【月影塔】上層階を阻む蛇竜を倒せ！｜リアクション

【月影塔】上層階を阻む蛇竜を倒せ！

　蛇竜を討伐した直後、押っ取り刀で駆け付けたのはラピス・Ｄ・マクレガーであった。

「なんと！　あの蛇竜を見る影残らず粉砕しただと！？　いやはや、我の持ってきた『ドラゴンキラー』は不要であったか！」
　ラピスは蒸気機関と引き金がとりつけられた巨大すぎる大剣（ガンソード）を担いでいた。
　曰く、引き金を絞ると水蒸気爆発が発生し、斬撃の威力を増幅させるらしい。これなら硬い竜の鱗を叩き割る事も出来たそうだ。
「しかし、折角だ。我が発明品をみすみすお蔵入りするのも忍びないな。これが欲しいという希望者がいれば、後ほど名乗り出よ」
　さて、と深呼吸をしたラピスは、蛇竜が守っていた扉の封印を解くべく、自身の星の力と影剛石（シャドーストーン）を捧げた。
「うむ。これで第四階層への道は開かれたぞ」
「あー！　ラピスさん！？　ちょーっとい～いかナ？」
　ここで武道が手を挙げてラピスに問うた。
　その手には、かつてラピスの星の力で活性化した影剛石（シャドーストーン）が握られていた。
「この『賢者の石』だが……願いを叶えるための血の捧げ方とか、必要な量って知ってるかナ～って！　血液量ってペットボトル１本分クリアで足りるかな？　てへ！」
「なんだ？　叶えたい願いがあるのか？　方法は石に血を吸わせればよいが……何を願うつもりだ？」
「いや今すぐじゃなくてさ、まぁ……念のためだよ、ラピスさん。俺がこれを使わないのが、多分一番最善なんだ。でも、使わなくちゃいけなくなった場合、俺はどれくらいの犠牲を払えばいい？」
　お茶らけていた武道の言動が、刃物のような鋭さに変わる。
　神魂騒動で彼は何度も代償と目的の成就を天秤にかけてきた。
　だから、これは『志波武道』という男にとって今後を占う質問であった。
　ラピスはそれを汲み取ってか、重苦しく回答した。
「……願いの、大きさによるな。己の幸運を願うなら、確かに献血程度の量で充分である。だが、ブリュンヒルデのような途方もない願いを叶えるならば、到底足りぬ。ならば……」
「ああ、もういい。分かった。そういうことか……！」
　武道は覚悟を決めた表情で、真・影剛石（シャドーストーン）を握り締める。
「黒幕のブリュンヒルデの存在を消すために必要な血液量は……人間１人分では足りないかもってことだな。そう上手くは事は運ばないか……！」
「なるほど、それは確かに真・影剛石（シャドーストーン）なら可能だ。しかしそうなるとアステリズムひとりを亡き者にするくらいでないと……まさか、そういうことか？」
　ラピスの表情から血の気が引いた。
「ブリュンヒルデの奴め、かつての同胞を裏切ってまで血迷った事をしていると思っておったが……自分の願いを叶える代償を他者に払わせ続けていたのなら合点がいくな」
　武道もその話を聞いて、背筋が凍えるような感覚に襲われた。
「たしか、ブリュンヒルデの目的は、寝子島とこっちの世界を融合させるって話らしいが……並行世界を合体させるほどの願いの成就に……どれだけの人命と血が失われたんだ……！？」
　武道の沈痛な面持ちも無理はない。
　話を聞いていた勇士達も、改めてブリュンヒルデの野望を止めなくてはと決意を新たにした。
「月影塔もあと半分だ。勇士達諸君、共にブリュンヒルデを討ち果たそう！」
　ラピスの掛け声に、全員が力強く頷いたのであった……！

＜了＞

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あとがき

担当マスター：焼きスルメ
ファンレターはマスターページから！

　蛇竜退治、お疲れ様でした！
　ラピスの持ってきた新兵器『ドラゴンキラー』は第三階層で量産可能となりました。
　ですので、希望者はアイテム作成してみてくださいね！

　そしてブリュンヒルデはやはり生粋の邪悪でした。
　第四階層ではどんな冒険が待ち受けているのでしょうか？
　次回もお楽しみに！

　ご参加いただき、ありがとうございました！

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