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ナチュラル・セラピーのおさそイ
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【回帰へいたる道】
……そうです、必要なことは今まさにあなたの決断、脱却と回帰への勇気なのです。いいえ、難しいことではありません。あなたがごく普通の人間で、ごくあたりまえの感性の持ち主であれば気づくはずです。正当にして必然の選択であると。考えてみてください、たとえばそう、昨今話題に上ることも多い海洋プラスチックの問題です。人間が着る洋服、人間が走らせる自動車、人間が物流を通わせるための資材として、食べ飲みするための容器として、日常のいたるところに存在するプラスチックは、そのほとんどが使い捨てにされています。きちんと手順を踏んだ後処理を成そうとする者もいますが、当然全てがそうではありません。軽量で耐久性に優れ、手軽で扱いやすく安価であるからこそ、使い捨てにも遠慮がないのです。そうして環境へ流出したプラスチックがどこへゆくのか? ほとんどがたどりつくのは川や海であり、その影響は容易に人間の手の届かないはずの超深海へも至ります。魚やそれを食べる海鳥、海亀、アザラシなどの海洋哺乳類が誤摂取により命を落としたり、漁網に絡まり身動きが取れなくなり数年間ものあいだ苦しみ続けた末に命を落としたり。目に見える形で現れるいっぽう、さまざまな要因を受けて分解され、マイクロプラスチックとなったものが海洋生態系へと取り込まれ、蓄積されていくのです。流出したプラスチック類は自然に分解されることはなく、少なくとも数百年に渡って残り続けるとされ、増大し続けるプラスチックの生産量に歯止めがかからなければ、自然界へ甚大な破壊をもたらすことでしょう。恐ろしいことに、この海洋プラスチックは今後数十年の間に海洋生物の総数をも上回るであろうという予測もあり、実に差し迫った危機として……
高久や拓郎と遭遇する、少し前。ジャケットを脱ぎ、シャツを脱ぎ去ると、武道の心にはおだやかな安堵がもたらされ、とめどなく昂揚しました。
「ああ……
そうだよな。そうなんだ。人は存在するだけで罪なんだ、文明社会に生きているだけで罪なんだ、そこから脱却しあるべき場所へ帰るんだ
」
なんて幸福でしょう。満たされていきます。目の覚めた思いです。文明社会が武道へもたらしたものは大きく、そこに帰属する一員として責任を果たすべく努力し、邁進してきたものの、すべてが虚ろなまぼろしであったとようやくにして気づくことができたのです。なんて解放感。なんて幸福。小躍りせんばかり、心には羽が生えたかのようで、事実武道は軽やかなステップを踏みました。
ここはショッピングモール、でしょうか。モノがあふれ、モノに埋もれ、罪深い人間の所業の縮図のような場所に今の武道には思えました。なんておぞましい。
そこへいくと、この壁に張られたポスターなどはどうでしょう。美しいサンゴ礁、海上から差しこむ光のヴェールに包まれながら、遺棄された漁網に絡みつかれて身動き取れず、海中の酸素を取り込めず溺死したウミガメのあわれな姿が描かれています。なんてすばらしい、と武道はこれを描いた誰かへ心の中称賛を贈りました。これを目にして身につまされない現代人などいるでしょうか、もしなんら罪悪感も抱かずこれを眺め、直後に飲み干したペットボトルをポイ捨てにするような者がいたなら、ソイツはきっと悪魔や悪鬼の生まれ変わりに違いありません。
なんとこの世は、追い詰められていることか。進化の袋小路は間近に迫り、人間は自らの首を締め上げながら、酸欠の苦しみが訪れるまでのわずかな猶予に低酸素状態がもたらす恍惚や陶酔、快楽を貪っているに過ぎないのです。なんたる愚か。
けれど武道は、気づきました。目覚めることができました。回帰へいたることこそが人間に許されたただひとつの贖罪、解放への道なのです。
「
