！

　この度は長らくリアクションをお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。

　見事、勇士の皆さんは東の賢者が抱えている呪縛を解放し、ラピスを救出することに成功しました！
　そして、皆さんには武道さんが持っている『真・影剛石』と同じ純度の影剛石（ https://rakkami.com/item/detail/2802 ）を入手しました。
　これは武具として加工するもよし、そのまま持っていてもいいです。

　次回は修行パートです！
　影剛石を覚醒させる特訓を西の賢者が提案してくれるでしょう。

　では、乾物の心身を整ったら、再びお会いしましょう。
　ご参加いただき、ありがとうございました。

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