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LIQUID -Star Chronicle- 最終決戦
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【ストーリークエスト『最終決戦』(5)】
──かに思われた。
「……ラリス。目を開いて。ほら。ポラリス」
聞こえるはずのない声。ゆっくりと身を起こす。力尽きたはず。そう思うも、不思議と身体は軽やかに動いた。
「凛、風?」
「良く持ちこたえてくれたね。おかげで反攻の糸口を見い出すことができたよ。ほら」
彼女の示すほうには最後の水燭台が変わらず炎を上げていたが、やがてその半ばからずるりと滑り出し頂点を失墜させたのを見て、既に凛風の刀がひと振りに断ち割っていたことを知った。
ポラリスは夢見心地に彼女を見つめる。袴は股座までめくれてしまいそうなミニスカートに変わり、黒髪は桜色のグラデーションを帯びる銀となっていた。
「……<Pリンケージ>?」
「ふたりとも同時に発動したらしいね。無意識にかな。君との絆がそうさせたのかもしれない……おかげで首の皮一枚つながったよ」
見れば希水に流れるポラリス自身の髪もまた、桜色へと染まっている。ポラリスを抱き寄せ頭頂へ唇を寄せてから、凛風はあおぎ見た。歪な巨人を。
「そろそろ、仕上げといこうか。君と僕とで」
「……うんっ」
といって、対峙するのはもはやふたりばかりではない。
「オサムくん! 大丈夫!? 起きて、オサムくん!」
「く……」
口元へ流された回復薬をひと息に飲みほす。万が一に備え、アオイに数本持たせておいたエリクサー、<ネクタール>だった。ひとつ数万ボトルと格別に値が張る品だが、最終決戦へ挑むにあたってかき集めておいたのだ。
「燭台はみんな倒れたよ! 今がチャンスだよ!」
「そのようだ……耐えたのか、俺たちは」
残りのネクタールをエイジとマオメイに与え、愛剣・魂喰らいを拾い上げたところで、
「ああ、良かった。みんな無事ね!」
「ソフィア! 君も健在か」
「アオイに助けられたのよ。寸でのところでね」
「私は凛風ちゃんに助けられたの。みんながいてくれたおかげだね」
仲間たちの繋がりが、か細い糸をたぐり寄せた。周囲をうろめく狂魚は、見ればずいぶんと数を減らしている。どうやら燭台を破壊する直前にも、空間をよすがとする希水魚たちは尽きつつあったらしい。
「やれ、ひどい目にあったな。諸君、無事かね? 無事だね、さすがだ。さて……」
頭を振りたくり、マオメイはうごめく朔の巨人を見上げる。燭台の倒壊は予期せぬことであったのか、どこか途方に暮れているようにも思えた。堅牢に黒く染まった月の水の身体は、葉脈めいた緑をめぐらせる薄膜を失っていた。
「今なら、倒せる……ってことだね?」
光の盾と闇の剣をしっかと構え、エイジが最前線へと立つ。
「みんな、決着をつけよう。最後まで戦おう! さあ、行こう!!」
誰もかれもが揺るぎなく地に足をつけ、並び立った。時が来たのだ。どちらかが滅されるまで、もはや止まるまい。
彼らの勇気に呼応してか、巨人は軋みを帯びた咆哮を上げた。
最後の魔法ポーションをあおる。いささか苦味が強いのが難点だが、良薬なんとやら、効きは良く即効性があった。
オサムは剣の切っ先を巨人の歪な頭部、鼻先へ突きつける。
「月の杯は月の水を操る。この場所はまさにヤツのテリトリーというわけだ。ならば……空間から希水を排除したらどうなる?」
空隙創造、全ての魔力を費やし限界までその影響力を広げる。イメージは広大な領域を内包するボックスだ。空間の全てを網羅するには至らなかったが、巨人をすっぽりと囲うほどの巨大な箱を生み出し希水から隔離した。
「俺たちは大地に生きる生命、これでイーブンだ。アオイ! 遠慮はいらない、全力を叩きこんでやれ!」