そうだ。帰ろう。自然へ帰ろう、全て脱ぎ捨てて、裸の自分として生きるんだ。ワイルドに、活き活きと、自分らしく……そのために俺は、ここへ呼ばれた
」
そうしてGパンまでもすぽんと脱ぎ去ろうと手をかけたところで、
「おい、待て武道!」
「兄貴……!」
「武道、おい! お前……なんで脱いでるんだ」
追いついた兄と弟が、彼を止めたのでした。
武道の逃走は鋭く、無策でやみくもでした。
「くそ、早いなあいつ。見失ったぞ。いったいどっちに……」
「あ……兄貴」
「ん? どうした拓郎。お、こっちはモールじゃないみたいだ。また違う景色が続いて」
「兄貴! あ、あいつ……あいつが」
「分かってる。分かってるから落ちつけ」
「でも」
ずずず。ずず、ずるり、ずずず。オブジェは石材か石膏のような材質に彩色をほどこしたもののようで、引きずる音は重々しく乾いています。ずず、ずずず。ずずず、ずるり、ずるずる。
「ついてくる……」
「ああ。知ってる」
「ずっと、ついてくる。俺たちを、追いかけて」
「分かってる……」
ずるり、ず、ずずず。ついてくるのです。高久と拓郎の後を、ずっと、ずっと。ウサギのような、キツネのような、なんとも形容しがたい造形の、おそらくはこのショッピングモールのマスコットキャラクターなのでしょう。その形をあらわした高さ1メートル程度のオブジェが、自らを引きずり追いかけてくるのです。オブジェには可動フィギュアのように曲がる関節もなく、もちろん立って歩くような仕組みもなく、ただの石膏像に見えました。長いことここにあったのか、ところどころに摩耗し塗装は剥げ、経年劣化は著しく、その朽ちかけの様が小奇麗なモールの装飾としては異質で、異様であり、拓郎は怖気をふるって顔を青くしています。
襲いかかっても来なければ駆け出すでもなく、叫び出すでもなく、ただただずるり、ずるりと鈍足に、けれど確実にふたりの後をついてくるのみ。どうやら、害はなさそうです。けれど高久も弟の手前、表には出さないものの、ずっと張りつめて警戒を解いてはいません。
ついてくるだけ。いつまでも、ずっと、ずっと、後ろから。
「もし、追いつかれたら……どうなるんだ? 殺され……」
「無視するしかない。今は武道に追いつくことが先決だ。見ろ、拓郎」
高久の指さすところ、モールの廊下に敷き詰められたカーペットの片隅に、無造作に投げ捨てられているのは、靴下の片方でした。さらに向こうに見える店の手前には、もう片方が落ちています。
「兄貴の……」
「ここを通って奥へ向かったらしいな。で、この店は、アウトドア用品店か」
テント、ランタン、小さなテーブルに折り畳み式のチェア。調理器具に寝袋などなど……大がかりなものから簡易的なものまで、キャンプが楽しく便利になるグッズの数々がずらりと取り揃えられています。
ずずず、ずるずる。ずるり。
「……武装しておく必要があるか」
ずっとついてくるマスコット人形のような害のない怪異ならいいほうで、この先にはもっと直接的に危害を加えてくる存在がいないとも限りません。
「拓郎、武器を選ぼう」
「武器……」
「この先必要になるかもしれない。そうならなければいいがな」
迫ってくる人形に注意を払いつつ、追いつかれたら? と気が気ではない中で、高久は雪山登山用のピッケルを、拓郎は山登りに適した小型のフライパンを手にとりました。
ずず、ずずずず。ずる、ずるずると。
「高久兄貴……いこう。兄貴は、店の奥の扉に入ったみたいだ」
「ああ、油断するなよ」
相も変わらず自然回帰主義的アナウンスを叫ぶスピーカーを一瞥し、ずるずると迫るマスコット人形に追い立てられるように、ふたりは扉をゆっくりと開くと、慎重に中へと足を踏み入れます。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月12日
参加申し込みの期限
2024年05月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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