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寝子島高校
ナチュラル・セラピーのおさそイ
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【終末時計は30秒前】
扉は従業員、といった存在がいるのならですけれど、ともかく関係者のみが入室を許されるもののようです。とはいえ鍵がかかってはいませんでした。
「拓郎、入ったら扉を閉めろ。あいつもここまではついて来れないだろ」
「だといいけど……で、ここは?」
拓郎はどこか懐かしい思いにかられて、その薄暗い空間をぐるりと眺めます。じゅうたん敷きのやわらかい床に、壁は白い有孔ボード。暗幕が引かれて照明は落とされ、正面の大きなスクリーンに浮かび上がるのはモノクロの、チェーンソーを持った人々が山へ分け入り次々に大木を切り倒していく映像です。どこの学校にも大抵はあるでしょう、視聴覚教室にそっくりの空間でした。
映像は短くループしていて、拓郎は二度三度とそれを見ているうち、なんだかいてもたってもいられないような、焦燥に似た思いの芽生えを胸に感じました。
「ここでも、この手のメッセージか。ここを作ったやつは、環境活動家かなにかか?」
「作ったやつ、って……誰?」
「いや……」
高久が言葉をのんだのは、奇怪な空間の作り主、そんなものがいるのなら、まともな人間や尋常な存在ではないように思えたからかもしれません。とかくここは歪で、あまりにも多重をなし連なって、果てがないように見えました。その証に、
「とにかく、ここにいても仕方がない。次に行こう」
教室の前後にある扉のいっぽう、出口を開くと、
「……あん?」
そこには次の視聴覚室が広がり、スクリーンには巨大な綿花農場で過重労働にあえぐ人々や、コットン工場の過度の取水や排水の汚染に苦しむ川辺の生き物たちの映像が映し出されています。
次の扉を開くと別の映像が流れ、その次の扉の先にも、その次にも、次の次の次の部屋にも、映像はふたりに世界へ文明がもたらす破壊の爪痕を伝えました。
「なんか……不気味だね」
「言わんとするところは分かるが、どうも押しつけがましいな。それとも、前衛アートでもやっているつもりか? ああ……それにしても、ここは
暑いな
」
そう言って上着を脱いで床へ放り投げた高久に、拓郎はどこか違和感を覚えながらも、たしかに妙に蒸しているように感じます。空気はむしろひんやりしているのに、暑さに息苦しさを覚えます。拓郎も羽織っていた春物のジャケットを脱ぎ、床へと捨てました。
次の扉を開くと、
「おっ。映像はもう終わりか」
「ここは、教会……?」
唐突な景観の変化とその落差に、拓郎はぱちぱちと目をまたたかせます。
教会、のようでした。天井は高く三階建てくらいの吹き抜けで、白亜の宮殿もかくやと美しく、色鮮やかなステンドグラスから差しこむ極彩色の光がふたりを照らします。床は緻密な幾何学模様をいくつもの正円に閉じ込めたような模様が広がって、壁や連なる柱は磨き上げられた大理石。朱色のビロードが伸びる床をたどると、聖櫃と祭壇がありました。
高久は腕を組み、ふむと首を傾けます。
「宗教ってのも、人間の作り出した文明のひとつじゃないのかね」
いいえそれは違います。
慎ましさや懺悔の心、正しい自己否定へいたるための過程は、文明からの脱却と自然への回帰に必要なプロセスであり、現代の文明人にもそのニュアンスが伝わりやすく明確なモチーフを取っているだけなのです。と
拓郎は考え口にしました。
「たぶん……
慎ましくあるべき、とか懺悔の心とか、今までの文明にまみれた自分を否定して、文明から脱却して自然に帰るために必要なものの象徴としての教会
。って感じじゃないかな」
「ああ、うん。そうだな……なんだ、やけに饒舌だな、拓郎。お前は普段からそうやって、もう少し自分の考えを口にしたほうがいいと思うぞ」
「……? なんで俺、そんなふうに思ったんだ……?」
しかし拓郎は
それ以上深く考えず
、次の出口を求めて視線をめぐらせたところで、
「っ、兄貴! あいつがまた……」
ずずず。ずず、ずるずる、ずるり。大理石の床に足をこすらせ、じわじわと這い寄るマスコット人形の剥げた笑みを見つけ、思わず声が裏返りました。
ずる、ずるずる。ずるり。ずずず。
「しつこいやつだな。進むぞ、拓郎。まったく、武道のやつはどこまで行ったんだ」
「う、うん」
背後から着実に迫る圧迫感に追い立てられるように、教会の奥へ。