「うん! ねえオサムくん、オサムくんってさ」
「ん?」
アオイはにかっと白い歯を見せて笑い、
「最っ高に頼りになるよね♪」
そう言い残して突撃し、シャインナックルをぶちかました。
巨人が高く細く叫喚する。先ほどは薄膜に阻まれた攻撃が、かすかながらに傷を負わせている。燭台の炎を排除し希水から隔たれたことで、確実に敵は弱体化している。
しかしそれでも、ちっぽけな人間に比べれば気の遠くなるような時の流れを乗りこなしてきた、命なき器物は老獪で手練手管に長けている。
「あれは……!?」
振り下ろされた巨腕が、からくも身をかわしたソフィアの眼前で赤熱、いや白熱してゆく。希水の名残りを瞬く間に蒸発させ、さらに増してゆく熱量にソフィアはたまらず距離を取る。
「水の分子振動で、熱を発しているの? ただでは終わらないというわけね。なら、こちらも……!」
万一を考え用意していた最後のカードを切る。<水霧衣>は目に見えぬ霧に自身を包み込み、あらゆる環境に適応する防御魔法だ。もちろん溶けるほどの高熱も例外ではない。
一転し、ソフィアは前へ出てエイジと並び立ち、氷嵐を巻き起こす。懐には変わりなく、鎚の重みを感じながらに。
「熱ちちち! 熱いけど、もう退かないよ……!」
武具を新調して臨んだ、最後のクエストだ。エイジの<光闇の剣と盾>はそれだけの価値を秘めている。セルフヒーリングとライトバリアの併用、仲間も援護も重なり、水流ならぬ熱の奔流を盾で真っ向受け止め、巨腕も巨剣の一撃にも耐え、いなし、言葉どおりに一歩も退くことはなかった。
そして握りしめた闇剣に備わる特別な能力が、エイジの切り札だった。朔の巨人を見上げ、盾を頼りに突っ込む。
「ずいぶん耐えたから、剣に限界までダメージが溜まったよ」
使えるのは一日に一度のみ、それ以上は剣もエイジの身も持たない程の破壊力を誇る。受けたダメージを刀身に蓄積し、一気に解放することで放つ、デュアルガーディアンの双属性を可能な限りに活用した大技だった。
「いっけええええ!!」
漆黒に染まりうなりを上げる剣を、裂帛の気合もろともに巨人の胴部、水塊へと叩き込む。瞬間、すさまじい狂声が響き、巨人の胴は寸断された。
水塊は徐々につながりを取り戻してゆくが、その速度は鈍く、先ほどまでの強靭も堅牢も薄れつつある。やみくもに振り回す無数の腕も、エイジとアオイはおろか、いまや最前線に立つソフィアの魔力を込めた杖にさえ軌道を逸らされた。
「理解。できない」
巨人の声は消え入りそうにかすれ、エラーを叫ぶ狂った電子音声のように震えている。
「理解できない。生命の進化はカオスの果てに迷い込んだ袋小路だ。統制されぬ個体同士の不和が破壊を呼びやがて内部より自壊してゆく。生命の創造性に価値はあるが自然下において十全に発揮されることはない。思想なき構造によって包括的に管理されるべきだ。美しく広がる色彩なき庭園のように」
「ああ、理解できないのだろうね。結局のところ君は、思考しているようでしていない。思考する人間の真似事をしているだけだ」
凛風。ポラリス。ふたりを止めるものはもはやなにものもなかった。白く熱された巨腕のひと薙ぎを飛び越え、
「月に叢雲、雪花に桜風……桜花極星の加護は此処に在り!」
「たとえここで果てようと、道を切り開く……! 私と、あなたで。凛風!!」
「ああ、ポラリス!!」
舞い踊る花弁と旋回する氷晶たちが渦となり、ふたりを包み込んでひとつとなる。
「風も水も、斬れぬものなし」
小烏丸・真打の放つ桜色の剣閃の乱舞が弧を描き、やがて収束し、朔の巨人の中心へと収束する。
「私のすべて、燃やし……尽くす。無限の氷獄へ、落ちろ……!!」
氷盾も銀精も、英傑の記憶も、あらゆる力を杖へと注ぎ込み、解き放つ。
「<評決・極星の標>!!」
