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- 00月00日生 00歳
- AAA000000
LIQUID -Star Chronicle- 最終決戦
【サイドクエスト『サイディア王室プレゼンツ・ハウジング王決定戦』（２）】
タビガラス（プレイヤー：旅鴉 月詠）はふむンと思考した。熟考しながら拠点をぐるり見回した。
ペッパーと名乗る男の来訪を経て、タビガラスの目標は定まった。ひたすらに充実させてきたハウジングエリアの方向性に、びしりと答えを見い出したのだ。
「よータビガラスさん、招待状が届いたって？ 例のイベントの。マジで？」
「タビガラスさんなら優勝できちゃうんじゃない？ マジマジ、マジで！」
「うむ。マジだ」
顔が広い彼女のもとへは、さっそくうわさを聞き付けた常連客たちが多く詰めかけた。駆け出しだったアルターとエリンもタビガラスのハウジングエリアを活用するうち、今ではすっかり手練れの冒険者へと成長したものだ。
「特別なイベントなんだろ？ こりゃーやっぱ気合入れてさ、エリアを完璧にしとかねーとな」
「でもどうかしらねー、付け焼き刃ってこともあるじゃない？ 急にいつもと違うこと始めるってのもさあ」
「やっぱエロだろ、エロいサービスしかねえって！」
それぞれに建設的かつ前向きな意見を述べてくれる常連客たちに、タビガラスはうなずいて、
「うむ。そこなのだよ諸君」
腕組みしてやはりふむンっと考え込んだ。なにごともノリで生きているように見えて案外、タビガラスも考えているのである。
「ハウジングコンテストを見据え、わが拠点をいかに仕上げるか？ さて。イキオイ任せも好きだが、綿密な計画を立てることも重要だ。考え抜かれた建造計画、緻密な計算に基づくマーケティング戦略……」
山盛りの資材を抱えてのっしのっし、歩いてゆく筋骨隆々なヒヨコトレーナーの勇姿をジト目で見つめ、緻密な計算とは？ といった表情でタビガラスを流し見るベテラン冒険者たち。
「それでいてやはり、人の耳目を集めるような突拍子もないコンテンツも悪くない。訪れたみなを喜ばせたいからね」
うむうむっと訪れた者たちもそろってうなずいた。タビガラスのサービス精神は彼らによく伝わっているだろうし、利用する者たちはいずれも笑顔を見せてくれる。タビガラス自身が求めたわけではないにも関わらず、寄付という形で多大な対価も集まった。いまや運営する本人のみならず、多くの仲間たちにとっても大切な場所となっているのだ。
そんな彼らの憩いの場に、この上で必要なものとはいったいなんなのか？ 全員がふむンンンっと腕組みして考え込んだそのとき、天啓が彼らを導いた。
「必要なモンは全部そろっとる気がするがのう。このままでよいのじゃないか？」
剣士シロヘビ嬢がつぶやいたあくびまじりのひと言に、タビガラスの熟考もすとんと着地点をみた。
たしかにこれまで実装済みのハウジングにまつわる機能は、ほぼすべて組み込まれている。ペットランしかり、クラフト工房しかり。カードゲーム＜Chemitoria（ケミトリア）＞用の対戦テーブルなどは連日激闘が繰り広げられているし、先日はライブスペースにて行われたマジカルパフォーマー系クラスのユニットによるコンサートだって満員御礼だった。タビガラスも花火を打ち上げたり音響や視覚効果を担当したりと全面協力し、それはもうとてつもない盛り上がりであったのだ。
機能や用途はもはや必要十分。よってハウジング王決定戦を目指しタビガラスが行ったことに、なにも目新しい新サービスの類はなかった。
「時を費やすべきは変わらぬ現状維持のための投資、それに区画整理といくらかの飾りつけかな。……ホムンクルス製造機にキャンプファイヤーを合わせた祭壇は、儀式色が強すぎるからやめておくか」
しいて言えば、タビガラスの突飛な思い付きにもとづく突飛な演出は少しばかり控えめに、誰もが入りやすく使いやすい場所となるよう心がけた。結局のところ、大事なのはそれなのだ。一過性の流行を呼び込むのも決して悪い狙いではないが、それよりもみなが心おだやかに過ごせる場所であってほしい。タビガラスの願いははじめから一貫していた。
「俺らもなんか手伝うぜ。できることあるか？」
「なんでも言ってよ！」
「ま、日頃から世話になっとるからのう。協力するもやぶさかではないぞ、タビガラスよ」
ありがたくもアルターにエリン、シロヘビたちが助力を申し出ると、詰めかけた常連の連中も次々に声を上げてくれる。
「助かるよ。では資材の運搬を手伝ってくれ。ヒヨコたちだけでは間に合わない。なにしろ整理も追いつかないほどの寄付をいただいているからな。有効に扱わねば」
「おっけー、それじゃ指示を頼むぜ！」
忙しく動き始めた彼らに、エリアはライブやコンサートにも負けず劣らずの賑わいを見せた。
先日はストーリーの最終章が配信され攻略勢の盛り上がりも尋常ではないが、みなでひとつのことを成し遂げる喜びは、なにもクエストばかりにともなうものではなかろう。タビガラスは、そう思うのだ。
「休憩時間には、お礼に私の新作ドリンクアイテムを配布しよう。春らしく華やかな色合いと爽やかな味わいが楽しめるカクテル＜スパークリングチェリーちゃんこ＞だよ」
「「「ちゃんこをドリンクに含めるな！」」」
リキッド大陸の花々も咲き乱れる、うららかな春のひとときであった。