さらに空間の奇怪は増したようです。扉の向こうはまるで、迷路のよう。細い道を構成しているのは何の変哲もないビルの壁であり、ところによっては肉塊のごとき脈動する赤い壁であったり、鏡張りの壁であったりガラスだったり、あるいは戦争映画で見たような土嚢の積み重ねだったり塹壕であったりしました。
「……今までとは感じが変わったな」
「うん……」
奇怪で、けれどなんだか、どこか……必ずしもふたりにも縁遠いものではないような。まったく関係がないとも言い切れないような。うまく表現できないものの、そんなふうに思えます。
迷路を進むと、ことに奇妙であるのは、後ろの道が崩れてゆくことです。一歩あゆめばがらりと崩れ、二歩、三歩と進めばその分だけたどってきた足跡ががらがらと崩れ落ちていきました。崩れた先にはぽっかりと闇が口をひらいて、もし落ちてしまったらきっと、二度と這い上がることはできないでしょう。
「もしかして、ここ……兄貴の……」
「! 誰か倒れてるぞ。武道か?」
遠くにカラスのような鳴き声を聞きながら、少し開けた広場へ高久は駆け寄り、拓郎もあわてて後に続きます。
「し、死んでる……?」
「いや。これは……麻痺している、のか?」
多くは、見覚えある寝子島高校の制服を着ています。ひとりではなく、無数に。彼らは倒れたまま動かず、けれど生きてはいるようです。身動き取れないのかと思いきや、時おり手足をぴくりと痙攣させています。
「ど、どうする高久兄貴?」
「このままにはできないが……、!」
振動がふたりの足元を襲い、広場を揺らします。
「まずい、兄貴、走って!」
「くそっ」
床が崩れ始め、倒れた人々を次々と飲み込んでゆくのを歯がゆく振り返りながらに、ふたりは駆け抜けます。ふたたび狭い通路へ飛び込んだところで、崩落はぴたりと止まりました。
振り返れば、制服を着た彼らは全て闇の中へと落ちていってしまったようです。まるで初めから存在しなかったかのように。
「く……助けられなかったか」
「…………」
高久は歯噛みし、拓郎は目の前で消えゆく人々の姿の衝撃に一時、言葉を失いました。
「悔やんでいる場合じゃないな、先へ進まないと。しかし、進むと背後の道が失われていくのだと思ったが、あの広場はなぜ崩れたんだ? 違うルールがあるのか」
「たぶん……あれだよ。高久兄貴」
一面ガラスの透きとおる壁の向こうを拓郎は指差しました。
「武道……!」
虚ろな瞳。上半身は裸のまま、いまや靴もソックスも脱ぎ捨てて、口元にだけ乾いた笑みを張り付け、歩いています。彼の歩む道は迷路の別の分岐のようで、その背後にはやはり崩れ落ち闇が残されるばかり。
「……なるほど、分かってきたな」
「な、なにが……?」
「ルールだよ。これは迷路ではなく、フローチャートなんだ」
「ふ、フロー……?」
拓郎より十も年上の頼れる兄は、アスリートにして見識も深く聡明です。もはや確信めいて推測を語りました。
「生きていればいくつも、なにかを選択することがあるだろう。前に進む、というのもそのひとつだな。時間を巻き戻せはしないから、選んだ選択の先に道は続き」
「選ばれなかった道は……崩れてく?」
「そういうことだ。そしておそらく、これは武道自身のフローチャートだろう。武道が選んだ選択によって……まずいな、走れ拓郎!」
「え、え?」
「武道が選ばなかった道はどうなる!」
彼とは違う道を進んでゆくふたり。ガラスの向こう、武道はいくらか先行しているように見えました。
「……こっちの道が崩れ落ちる!?」
「こっちもあっちも、全部だ! 急げ!」
全力で駆け抜けます。がらがらと背後で瓦礫の崩れゆく音に、拓郎はあのマスコット人形も飲み込まれていったのだろうかとふと考え、今はそれどころではないと思い直し、必死に手足を振り走ります。幸いにして拓郎もまた陸上部に所属する体育会系であり、体力は十全に備わっていました。
どれほどの距離を走り抜けたのか。ふたたび広場へ飛び込む頃には息も絶え絶えとなり、大きく肩を上下させながら思わずへたり込んでしまいました。けれど、奇怪な空間はふたりへ決して友好的ではありません。
「な……なんだ。あれは」
「人? でも……」
気がつけば目の前に、人影が立っています。血みどろで、眼光だけが鋭くふたりをにらみつけ、手には欠けて錆がかった……それでも鋭利で、人体などたやすく断ち落とすだろう、寒々とした刃をぎらつかせる手斧を持つ、痩せぎすな女でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月12日
参加申し込みの期限
2024年05月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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