一瞬の凪。直後に生み出された冷気が星の爆縮さながらに収束し、激震とともに弾け飛んだ。その代償と反動にポラリスは力尽き、凛風の腕の中へと沈む。
「おおお。理解、生命の理解。おおおお、カオスがすべてを破壊する。理解できない、理解、進化、大いなる矛盾に揺らぐ、月よ、おおお導きの、創造主……」
希水の海にはらはらと雪が降る。巨人は凍り付いていた。もはや液体の集合とは呼べず、無数の腕も無作為に伸びる足も凍結し凝固し、ひび割れ砕けてゆく。中心にはぽっかりと抉り取ったかのような穴が開き、鈍色のきらめきが奥の奥に垣間見えた。
「……ひとつ、いい言葉を教えようか」
もはや、決した。オサムの刃の切っ先は地を向いていたし、穏やかにして、細めた目には憐憫がにじんだ。
「収斂進化というんだ。形態の異なる種として発祥した者たちが、生態的地位や環境の相似をもとに、似通った形態へと進化してゆくことを言う」
「しゅうれん。進化。しゅうれん。とは」
「言葉は言葉、進化とひと言で言い表すのは簡単だが、それは永久にも思えるほどの時の流れを経て成し遂げられる、生命の営みだ。歴史そのものだ。彼らはどれほどの苦悶を味わい、どれほどの選択と誤りを繰り返してきたことだろう。どれほどの生まれ得なかった生命が、歴史に爪痕を刻むこともなく消えていったことだろう。お前にはカオスと映ったかもしれない……ランダムを幸運にも生き残ってきたのが、今を生きる生命たちと見えたかもしれない。しかし実際のところは、すさまじい生存競争の果てに勝ち取ってきた、その途方もない繰り返しと積み重ねこそが、今の俺たちを作り上げたんだ。お前は生命の進化を理解しようとするのではなく、敬意を払うべきだった」
「理解……理解、できない」
波が起こった。冒険者たちをさらうこともない優しい波だった。空間の隔たりは解除され、希水が再び流れ込んだのだ。ゆるくなめらかな風のように、稀海の水は彼らを撫でてゆく。やがて希水魚たちも戻ろうが、燭台に瞳を白く感化させることはもはやないだろう。
「ま、なにを言っても無駄だろうさ。しょせんは思想なき器物。それに、もう遅い」
マオメイがうながす。うなずくソフィアの手にきらめく、一本の鎚。<太陽の鎚>だ。
よろめいたオサムをアオイが支え、エイジは地へへたりこむ。目覚めぬポラリスを抱き、凛風は終幕を見つめた。
「ソフィア、頼むよ。やっておくれ。ぐずぐずしていると、再び動き出さないとも限らない……そら」
鈍く重い金属音が鳴る。凍結し砕け散り、もはや役を成さない月の水の鎧から這い出し地へと転がった。月の杯は器物でありながら、はらわたの蠕動するように脈打ち震えていた。
「……さようなら」
長く続いた戦いと冒険、そのひとつの終着点が今、この瞬間だ。ソフィアのぽつりともらした別れは、安堵だろうか。寂寥だろうか。それとも、哀れみか。
ゆっくりと構え、ひと息に振り下ろした。
りぃん、と鳴った。金属と金属がぶつかり合う重苦しい衝撃はなく、鈴の音がささやくように小さく、細く、遠く響いた。夜空に散る色のない花火を思わせる光を二度瞬かせ、月の杯の残滓はあっけなく消え去った。
誰もが言葉なく、しばし身じろぎもせぬまま、稀海の心地よい静けさに身を浸した。やわらかく寄せる波音だけが、旅の終わりを告げていた。
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3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月06日
参加申し込みの期限
2024年05月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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