タビガラス（プレイヤー：旅鴉 月詠）はふむンと思考した。熟考しながら拠点をぐるり見回した。
ペッパーと名乗る男の来訪を経て、タビガラスの目標は定まった。ひたすらに充実させてきたハウジングエリアの方向性に、びしりと答えを見い出したのだ。
「よータビガラスさん、招待状が届いたって？ 例のイベントの。マジで？」
「タビガラスさんなら優勝できちゃうんじゃない？ マジマジ、マジで！」
「うむ。マジだ」
顔が広い彼女のもとへは、さっそくうわさを聞き付けた常連客たちが多く詰めかけた。駆け出しだったアルターとエリンもタビガラスのハウジングエリアを活用するうち、今ではすっかり手練れの冒険者へと成長したものだ。
「特別なイベントなんだろ？ こりゃーやっぱ気合入れてさ、エリアを完璧にしとかねーとな」
「でもどうかしらねー、付け焼き刃ってこともあるじゃない？ 急にいつもと違うこと始めるってのもさあ」
「やっぱエロだろ、エロいサービスしかねえって！」
それぞれに建設的かつ前向きな意見を述べてくれる常連客たちに、タビガラスはうなずいて、
「うむ。そこなのだよ諸君」
腕組みしてやはりふむンっと考え込んだ。なにごともノリで生きているように見えて案外、タビガラスも考えているのである。
「ハウジングコンテストを見据え、わが拠点をいかに仕上げるか？ さて。イキオイ任せも好きだが、綿密な計画を立てることも重要だ。考え抜かれた建造計画、緻密な計算に基づくマーケティング戦略……」
山盛りの資材を抱えてのっしのっし、歩いてゆく筋骨隆々なヒヨコトレーナーの勇姿をジト目で見つめ、緻密な計算とは？ といった表情でタビガラスを流し見るベテラン冒険者たち。
「それでいてやはり、人の耳目を集めるような突拍子もないコンテンツも悪くない。訪れたみなを喜ばせたいからね」
うむうむっと訪れた者たちもそろってうなずいた。タビガラスのサービス精神は彼らによく伝わっているだろうし、利用する者たちはいずれも笑顔を見せてくれる。タビガラス自身が求めたわけではないにも関わらず、寄付という形で多大な対価も集まった。いまや運営する本人のみならず、多くの仲間たちにとっても大切な場所となっているのだ。
そんな彼らの憩いの場に、この上で必要なものとはいったいなんなのか？ 全員がふむンンンっと腕組みして考え込んだそのとき、天啓が彼らを導いた。
「必要なモンは全部そろっとる気がするがのう。このままでよいのじゃないか？」
剣士シロヘビ嬢がつぶやいたあくびまじりのひと言に、タビガラスの熟考もすとんと着地点をみた。
たしかにこれまで実装済みのハウジングにまつわる機能は、ほぼすべて組み込まれている。ペットランしかり、クラフト工房しかり。カードゲーム＜Chemitoria（ケミトリア）＞用の対戦テーブルなどは連日激闘が繰り広げられているし、先日はライブスペースにて行われたマジカルパフォーマー系クラスのユニットによるコンサートだって満員御礼だった。タビガラスも花火を打ち上げたり音響や視覚効果を担当したりと全面協力し、それはもうとてつもない盛り上がりであったのだ。
機能や用途はもはや必要十分。よってハウジング王決定戦を目指しタビガラスが行ったことに、なにも目新しい新サービスの類はなかった。
「時を費やすべきは変わらぬ現状維持のための投資、それに区画整理といくらかの飾りつけかな。……ホムンクルス製造機にキャンプファイヤーを合わせた祭壇は、儀式色が強すぎるからやめておくか」
しいて言えば、タビガラスの突飛な思い付きにもとづく突飛な演出は少しばかり控えめに、誰もが入りやすく使いやすい場所となるよう心がけた。結局のところ、大事なのはそれなのだ。一過性の流行を呼び込むのも決して悪い狙いではないが、それよりもみなが心おだやかに過ごせる場所であってほしい。タビガラスの願いははじめから一貫していた。
「俺らもなんか手伝うぜ。できることあるか？」
「なんでも言ってよ！」
「ま、日頃から世話になっとるからのう。協力するもやぶさかではないぞ、タビガラスよ」
ありがたくもアルターにエリン、シロヘビたちが助力を申し出ると、詰めかけた常連の連中も次々に声を上げてくれる。
「助かるよ。では資材の運搬を手伝ってくれ。ヒヨコたちだけでは間に合わない。なにしろ整理も追いつかないほどの寄付をいただいているからな。有効に扱わねば」
「おっけー、それじゃ指示を頼むぜ！」
忙しく動き始めた彼らに、エリアはライブやコンサートにも負けず劣らずの賑わいを見せた。
先日はストーリーの最終章が配信され攻略勢の盛り上がりも尋常ではないが、みなでひとつのことを成し遂げる喜びは、なにもクエストばかりにともなうものではなかろう。タビガラスは、そう思うのだ。
「休憩時間には、お礼に私の新作ドリンクアイテムを配布しよう。春らしく華やかな色合いと爽やかな味わいが楽しめるカクテル＜スパークリングチェリーちゃんこ＞だよ」
「「「ちゃんこをドリンクに含めるな！」」」
リキッド大陸の花々も咲き乱れる、うららかな春のひとときであった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年05月06日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年05月13日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年05月13日 11時00分
