寝子島シーサイドアウトレット　スプリングセール｜リアクション

寝子島シーサイドアウトレット　スプリングセール

◆ショッピングデート

　桜月と北条冬華は寝子島シーサイドアウトレットにやってきた。今はスプリングセールを開催中で、外にいるのに人の多さが感じられる。

「折角のセールだし色々と買いたいな」
「そうですね」

　月はショッピングデートに心が躍る。それは冬華も同じだった。ひとまず店内に入ると、外でも感じていた人々の熱気に迎えられる。

「これは、想像以上かも」

　さすが春の大型セール。どこを見ても人の波が生まれている。それをどうにか抜けて、まず入ったのは衣料品店。

「色々可愛らしいものがありますね」

　冬華は目を輝かせる。春物の服や下着を試着してお互い見せあいながら決めていく。

「どう？」
「似合ってますよ」

　素直な感想に月は笑みを浮かべる。月は気に入った数点を購入して店を後にする。他にも雑貨屋に立ち寄ってアクセサリーなどの小物も選ぶ。ふと目に入ったイヤリングが気になった。

「これどうだろ？　似合っているかな？」
「すごくいいと思います！」

　早口に告げる冬華を見て月は購入を決意した。そうやってアウトレット内を散策し、買い物を続ける。日用品なども買い足したらアウトレットを後にする。
　２人ともだいぶ疲れていたので、途中でクレープ屋に立ち寄って休憩することにした。月はイチゴクレープ、冬華はチョコバナナクレープを注文した。テーブル席に座って荷物を置くと、ゆっくりと食べ始める。

「美味しいですね、このクレープ！」
「うん、いいなこれ」

　アウトレットが暖かかったから冷たい風が気持ちいい。クレープも美味しいし、幸せな気持ちだった。

「冬華のクレープもおいしそうだ。一口いいか？」
「どうぞ」
「……うん、おいしい。チョコとバナナの相性がいい」
「月さんのも一口もらっていいですか？」
「ああ」
「では失礼して……イチゴの酸味がいいですね。あら？」

　冬華はふと月の口の端にクリームがついていることに気づいた。

「月さん、クリームついてますよ」

　冬華はすっと身を乗り出すとそれを舐めとった。

「ちょっとお行儀悪かったでしょうか？」

　意外な展開に月は思わず俯いてしまった。

「えっと……せっかくここまで来たし大観覧車に行こうか？」

　月は恥ずかしさを誤魔化そうとつい誘ってしまった。冬華はその誘いを快諾した。大観覧車はアウトレットのすぐ隣にあり、1周約１５分ほど。観覧車の内部から海を臨むことができる人気スポットだ。２人を乗せた観覧車がゆっくりと上に向かっていく。

（冷静に考えると密室で２人きりだ……ちょっと緊張してきた。景色を眺めながらのんびりと話をしよう）

　今日買った服や下着のことなど、他愛ない会話が続く。

「そうだ、今度温水プール行こうか？」
「いいですね、まだ寒いですし。ぜひ！」
「この後に水着を買いに行こう」

　そんな風に話をしていると、緊張が解けてだんだん距離が近づいていることに気が付いた。月はさっき口元のクリームを舐めとられたことを思い出す。目の前には冬華の柔らかそうな唇がある。月がそっと冬華の口元に唇を寄せると、さっきのクレープとは違う甘さが伝わってきた。もっと欲しくなって、満足するまでキスを繰り返した。