寝子島シーサイドアウトレット　スプリングセール｜リアクション

寝子島シーサイドアウトレット　スプリングセール

◆偶然の出会い

　鴻上彰尋は寝子島シーサイドアウトレットにやってきた。
　じつは以前七夜あおいとルームランプを探しに来たことがあるのだが、そのときは種類の多さに目移りしてしまい、絞り込むことができなかった。
　とりあえずパンフレットだけ受け取ってどれにしようか考えていた。そして『これが良いな』とようやく決まった時にちょうどスプリングセールがあることを知った。

「目当てのものが安くなってるといいな。他にも一人暮らしをして必要だと思ったものを少し買い足したい」

　カートを押しながらアウトレット内へと入っていく。
　人混みは想定していたものの、それをはるかに超える人数が集まっている。店舗によってはすし詰めになっているかもしれない。本当ならカートを使わないほうが移動も楽なのだが、今日は色々買う予定なので仕方ない。

（忘れないうちに日用品を買ってしまおう）

　洗剤やスポンジ、トイレットペーパーなど。他にもお手軽グッズや便利そうなセール品もカートに入れていく。そういった買い物を済ませて、いよいよ本命のルームランプ探しへ向かう。パンフレットを見て決めたのは和紙の素材でできたシンプルなもの。

（パンフレットで見た限りでは和紙だけど洋風な感じで、部屋の雰囲気に合いそうだった）

　あとは実物を見てから判断することにした。目的の店に到着すると、早速照明のコーナーへ。幸い、売り切れることなくパンフレットに載っていたルームライトが売られている。

「少し値段がすると思っていたんだけど……ちょっと安くなっているかな？」

　ちゃんと割引対象になっていたので、このタイミングで来たのは正解だったようだ。この値段なら許容範囲だろう。そっとカートの中に入れる。

（あとは電気ケトルとハンディアイロンがあるといいかな）

　そう思い、方向転換しようと思ったところで声を掛けられた。

「彰尋くん？」

　聞き覚えのある声に振り返ると、買い物かごを持ったあおいが立っていた。
　
「あおいさん！？」
「やっぱり彰尋くんだ！」

　まさかこんなところで会うなんて、とお互いに驚いていた。

「彰尋くんもセールで来たの？」
「そうだよ」

　彰尋はいちど言葉を区切った。

「あのとき、一緒にランプを色々と選んでくれてありがとう。おかげでいいのが見つかったんだ」

　そう言ってカートのランプを指さす。

「見つかったんだ！　よかった！　あのときすごい考え込んでたもんね」

　あおいは自分のことのように喜んだ。折角出会ったので２人で店のなかを回ることにした。

「寮でケトルがあると便利かも」
「ああ、たしかに」

　他愛ない話をしながら新作家電で盛り上がったり、一緒にケトルのデザインを眺めたりと楽しい時間を過ごした。